
新型車種の発売が相次ぎ、活況を呈した昨年の車業界。そんな2023年を振り返りつつ、2024年のトレンドや注目の車種について、カルモマガジン編集長が予測! 開発者インタビューや試乗インプレッションなど、専門家だからこそ知り得たさまざまな情報も踏まえ、今後の展望を語りました。
1月に公開された
「やっぱり『N BOX』すごいなあ」と思っていたところに「スペーシア」が出てきたんです。セールス的には万年4位だった初代「スペーシア」から、2位に上り詰めたんですよ。そして2022年の5月には1回だけ「N BOX」を抜いたんです。
――あの王者「N BOX」を!
馬弓:雑貨っぽい、スーツケースっぽいデザインという個性が受け入れられたんです。その意味では、2代目はデザインの勝利でしたね。初代と比べると2代目はガラッと変わったので、じゃあ3代目はどうするのかと思ったら、今度はコンテナをモチーフにしたものが出てきました。3代目は「N BOX」とは違い、キープコンセプトに見えるんですが、実は結構変えているんですよ。
- 「スペーシア」はキープコンセプトに見えてかなりの改良が加えられている
馬弓:軽のスーパーハイトワゴンには標準車とカスタムがありますが、「スペーシア」だけカスタムが売れていないという問題があったんです。「N BOX」もダイハツ「タント」もカスタムのほうが売れているんですよ。
なぜ売れていなかったのか。これは僕の推測ですが、前のモデルは後ろも少し雑貨チックだったので、無理やり顔をいかつくしても、全体的には「かわいいな」という印象があったんだと思います。今回は横のリブもカスタムのデザインに合うようになりました。
顔は押しが強い感じか精悍な感じか、どちらだろうと思ったら、割と精悍な「N BOX」系の顔で来ましたね。
個人の感想としては、「スペーシアカスタム」のほうがかっこいいなと。「N BOXカスタム」も悪くないんですが、試乗会で「スペーシア」に乗ってみたら、差が縮まっていました。静かさはほとんど一緒じゃないかと思いましたし、足回りに余裕のあるあたりも割と良かったので、「『N BOX』が断然勝っている」という感じではないですね。
――なるほど。どちらを買おうか、余計に迷いますね。
馬弓:「スペーシア」はやっぱり「逆転してやろう」という気持ちがあるんでしょうね。工夫もいろいろありますし。
オットマンとしても使える「マルチユースフラップ」をリアシートにつけてきたんですが、最初にあれを見たときには「あざといことするなあ」と思ったんですよ(笑) でも、それは浅はかでした。
3つのモードのうち、オットマンになる部分か少し延長される感じになる「レッグリラックスモード」は、もも裏がサポートされてすごく楽なんですよ。
スーパーハイトワゴンは、リアシートを折りたたむなど機能がいっぱいある反面、座面がちょっと短いのですが、それをあれで補うんです。これが本命の機能だなと思いました。

そのくらいコストを削っているんですが、割り切って作ったというわりにはパッケージがすごくいいんです。座りやすいし、素の車の良さというか、ゴテゴテといろいろついておらず必要最低限の機能があって、でも先進安全装備などはちゃんとついている。期待値が元々低かったので、実車を見て「あ、これいいかもな」と感じました。これで価格が200万~250万円程度ですから。軽でも最近それくらいの値段になっちゃいますしね。かっこいいんですよ、意外と。
- 「WR-V」は必要最低限の機能がついていて、かなり低コストで購入できる
――写真見ました。かっこよかったですね。
馬弓:ちょっと四角くてデザインもいいと感じました。「レクサス」もコンパクトSUVを出しましたけど、これからしばらくはコンパクトSUVがメインのボディタイプになってくると思うんですよ。さっき話に出た軽のスーパーハイトのSUVクロスモデルは、来年注目ですね。
2024年期待する運転技術

――2024年に期待する車の運転技術を教えてください。
馬弓:自動運転とEV(電気自動車)ですね。今村さんのイメージする自動運転ってどういう状態ですか?
――いつかは人がハンドルを握らなくても車が運転してくれる…とかですかね。
馬弓:それはもうあるんですよ。
――あるんですね! もう公道を走ってもいいんですか?
馬弓:特定の場所に限られていますけれど。
――もはや、運転席に人が座らないとか。
馬弓:それはだいぶ先ですね。多分、皆さんの自動運転のイメージって2つに分かれていると思うんです。1つは、外を見る必要がなくて、なんなら向かい合って4人でごはん食べながら歌いながら移動したら着いているという、完全にリビングが移動するタイプ。自動運転レベル5といわれるものです。でも多分10年くらい掛けても無理だといわれていて、目処が立っていないんです。
一方、既存の自動運転もあって、アダプティブクルーズコントロール(ACC)、レーンキープアシストはそれぞれレベル1です。
――それも自動運転に入るんですね。
馬弓:前の車に追いついたら車がブレーキをかけてくれて、加速したらついていくとか、車線の中に収まるようにステアリング支援するとか。それも自動運転技術のひとつです。
ただ、自動運転のレベル1、レベル2っていうのはあくまでも「運転支援」、つまりサポートで、メインは人間なんです。レベル1の技術が2つ組み合わされたものがレベル2なので、ACCとレーンキープアシストがついていれば、それはもうレベル2です。
さらにレベル2の中でもちょっと高度なものが、高速道路などで手を離せるハンズオフです。これは日産「セレナ」などについていますね。前を見ている必要はあるし、軽く握っているだけだと「ちゃんと握れ」と怒られるものの、ほぼ運転してくれるので、ここだけで十分なんじゃないかと思っているところです。
レベル3になると突然お金かかってしまうんですよね。レベル3は視線外してもいいという技術なんですけど、そこまでは…。
――1年とかではまだかな、と?
馬弓:1年では無理でしょうね。
- 自動運転レベル3が現実的な価格になるにはまだ数年かかる見込み
「スペーシア」やスズキ「スイフト」に採用されたACCは少し進化して、カーブだと認識したら減速するなど、細かいアップデートがあったんですが、それが結構大きかったんです。
あとはEV。
それに、価格は100万円ぐらい高いですから、そもそも補助金がないと。
――そうですね。消費者の方からすると、大きなメリットがまだそこまで感じられないかもしれないですね。
馬弓:日産「サクラ」や三菱「eKクロスEV」のような、軽のEVはありだと思います。地方などで1人1台持っているような場合は、ミニバンやSUVがメインに1台あって、普段自分が通勤・通学で使うやつはせいぜい20kmぐらいしか走らないから、軽のEVはすごく合っていると思うんです。ただ、それ以外だとあまりイメージがわかないですよね。
- EV車と軽自動車の組み合わせが今後有力だと考えられる
馬弓:それよりは、ハイブリッドは2024年も多分進化するだろうと感じます。
――そこの技術が伸びると、燃費もさらに良くなるのでは?
馬弓:燃費はもう頭打ちだと思うんですよね。
――なるほど。「ハイブリッドの良さ」というと、静かさとかでしょうか?
馬弓:昔はハイブリッドの良さっていうと、燃費や環境に優しいところでしたが、日産やホンダのハイブリッドは運転していて楽しいし、制御しやすいですね。運転して楽しいってところも、ハイブリッドが実現している感じがしますね。
ぜひ車買ってください!(笑)
――は、はい(笑)
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※この記事は2024年2月2日時点の情報で制作しています