(大石邦彦論説委員)
自民党の総裁選が始まりました。去年もやったので『またか』という感じもしますが、去年は過去最多の9人、そのうち5人が今回出馬を表明しています。



小林鷹之氏(元経済安保担当大臣)、茂木敏充氏(前幹事長)、林芳正官房長官、高市早苗氏(前経済安保担当大臣)、小泉進次郞農水大臣です。

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今回の総裁選のテーマは「#変われ自民党」。変わらない顔ぶれなのに「変われ」というのは皮肉な感じもしますが、ハッシュタグが付いているこのテーマは、自民党が弱いとされるSNS戦略とも言えます。

自民党党員はピーク時の約5分の1

総裁選は議員票と全国の党員票によって決まりますが、自民党の党員が減少しているんです。2023年は約109万人、名古屋市の人口の半分ぐらい。それが去年は6万人以上減って約103万人弱に。ただ、ピーク時の1991年はどれくらいだったかというと、約546万人だったんです。今の約5倍。いかに党員票が多かったのか、自民党に力があったのかがわかりますね。

【自民党総裁選】変わらない顔ぶれだがテーマは「#変われ自民党」 カギを握るのは石破氏の票…どこに流れるのか【大石邦彦解説】 
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ポイントは石破さんの票がどこに流れるのか?

その党員票、去年はどんな結果だったのか?トップは高市さん109票、2位は石破さん108票、3位に小泉さん61票、林さん27票、小林さん19票で、トップ2人は肉薄していました。

【自民党総裁選】変わらない顔ぶれだがテーマは「#変われ自民党」 カギを握るのは石破氏の票…どこに流れるのか【大石邦彦解説】 
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今回のポイントは党員に人気があった2位の石破さんの票がどこに流れるのか?ということなんです。政治思想・信条を考えると高市さんには流れにくい、それを考慮すると石破内閣の小泉さんだったり林さんだったりに流れるのではないかという考え方もある。

では、東海地方の党員票の結果は?去年の総裁選の結果ですが、愛知は1位が高市さん、2位石破さん、3位小泉さん。岐阜は1位石破さん、2位高市さん、3位小泉さん。

三重は1位高市さん、2位石破さん、3位林さんが小泉さんに競り勝っていた。

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地元選出の国会議員からの働きかけも…

既に名古屋市議団が高市さん支持を表明していますが、岐阜の石破さんの票がどう動くのか?ちなみに、党員票というのは、党員の人気投票という側面もありますが、地元選出の国会議員からの依頼という側面もあって、やはり国会議員の意思が反映されやすいようです。それが世論の空気とのズレにつながるかもしれません。

今回は期間が3日少なく知名度の高い人が有利?

では、総裁選の日程です。選挙期間は去年より3日少ないため、やはり知名度が高い人が有利と一般的には言えます。また、候補の考え方が現れやすくディベート力が問われる討論会は、去年より2回少ない3回となっています。経験不足は“露わになりにくい”とも考えられます。

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自民党総裁が総理大臣とは限りませんが、政治ビジョンを包み隠さず話してほしいし、話したことは石破さんのように前言撤回しなようにしてほしいと思います。

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