【2026年4月M&Aサマリー】122件、1兆2115億円 大和証券グループ本社のオリックス銀行買収が首位(暫定値)

2026年4月のM&A件数(適時開示ベース)は前年同期比18.4%増の122件、取引総額は同21.5%増の1兆2115億円だった(暫定値)。件数は2008年の統計開始以来4月単月では最多、金額面では2位となる。

金額首位は大和証券グループ本社<8601>によるオリックス<8591>傘下のオリックス銀行の子会社化で、3700億円。2位は第一三共<4568>による第一三共ヘルスケアの譲渡、3位はNIPPON EXPRESSホールディングス<9147>によるカナダ物流会社の買収となった。上場企業の適時開示情報のうち、経営権の移転を伴うM&A(グループ内再編は除く)について、M&A Online編集部が集計した。

【2026年4月M&Aサマリー】122件、1兆2115億円 大和証券グループ本社のオリックス銀行買収が首位(暫定値)
M&Aの件数と金額の推移
M&Aの件数と金額の推移

大型3件で全体の約7割 金融・ヘルスケア・物流が上位に並ぶ

4月の特徴は、最近続いたTOB一辺倒の展開ではなく、株式譲渡や会社分割を通じた戦略的な業界再編が中心だった。金融、製薬、運輸など業種の異なる大型案件が上位に並び、上位10件の合計は1兆1641億7900万円で月間総額の約96%を占めた。上位3件だけでも合計は8235億円で、月間総額の約68%を占める。

首位は、大和証券グループ本社によるオリックス銀行の子会社化だ。証券会社グループが銀行機能を取り込むことで、預金、融資、資産運用を一体で提供しやすくなる。国内金融業界では、単独の事業機能だけでは差別化しにくくなっており、周辺機能を取り込んで顧客基盤を広げる動きが続いている。今回の案件は、その流れを象徴する大型再編といえる。

2位は、第一三共による第一三共ヘルスケアのサントリーホールディングスへの譲渡で、2465億円。第一三共にとっては中核領域への経営資源集中、サントリーにとっては鎮痛薬「ロキソニンS」や風邪薬「ルル」など知名度の高いブランドを取り込むことで、ヘルスケア分野の強化につながる案件だ。大企業グループが事業ポートフォリオを見直し、伸ばす分野と切り離す分野を明確にする動きがここでも鮮明になった。

3位は、NIPPON EXPRESSホールディングスによるカナダのMetro Supply Chain Group買収で2070億円。国内市場の成長余地が限られる中、物流大手は海外での事業拡大を急いでいる。北米物流網の強化を通じて、成長市場の需要を取り込む狙いとみられる。

ノジマ、インフロニアが続く 周辺領域の取り込みが進む

4位にはノジマ<7419>による日立製作所<6501>系の日立GLS家電事業の取得が1101億円で入った。販売力に強みを持つノジマが伝統ある「日立」ブランドの家電事業を取り込む形で、バリューチェーンの厚みを増す動きといえる。

5位はインフロニア・ホールディングス<5076>による水ingの子会社化で912億円。建設会社が施工だけでなく、運営や維持管理まで手がける方向は近年強まっている。老朽インフラの更新需要を考えると、水処理分野は中長期で安定した市場が見込めると判断した。

「選択と集中」と「周辺強化」

2026年4月の内容を見ると、非中核事業を切り離す「選択と集中」と、本業の周辺機能を買収で補う「周辺強化」が同時に進んでいる。第一三共の譲渡案件は前者、大和証券グループ本社、ノジマ、インフロニア・ホールディングス、NIPPON EXPRESSホールディングスの案件は後者の色合いが濃い。日本企業のM&Aは、単なる規模拡大の手段ではなく、経営資源をどこに集中させるかを決める戦略そのものになっている。2026年4月は、その傾向が分かりやすく表れた月だった。

2026年4月のM&A上位10社

順位 社名 内容 金額 1 大和証券グループ本社 オリックス傘下のオリックス銀行を子会社化 3700億円 2 第一三共 OTC製造子会社の第一三共ヘルスケアをサントリーホールディングスに譲渡 2465億円 3 NIPPON EXPRESSホールディングス カナダの物流会社Metro Supply Chain Groupを取得 2070億円 4 ノジマ 日立GLSの家電事業を取得 1101億円 5 インフロニア・ホールディングス 水処理プラント運営・設計・施工の水ingを子会社化 912億円 6 日本精機 車両用スイッチ・システム開発の東洋電装を子会社化 505億5000万円 7 大東建託 SBIホールディングス傘下のTHEグローバル社をTOBで子会社化 305億5500万円 8 タチエス タチエス トーヨー グループホールディングスを子会社化 218億円 9 リコー 中国子会社で事業停止中の理光(深圳)を現地社に譲渡 208億4200万円 10 マブチモーター 食品機械メーカーのマスダックを取得 156億3200万円

【M&A速報、コラムを日々配信!】
X(旧Twitter)で情報を受け取るにはここをクリック

【M&A Online 無料会員登録のご案内】
6000本超のM&A関連コラム読み放題!! M&Aデータベースが使い放題!!
登録無料、会員登録はここをクリック

編集部おすすめ