稲垣吾郎「まさか自分がハリー・ポッターをやるとは」 『ハリー・ポッターと呪いの子』出演と“舞台”への思い
稲垣吾郎 (撮影:渡部孝弘)

開幕から4年、ロングラン上演中の舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』に、話題の新キャストが登場。ハリー・ポッター役を、トリプルキャストの平岡祐太、大貫勇輔と共に、稲垣吾郎が務める。

19年を経て父親となったハリーを、どう稲垣が演じるのか。稽古開始を控える稲垣に、作品への想い、そして長年力を入れている舞台への思いを訊いた。



やればやるほど良くなっていく、それが舞台で演じる面白さ

――ハリー・ポッター役が決まった時の心境は?



とても嬉しかったのですが、同時にちょっと笑っちゃいましたね(笑)。まさか自分がハリー・ポッターをやるとは思ってもいませんでしたから。スネイプ先生(=ホグワーツ魔法魔術学校の教授)とかだったらわかりますけど(笑)。でも冷静に立ち返ると、僕がやれば僕なりのハリーというものが生まれるかもしれない。そして映画で見ていた印象や雰囲気から、あの少年の19年後を演じるというのは、もしかしたら自分に合っているのかもしれない。そう思うようになりました。



――ハリーが父親になったこの舞台版ですが、どんなところに魅力を感じられましたか?



やはり父親と息子の話であるというのは、観ていて非常に刺さりました。子供部屋でのシーンなどは、本当に切なかったですから。ただ僕自身は父親ではないので、父親の気持ちというのは正直わかりません。それでも子供がいない僕なりに演じられるハリーっていうものがあるんじゃないかと。そして多くのファンの方に愛されている『ハリー・ポッター』の世界に、新しい風を吹かせられたら……。

ファンの方にとっても、好きなものがまた新鮮な見え方をしてくると嬉しいと思いますし、その作品をもっともっと愛せるんじゃないかと思います。



――「ハリー役をライフワークの作品にできたら」というコメントも発表されていますが、ベートーヴェンを演じる『No.9 ―不滅の旋律―』は昨年100公演目を迎えられました。同じ役を長くやる魅力、やりがいとは?



稲垣吾郎「まさか自分がハリー・ポッターをやるとは」 『ハリー・ポッターと呪いの子』出演と“舞台”への思い

やっぱり完成されていないと思っちゃうんですよね。それまでご覧いただいたお客様には失礼ですけど(苦笑)、やればやるほど良くなっていきますし、理解も深まっていく。それは『No.9』をやっていて強く感じたことで。もしかしたら自己満足かもしれないですけれど、今が一番だってくらいの気持ちじゃないと続けられない。だから映像なんて後悔しっぱなしですよ(笑)。ああしておけばよかった、なんでもっと考えられなかったんだろう、その連続です。



生の空間でファンに会えることが、自身の生きるパワーに

――そういった意味で舞台は、稽古中はもちろん、初日の幕が開いたあとも日々更新できるわけですね。



そうそう。もちろん映像のお芝居はそのライブ感が良かったりもしますけどね。でも舞台に関しては、重ねれば重ねるほど必ず良くなっていく。

またこの作品に関しては、出演期間が4か月と長いですから。さすがにこれほど長期間の公演は僕も初めてですが、だからこそ見えてくるものは絶対にあると思いますし、しかもハリーだけでもトリプルキャスト。それもすごく興味深いですね。



――これまではひとりで主演を務められることが多かったわけですからね。



初めてですね。相手役が変わることはあっても、自分の役を他の人も演じるって経験はなくて。ただすごくありがたいなと思いますよ。参考になることがたくさんあると思うので。これまでも急遽入られたスイングの方の素晴らしいお芝居を見て、こちらも新たな発見があった、なんて経験は何度もありますから。だから今回、ほかのおふたり(=平岡祐太、大貫勇輔)のハリーが見られることは、大きな楽しみのひとつですね。



稲垣吾郎「まさか自分がハリー・ポッターをやるとは」 『ハリー・ポッターと呪いの子』出演と“舞台”への思い

――読者にとっては稲垣さんの出演が大きな楽しみかと思います。改めてこの作品を通して、どういう時間、体験をお届けできたらと思いますか?



本当におっしゃる通り、ひとつの体験として感じてもらいたいなと思います。

やっぱり舞台鑑賞って、その人の半日くらいをお借りする、大切な時間をここに使っていただくわけですから。思い出に残るような素敵な一日にしたいですし、思いっきり楽しんでいただきたいですよね。そして日ごろ応援してくださっている方と、生の空間でお会いできることは、僕にとって生きるパワーになっていて。劇場でお目にかかれることを、心から楽しみにしています。



取材・文:野上瑠美子 撮影:渡部孝弘
ヘアメイク:金田順子(June) スタイリスト:黒澤彰乃(クロサワアキノ)



<公演情報>
舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』



オリジナルストーリー:J.K.ローリング
脚本・オリジナルストーリー:ジャック・ソーン
演出・オリジナルストーリー: ジョン・ティファニー

<10月までの出演キャスト一覧>
★は2025年7月以降の公演に出演するキャスト。各キャストの出演時期の詳細については公式サイトをご確認ください。


ハリー・ポッター:平方元基 / 吉沢悠 / 稲垣吾郎★ / 平岡祐太★ / 大貫勇輔★
ハーマイオニー・グレンジャー:木村花代 / 豊田
エリー / 酒井美紀 / 松井玲奈★ / 奥村佳恵★
ロン・ウィーズリー:石垣佑磨 / ひょっこりはん / 矢崎広 / 上山竜治★ / 関町知弘★
ドラコ・マルフォイ:内田朝陽 / 永井大 / 姜暢雄 / 渡辺邦斗★
ジニー・ポッター:白羽ゆり / 大和田美帆 / 大沢あかね / 安藤聖★ / 吉井怜★
アルバス・ポッター:藤田ハル / 福山康平 / 佐藤知恩 / 渡邉蒼 / 原嶋元久★
スコーピウス・マルフォイ:西野遼 / 浅見和哉 / 久保和支 / 大久保樹★
嘆きのマートル:出口稚子
ローズ・グレンジャー・ウィーズリー:飛香まい / 倉澤雅美★
デルフィー:鈴木結里 / 乃村美絵 / 高山璃子 / 野邑光希★
組分け帽子:尾尻征大
エイモス・ディゴリー/アルバス・ダンブルドア/セブルス・スネイプ:間宮啓行 / 市村正親★
マクゴナガル校長:榊原郁恵※ / 高橋ひとみ / 岡まゆみ★ / 白木美貴子★

秋山和慶 / 安藤美桜 / 荒澤恵里奈 / 浅野郁哉★ / チョウヨンホ / 古沢朋恵★ / 半澤友美 / 隼海惺 / 肥田野好美★ / 久道成光 / 星郁也 / 石原健太郎★ / 伊藤優佑 / 亀井陵市 / 加茂享士★ / 柏村龍星 / 北代祐太 / 肥塚綾子★ / 小結湊仁 / 倉澤雅美 / 黒田陸 / 松尾樹 / 馬屋原涼子 / 森田万貴★ / 仲本詩菜 / 小川希 / 岡直樹 / 織詠 / 大竹尚 / 坂入美早★ / 篠原正志 / 田口遼★ / 高橋英希 / 手打隆盛 / 上野聖太 / 薬丸夏子 / 横山千穂

ルード・バグマンの声:吉田鋼太郎

※榊原郁恵の「榊」の正式表記は木へんに神

上演中~2025年10月31日(金)
会場:東京・TBS赤坂ACTシアター



チケット情報:
https://t.pia.jp/pia/events/harrypotter-stage/(https://t.pia.jp/pia/events/harrypotter-stage/&afid=P66)



公式サイト:
https://www.harrypotter-stage.jp



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