
元「東大王」として知られる河野ゆかりさん(24)が、SNSにて大学卒業と同時に結婚とスイスへの移住を報告した。今秋か移住した後、スイスで一体なにをするのかを初告白。
なぜスイス移住を決意したのか?
――結婚発表とともに旦那さんとスイス移住されることも明かされました。ズバリ、スイスでは何をされるのでしょうか。
河野ゆかり(以下同) スイスへ行く目的は、大学院での研究です。ただ、結婚を発表した当時は大学院への進学も確定していませんでした。ビザ取得を確実なものにするため、家族帯同ビザを取れるようにと考えて、このタイミングで入籍をすることにしたんです。
夫とは将来的に結婚することを考えていたので、その点に迷いはありませんでしたね。
――だから結婚の発表とスイス行きの発表がほぼ同時に出たのに、スイスで何をするのかについて言及していなかったんですね。
隠していたわけではないんです(笑)。ただ、まだ諸々の準備をしている段階なので、公にするタイミングを逸してしまったというのが本当のところで……。
──スイスの大学院では、どのような学問を学ぶ予定ですか。
今年の9月から、ジュネーブ大学の大学院でパブリックヘルスを専攻します。パブリックヘルスとは、日本語で公衆衛生学と訳されます。
簡単に言うと、地球規模の健康改善について考える学問です。感染症対策、医療へのアクセス向上、健康格差の是正などを指します。近年、グローバルヘルス(国際保健)という概念もよく聞く言葉かなと思います。
――重要な取り組みですね。グローバルヘルスというと、発展途上国の健康改善がすぐに思い浮かびますが、河野さんのご関心を教えてください。
高校生くらいのときは、発展途上国における医療水準の引き上げなどに強い関心がありましたし、現在においても重要なテーマであり続けていると思っています。
ただ、今の私の最も強い関心は、医療政策がどのようなプロセスを経て決定されているのか、という点です。
――関心を抱くきっかけはあったのでしょうか。
私自身、これまでの医療政策が決定されるプロセスについてよく理解できなかったことが根本にあると思います。
医療政策がどうやって決定されたのかを知らないと、国民はその背景もわからずに健康上の不利益を被る可能性も否定できません。スイスにおいては、比較的そのプロセスが明らかになっていると聞いて、ぜひ研究がしたいと思いました。
医療人と元東大タレントの間で
――グローバルヘルスを考えるうえで重要な世界的機構としては、WHOが思い浮かびますよね。
将来的なことはまだはっきりと決めていませんが、日本人がWHOで働くためにどうすればよいかを調べて、大学院生がWHOに派遣される道があることを知りました。スイスの大学院へ進学することを選んだのは、そうした選択肢を残すためでもあります。
また、帰国後は公衆衛生学で博士号を取って、臨床を行ないながら研究もできる医療人を目指したいと思っています。
―― 一方で河野さんはクイズ番組『東大王』に出演するなどタレントとしての顔もお持ちです。メディアに近しい人間として、自身の関心事である医療政策との関連で考えていることはありますか。
国民が自身の健康について考える指針のひとつとして、メディアの発信は依然として重要であり続けると私は考えています。
メディアが発信する内容によっては、本当は健康にとって必要だったものが敬遠されることもありますし、その反対に健康を害するものが促進されるなど、健康そのものや、場合によっては寿命を左右することさえありえます。
また、バラエティ番組などで「エビデンスがある」として紹介される論文のなかに、実はエビデンスレベルがそこまで高くないものも存在します。
バラエティ番組がまるっきり嘘を放送することはないと思いますが、番組を面白くするためにキャッチーな論文を選択している可能性は否定できません。
エビデンスレベルまで深くチェックをせずに発信していても、通常、視聴者はそれを検証できませんよね。それはやや危険な側面があるのではないかと思うんです。
もしも私が『東大王』などでみなさんに顔を知ってもらえていて、医療に携わる者として多少の発信力があるのだとしたら、健康に関する確かな情報を発信するアイコンとして認識してもらえたら、うれしいですね。
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取材・文/黒島暁生 撮影/野﨑慧嗣