なぜ適切なセールスや集客のアイデアを思いつけないのか‥優れたビジネスパーソンなら絶対に外さない「誰」かの存在とは〈MB〉
なぜ適切なセールスや集客のアイデアを思いつけないのか‥優れたビジネスパーソンなら絶対に外さない「誰」かの存在とは〈MB〉

ビジネスで成功を収める人は発想力が違う、などとよく言われるが、バイヤーで実業家でもあるMBさん曰く、発想力やアイディアにおいては人間の能力にさほど差はないという。では優れた戦略はどこから産まれるのか?
書籍『ロードマップ』より一部を抜粋・再構成し、マーケティングに関わる人なら知っておきたい視点の話を紹介する。

相手が誰かを定義せよ

例えば、売り上げがどうにも乏しくて、新しい集客方法で起死回生を図りたいとします。会議をいくら積み重ねても「広告を出しましょう」「インフルエンサーに紹介してもらいましょう」「イベントを企画しましょう」といったありきたりな案しか出てきません。

実際にこれらを実行したとしても、さして売り上げは伸びないでしょう。いったいそれはなぜなのか?

悩み「集客やセールスでいいアイディアが思い浮かばない」
回答「劇的にアイディアが湧いて出てくる魔法があります」

どれだけ頭を捻ってもいいアイディアが出てこない。これはおそらくビジネスに携わるすべての人の悩みです。

ネットを見ればホリエモンやひろゆきなど頭のいい経営者が新しいビジネスアイディアやプランをバンバン出しています。その姿を見て、仕事ができる人はやはりセンスが違うと羨ましく思っていませんか?

しかしこれは、端的に言ってまちがっています。

アイディアの有無は発想力の差ではありません。人間の頭脳や能力にそこまでの大きな差はないからです。日本の教育水準は高く、高等学校への進学率は98%を超えています。同じような基礎ステータス値で、同じような教育を受け、そこまで大きな差が生まれるとは到底思えません。

そもそも発想力などという測りかたもわからないものが存在することすら疑わしい。

アイディアが思いつかないのは考えかたのせいです。

ここではあなたが簡単にアイディアマンになれる魔法を伝授いたします。

その前に一つ思考実験を行います。デートを例にします。「相手が誰かはわかりませんが、週末に東京でデートに行くことになります。喜ばれるプランを考えてください」と言われたらどうしますか?

相手がわからない、もしくは初対面の想定でもいいでしょう。お見合いみたいな感覚で、どんな人かわからない、見た目も中身もほとんどわからない相手とデートをすることになったときにどんなプランを考えるでしょうか?

「誰」の重要性

おそらく普通の考えかたであれば、「東京観光デートおすすめ」「東京デートディナー」「東京わかりやすい集合場所」などといった検索キーワードを駆使して情報を集め、必要であれば店を予約してプランを立てるでしょう。

使うサイトはGoogle検索や食べログあたりでしょうか。デートの肝心要になるディナーに関しては食べログの星評価やGoogleMapの口コミを基準に選びます。高評価のお店にあたりをつけ、予約できるかも調べます。おそらく大半の人がこうした行動をとるはずです。

たしかにこのやりかたであれば、デートはそこそこうまくいくはずです。食べログの星評価や口コミがよければ、味や接客でハズレを引く確率が減っていきます。皆がおすすめするデートコースなので、悪くはないでしょう。

しかし、相手が心底満足するかと問われれば、おそらく平均点にしかなりません。

仮に相手がお見合いのように、いろいろな異性と初対面のデートを繰り返していたのであれば、皆同じような行動をとった結果、あなたの印象もありふれたものになります。よほどコミュニケーション能力に長けていない限り、平均的な結果に終わり、ほかと差別化にはなりません。

次に、「10年慣れ親しんだパートナーを週末デートに連れて行って、相手に喜ばれるようなデートプランを立ててください」と言われたらどうでしょうか。

今度はプランの立てかたがまるで変わってくるはずです。

パートナーの好きな食べ物は熟知しています。今の気分すらわかります。どんな雰囲気が好きで、どんなデートだと喜んでくれるのか知っています。「〇〇〇が欲しい」と言っていたから買っておいて贈ろうなんてサプライズもお手のものです。

その結果、平均点を上回るデートプランを組み立てることできます。パートナーはギフトに泣いて喜んでくれるかもしれません。

これは、「誰」の重要性を知ってもらうための思考実験です。

そう、相手が「誰」かがわかっていればデートでもビジネスでも勝ち筋なのです。

すべて「誰」かが抜けているから

なぜあなたが集客方法を思いつかないのか。なぜあなたはお客様向けイベントのアイディアが思いつかないのか。なぜ適切なセールス方法が思いつかないのか。

それらはすべて「誰」かが抜けているからです。

顧客を定義していないために、「誰」を相手にしているかわからない。わからないから「広告を出しましょう」「フォロワーが多いインフルエンサーに頼みましょう」などありきたりで平均的なアイディアしか出てこないのです。食べログで高評価のお店を探すのとまったく同じ現象です。

ビジネスや仕事では、自分のお客様は「誰」なのか。コアターゲットを設定する必要があります。私の敬愛する経済学者ピーター・ドラッカーの言葉で「事業は顧客から創造される」というものがあります。まさにこの一言に集約されています。

ビジネスをする際に、いろんな人に買ってもらいたいでは、ダメなのです。

これは残念ながら思考放棄の言い訳にすぎません。

ユニクロやAmazonなど老若男女を対象としたある種のインフラに属する超大資本を除けば、ビジネスには必ずコアターゲットが存在しています。

たしかにおじいちゃん、おばさん、お兄さん、子供などいろいろな方に来ていただきたい、サービスを受けていただきたいと思うのは仕事の常です。しかしながらコアとなるターゲットがどのビジネスにも必ず存在します。

あなたの事業は本当に男女比率も年齢比も属性比もすべて均等なのでしょうか?必ずメインターゲットがいるはずです。そのメインターゲットのなかでも主流でありテンプレート的な人物像を定義してください。これがいわゆる顧客の定義です、言いかたを変えればペルソナマーケティングです。

顧客は複数設定しても構いませんが、可能な限り詳細に想像してください。

・どこに住んでいるのか。
・どんな仕事をしているのか。
・休日は何をしているのか。
・趣味は何か。

・普段どんなメディアを見ているのか。
・普段どんな検索ワードを使うのか。
・普段どんなSNSにアクセスし、どんな使いかたをしているのか。
・家族構成は?
・悩みは?
・飲みに行くお店は?
・よく行く洋服屋は?

などなど、なるべく詳細に定義します。
そしてこの「誰」かが定まるとアイディアは自ずと思いつくようになります。

「誰」かが明確であれば

その人がどこにいるか想像がつくので、広告を出す場所がわかります。検索ワードがわかっているので、よく使うSNSには検索ワードを使った広告を設定することができます。

ネット広告は、属性まで指定できるので、かなり深くセグメントできます(年齢や住んでいる場所などで表示するユーサーを絞っていくこと)。すると広告単価も安くなり、費用対効果の高い広告戦略が可能となります。

よく行く店には営業をして、ターゲットとなる属性の客にチラシを渡してもらって販促に協力を依頼することができます。居酒屋でも洋服屋でも美容室でも競合関係のない店であればフィーを支払うことで実行可能でしょう。

「誰」かが明確であれば、居る場所がわかり、気分がわかり、趣味がわかる。好みがわかるので、行動パターンがわかる。

そこに仕掛けていけばいい。

居る場所に広告を出して、好きな言葉を広告に埋め込み、趣味のとおりにサービスや商品を開発する。長年連れ添った人に喜んでもらうデートプランを考えるのとまったく一緒です。

なぜアイディアが思いつかないのか、それは「誰」かがわかっていないからです。

「相手は誰かわからないけど集客方法を考えてください」。
「相手は誰かわからないけどセールストークを考えてください」。
「相手は誰かわからないけど売れる商品をつくってください」。

これでは何も思いつきません。思いついてもすべて凡庸なものになります。ビジネスアイディアを考えだして差別化するためには、相手が誰なのかを明確にする以外にありません。

そして優れたアイディアマンはこの顧客の定義がはっきりしているため、凡庸な発想を常に上回り続けるのです。

写真/shutterstock

ロードマップ

MB
なぜ適切なセールスや集客のアイデアを思いつけないのか‥優れたビジネスパーソンなら絶対に外さない「誰」かの存在とは〈MB〉
ロードマップ
2025/3/261,650円(税込)208ページISBN: 978-4594098209

地方のしがないショップ店員はなぜ成功できたのか?
その秘密はロードマップにあった


一所懸命に働いても幸せになれない。人間関係は思うようにいかず、日々は暗いまますぎていく。なぜ自分の人生はうまくいかないのか? それは「ロードマップ」がないからです。ロードマップとは、何を目的にどう頑張るかといった人生の指針となるもの。例えば、マラソンにはゴールがあります。人間が42.195㎞という長距離を走ることができるのは、ゴールがあるからです。もし仮に、ゴールのないマラソンがあるとすれば、それは競技ではなく、ただの罰ゲームです。あなたの人生にゴールはありますか? なんのために働いて、なんのために努力していますか? ゴールを設定しないと、努力は徒労に終わります。なぜなら目的のない努力には意味がないからです。人生においてもっとも肝心なことは、自分で「ゴール」を定めることです。他人が決めた基準ではなく、自分の幸せの形を決めること。ゴールと道筋、すなわちロードマップが決まれば走りかたが見えてきます。ゴールのないマラソンを走るのはいますぐにやめましょう。本書は、あなたの人生の指針となるロードマップを一緒につくりあげることを目的としています。

〈目次〉
第1章 奴隷と王様の違い
奴隷の論理
持たざる者の戦いかた
【奴隷の論理】3つの戦略
【奴隷の論理①】生存領域を見つけよ
「生存領域①」個性を深掘りせよ
「生存領域②」ブルーオーシャンを探せ
【奴隷の論理②】ロードマップを描け
「ロードマップ①」ゴールと時間を決めよ
「ロードマップ②」一日一時間戦略を使え
【奴隷の論理③】具体化して習慣とせよ
「具体化①」役割を担え
「具体化②」ロードマップを細分化せよ
第2章 わかっていても人は動けない
成果を得るための3つのフロー
【思考①】相手が誰かを定義せよ
【思考②】常に考え続けよ
【思考③】ネットに頼るな
【行動①】集中力を保て
【行動②】10年後を想像せよ
【結果①】成果を振り返れ
【結果②】他人の助力を使え
【結果③】諦めよ
第3章 僕たちはどう生きるのか
僕たちの4つの生きかた
【サラリーマンとして生きる】
サラリーマンでも幸せになれる
サラリーマンこそ働きがいにこだわれ
サラリーマンのロードマップの描きかた
サラリーマンこそ交渉しよう
サラリーマンは理想にこだわりすぎない
【本業と副業で生きる】
副業は簡単に稼げる
副業が続かない理由
副業が続く理由
【起業して生きる】
【仕事を諦めて生きる】
生きかたに迷っているあなたへ
第4章 自分らしく生きていこう
「こうすべき」ではなく「こうしたい」
自分らしさを取り戻そう
モチベーションのつくりかた
疑問を持つことを恐れるな
ネガティブをひっくり返そう
あなたがやるべきこと

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