
また日大だ。18年に起きた日大アメフト部のタックル問題から、23年には同部による違法薬物事件が発覚。
助教授のころから高級車を愛用して…
日本大学の重量挙げ部の監督を24年7月まで務めていた難波容疑者が入学金や授業料が免除になる奨学生に対して、うその情報を流して金銭をだまし取ったとして、詐欺の容疑で10日、警視庁に逮捕された。
日大は24年7月、大学のホームページで「重量挙部で発覚した金銭不祥事のお詫びと部員への被害回復に向けての手続き開始について」と題したお知らせを公表。
難波氏ら重量挙げ部の幹部は少なくとも23年12月までの10年間、奨学金制度の対象者である学生の保護者らに対して、「納付金の免除は2年目からである」などと虚偽の記載がある案内を作成し、請求書を送付していた。
金銭は重量挙げ部の口座に振り込まれており、難波氏ら幹部はその多くを私的に利用していたことを認めている。だまし取られた金銭はこれまでで5000万円以上にのぼり、一部は日大が返金の手続き済みだという。
日大重量挙げ部の関係者が同学の重量挙げ部について説明する。
「ウチ(日大)は明治、法政、早稲田などと同じく、重量挙げ部の名門校として知られています。世田谷区八幡山に寮があり、そこで集団生活をします。家族同然で4年間生活しますから、卒業しても横のつながりは強く、社会人になっても交流を持ったりする部員が多い。
高校時代までに優秀な成績を残している人に学校側が声をかけ、『全額免除もある』などと授業料の割引をちらつかせてくることも少なくない。実際にその誘い文句に乗った人も、私の周りにいます。被害者は、一連の騒動で裏切られたとショックを受けているものの、部には迷惑をかけたくないという思いとの板挟みで悩んでいると聞きます」
一連の事態を受けて、日大は重量挙げ部の難波氏を同月に解雇。コーチのT氏を降格処分とした。
難波氏とはどんな人物なのか。警視庁担当の記者が語る。
「難波は山形県出身で、日本大学経済学部に進学。卒業後は山形県の中学校で教員を2年勤めた後、日大へ指導者として戻ってきた。そこから02年4月に生物資源科学部の助教授になり、11年4月には教授にまでのぼり詰めた。難波は助教授のころから高級車を愛用しており、逮捕される直近まで高級外車を乗り回していた。金回りがいいともっぱらで、その出所が謎だと噂されていました」
後任には警視庁ウエイトリフティング部の監督が…
部内の評判はどうだったのか。
「前監督のK先生が現役のとき、難波さんはコーチとして学生を指導していた。
その当時はK先生の影響も大きく、難波さんは自分のやりたいようにやることは一切できなかった。当時の練習メニューも決定権は難波さんにはほとんどなく、彼の意向なんて反映されなかった。また、他の大学の重量挙げ部にも関わっていて、専属って感じではなかった。
その後、K先生が勇退して、難波さんが監督に昇格。今回の事件で降格処分になったTコーチもそのときに入ってきた。そこから難波体制ができあがった。性格は横柄とかそういうのではなく、礼儀正しくて明るい人でした」
一連の事件で、去年の夏から秋にかけてOBらに日大から2通の封書が送られてきたという。同封されていた書面には、一連の事件の経緯の説明と返金などの学校側の対応、そして新体制の説明が書かれていた。
「日大も焦っているようで、新しい監督とコーチとして、日大OBで警視庁ウエイトリフティング部の監督とコーチを大学側に呼んだのです。そして、去年の夏頃、その新監督とコーチが被害者宅などへ謝りに回った。
日大は失った“信頼”を取り戻すことができるのか…ダメージはあまりに重い。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班