
今夏に迫った参院選。支持率低迷にあえぐ石破茂首相にとっては政権の浮沈に関わる局面だが、大臣をサポートする政務官として内閣を支えるアイドル議員の一人も正念場を迎えている。
パワハラ報道の裏に不倫相手の元神戸市議の存在も
秘書二人が相次いで退職したなどとして、その“パワハラ体質”が「文春砲」で暴かれたばかりの今井絵理子参議院議員。
「周囲も引くほどのヘビースモーカー」(議員秘書)など永田町で広まる悪評が足かせとなり、政治家としてのキャリアにも黄信号がともっている。
自民党内では、抜群の知名度を買われて選挙応援に駆り出される場面が多いが、本人が「切望している」とされる地元県連入りも実現できていない。
「ああ、また出ちゃったか、という感じだな」ある自民党議員の秘書はこう苦笑する。
言及したのは、週刊文春が4月、「非道パワハラ」という強烈な見出しを付けて報じた今井氏の事務所を巡る騒動についてである。
同誌は4ページにわたって、今井氏の事務所で、政策秘書、公設第一秘書をそれぞれ務めた二人の女性秘書が今年に入って相次ぎ退職した裏事情を詳報したのだ。
「文春の記事では、二人の秘書が退職せざるを得なくなった背景に、今井氏の人使いの荒さに加え、今井氏の交際相手の存在があることが指摘されていました。相手は、今井氏が議員になりたての2017年に『週刊新潮』で不倫が報じられた元神戸市議の橋本健氏です。
誌面に新幹線で添い寝する二人の写真が掲載され、大きな騒動になりました。その後、お相手の橋本氏に政務活動費の不正受給が発覚。橋本氏は政界引退を余儀なくされ、経営していた歯科医院も廃業に追い込まれたのです」(大手紙政治部記者)
ただ、二人の関係はそんなトラブルがあっても続き、「2022年ごろからは都内の今井氏の自宅で同居するようになった」(事務所関係者)という。
生活を共にするようになった橋本氏は、さらに今井氏の事務所にも出入りし、さまざまな場面で「黒子」として今井氏の側面支援に動く姿が目撃されている。
冒頭の秘書は、「参院会館では秘書のように議員に付きそっている場面をよく見たよ。支援者との会合にも議員のかわりに出て『うちの今井をお願いします』なんてやっていた。でも、みんな不倫騒動のことを知ってるから、『どういうつもりなのか』と冷ややかに見る人も少なくなかった」と振り返る。
「伴侶」への思いが空回りする場面もあったという。
「2023年に、松川るい参院議員らとともに参加したパリ視察でエッフェル塔での記念写真のSNS投稿が大炎上したときには、橋本氏が今井氏を擁護する書き込みをしてX(旧ツイッター)上で一般ユーザーと応酬したこともありました。
かばいたい気持ちもあったのでしょうが、かえって騒ぎを大きくした面も否めませんでした。秘書の退職を報じた文春記事でも、今井氏と繰り返していた痴話げんかの後始末で秘書が消耗していったことが暴露されています」(前出の政治部記者)
本人は『客寄せパンダ』扱いに不満?
ただ、問題視されているのは、パートナーとの関係性にとどまらない。
「ヘビースモーカーぶりは有名で、国会や議員会館の喫煙所でも政務の合間にタバコをふかす場面に出くわすことが少なくなかった。それどころか、自民党本部での会合に出席したときには、党幹部用の居室に灰皿を持ち込んで一服することもあった。
茂木敏充前幹事長はじめ党内には愛煙家も多いからそこまで目くじらを立てることでもないとは思うが、彼女の場合は、議員仲間や秘書からの受けが極端に悪い。普段の受け答えも横柄だし、これだけ悪評が出回るのも党内に味方が少ないせいもあるんじゃないか」(前出の秘書)
そんな今井氏ではあるが、石破政権で、「大臣への登竜門」といわれる内閣府政務官に抜擢され、聴覚障がいを抱える長男のために身につけた手話に関する議員立法にも携わるなど政治家としての経験値を着実に積んではいる。
2023年には沖縄に事務所を開設し、地元に足場を築くことで、さらなるステップアップを目指しているとみられるが、課題は少なくない。
「今井氏が沖縄に事務所を開設したのは、地元の県連入りを目指しているからです。知名度を買われて選挙のたびに応援に駆り出される今井氏ですが、ある意味で『客寄せパンダ』のように扱われている現状には不満もあるようです。
比例区からの選出である現状では、改選が迫るたびに全国を回らなければならず、負担も大きい。東京都連という選択肢もありましたが、東京選挙区には同じタレント議員の生稲晃子氏がいる。県連入りして故郷の沖縄からの選出ということになれば、これまでのように選挙応援でかけずり回されるようなこともない。
防衛省OBを地元秘書にして事務所を預けている状態ですが、県連の執行部は、今井氏の県連入りにノーの姿勢を貫いています。今井氏を後押しする声が起きてこないのは、人柄も含めて周囲からの理解を得られていないのも一因。
政治家として上を目指すには応援してくれる仲間作りが不可欠です。まさにキャリアの分岐点にさしかかっているといえるでしょう」(前出の記者)
今井氏が、SPEEDの一員として『my graduation』を歌ってミリオンセラーを記録したのは、今から27年前の1998年。「アイドル議員」の評価から「卒業」できるか、あるいは議員から「卒業」してしまうのか。彼女の今後の選択にかかっている。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班