〈メルカリ“本気”といってたのに…〉対策むなしく転売相次ぐ「スイッチ2」どうなってるの?メルカリ広報を直撃、ほくそ笑む転売ヤーは「狙い目は家電量販店」
〈メルカリ“本気”といってたのに…〉対策むなしく転売相次ぐ「スイッチ2」どうなってるの?メルカリ広報を直撃、ほくそ笑む転売ヤーは「狙い目は家電量販店」

任天堂は5月27日、転売対策としてフリマアプリ運営3社と協力を結んだと発表。これを受けて、集英社オンラインも『〈「スイッチ2」不正出品防止〉任天堂もフリマサイトも本気「何があった?」メルカリ広報担当者に“合意”の舞台ウラを聞いてみた』と題した記事を掲載。

フリマ大手としてメルカリの取り組みを追った。ところが、6月5日に発売されたスイッチ2はメルカリをはじめとするフリマサイトで転売が相次ぎ、なかには10万円を超える価格で転売されているケースもあった。メルカリに再度質問を送りつつ、転売の実態を追った。 

転売対策をしたはずなのに、発売日に10万円越えで出品

任天堂は5日に新型ゲーム機「スイッチ2」を販売。しかし、発売開始の前後には一部フリマサイトでスイッチ2の出品が相次ぎ、国内専用版の希望小売価格49,980円(税込)を上回る7~11万円の間で、取引がされている。

任天堂は発売前の5月27日、スイッチ2の転売防止を目的とした策を講じていた。メルカリ、LINEヤフー(Yahoo!オークションおよびYahoo!フリマ)、楽天グループ(楽天フリマ)、の計3社と協力すると発表。各社の利用規約に違反する出品については、能動的な出品削除や情報共有をするなどとしている。

しかし、ふたを開けてみるとスイッチ2を出品禁止とした「Yahoo!オークション」「Yahoo!フリマ」を除いた、「メルカリ」「楽天フリマ」では高値で取引される事態となった。

転売対策を発表した5月27日に、集英社オンラインでは『〈「スイッチ2」不正出品防止〉「10万円で出品…転売ヤーを撲滅へ」任天堂もフリマサイトも本気「何があった?」メルカリ広報担当者に“合意”の舞台ウラを聞いてみた』と題した記事を掲載。

メルカリがオークション機能を停止するなど、顧客を混乱状態にしないための策を講じていることを取材し、担当者から以下の回答を得ている。

「(任天堂との協力について)具体的な経緯や議論内容については非開示とさせていただいておりますが、メルカリのメリットとして、お客さまが、より安心・安全に、それぞれの商品・サービスをご利用いただけける環境が構築できると考え、今回の合意に至りました」

「スイッチ2などの価格高騰が予想される特定の商品については、購入される方に対し商品価格高騰時のアラート表示を行うなどの取り組みをしている」

ところが、メルカリでは転売が相次ぎ、“対策”は失敗に終わった。フリマ大手なこともあり、SNS上ではメルカリに批判が相次いでいる。

 「任天堂が必死に転売対策をしているのに、出品を認めるメルカリは上場企業としていかがなものか」

「あくまで不正な出品行為に対しての規制であって、転売行為そのものは特に規制はしていないということ。早速転売の温床になっている」

という声が続出したのだ。

メルカリ具体的な回答なし…対策失敗か 

27日にメルカリの担当者が話したように、現在のスイッチ2の出品欄では価格が高騰していることに警鐘を鳴らすメッセージ(「本商品は、価格が急騰している可能性があります。ご購入においては冷静なご判断をお願いいたします」)が表示されている。

しかし、転売自体は相次いでいる現状について、メルカリとしてどう認識しているのか。広報担当者は次のようにメールにて回答した。

「メルカリと任天堂は、メルカリのマーケットプレイス上で、『Nintendo Switch 2』を含む任天堂の商品をより安心・安全に取引できる環境の構築を目指し、両社で情報共有を行い、共同でさまざまな取り組みを実施することに合意しております。

本合意では、『Nintendo Switch 2』をはじめとした任天堂の商品について情報共有を行い、特定の新商品発売前後の注意喚起や権利侵害品対策など緊密に連携することにより、両社のお客さまの混乱を回避し、より安心・安全に取引ができる環境の構築を目指しています(原文ママ)」

そのうえで対策については、「現在実施している対策は下記の通りです」とし、4つの例を提示した。

・悪質な詐欺行為等、ガイドラインに抵触する可能性のある出品の削除

・権利者の許諾なくWEBサイト等から商品画像を転載する出品(著作権侵害)の削除

・高額商品の販売等における本人確認の実施

・「Nintendo Switch 2」本体の出品における「オークション機能」の利用停止

また、メルカリではスイッチ2の「箱だけ」「写真だけ」といった、購入者に誤認識をさせる詐欺まがいの出品も相次いでいる。このことについてもメルカリの広報担当者は、文面でこう回答した。

「AIなどを活用した監視を進め利用規約・ガイド違反の商品については削除等を今後も進めてまいります。違反の例として、空き箱にもかかわらず、本体・中身が付属するように誤認させる出品は削除等の対応をしています。悪質性が高い場合はアカウントの利用制限をかけ、排除していきます」

広報は、メルカリで本体の転売が相次いでいることについては、直接の回答を避けた。

なぜ転売ヤーはスイッチ2を複数購入できるのか 

任天堂は今回のスイッチ2発売にあたり、転売対策のため、有料会員サービスに一定期間加入していることや、ゲームのプレイ時間など細かな条件を設け、購入の抽選に参加できる人を限定してきた。

それでも、スイッチ2の需要は高く、任天堂が4月に行った第1回抽選販売では日本だけでも約220万人が応募した。それでもなぜ転売ヤーはスイッチ2を複数購入できるのか。関東を中心に転売ヤーとして活動する30代男性が語る。

「任天堂の厳しい購入条件は確かに有効的。いっぽうで、狙い目にされているのは家電量販店。家電量販店は購入履歴の有無や、電話番号によるSMS確認などをするが、10年以上転売行為を行ない続けるプロ集団は簡単にクリアできてしまう」

男性によれば、“プロ”の転売ヤーは家電量販店やアマゾンなどの通販サイトのアカウントを1000から多いときは万単位まで保有しているという。それぞれ長年使い続けてきたアカウントで、購入履歴を作るためにあえて安い電池を購入するなど、“対策”に日々乗り出しているという。

「複数名義も余裕で、店舗受取の時に本人確認がされるが、偽造の身分証を用意して乗り切ったりもする。5~6人でワゴン車に乗り1日で数十店舗回ることがある。それをメルカリにも流すが、中国人バイヤーにも渡したりしている」

転売がなくならない背景について男性はこう語る。

「身分確認とかも免許証のICチップとかを読み込むわけではないので、ザルとも言える。

任天堂のようにもっと厳しく条件をつけたほうがいいが、それでもプロの転売ヤーは任天堂の条件も軽く超えて(クリアして)しまうとも聞く。少しでも減らすためには、アカウントもそこまで多く持っていない新しく活動し始めた転売ヤーなどを対象に取り締まりつつ、新しい策を考えた方がいい」

任天堂が本気でも、転売ヤーは“スイッチ”を切らずに全力出品中。各社は転売ヤーを撲滅できるのか。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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