「ちいかわの入店を禁止いたします」――。あるラーメン店主によるX投稿が大きな反響を呼んでいる。
ラーメン店の「ちいかわ入店禁止」にSNSでは同情の声
「本日、待ちのお客様がいる中で食後に、ちいかわをテーブルで広げて遊び始めたお客様がいたので、今後、ちいかわの入店を禁止いたします」
5月13日、あるラーメン店がXに投稿したユーモラスな“注意喚起”が大きな反響を呼んだ。
これに対しSNS上では、
「ぬいぐるみ全般じゃなくてちいかわ名指し出禁なの笑う」
「こちらもぬいぐるみと一緒に写真を撮ったりはしますが食べ物が届いたときに1枚だけ撮って食べ終わったら即退店です」
「持ち主のマナーの悪さのせいでとばっちりを食らうちいかわさん可哀想」
「よほどの客だったのだろうか。店主の苛立ちが伝わってくる」
など、さまざまな声が上がった。
この投稿が注目を集めた背景には、「ぬい活」をめぐるマナーがたびたび問題になっていることがある。
ぬい活とは「ぬいぐるみ活動」の略称で、お気に入りのぬいぐるみを外出先に持ち出して撮影などを楽しむ行為を指し、ぬいぐるみを撮影することを特に「ぬい撮り」という。
もともと、ぬいぐるみを連れて歩くという文化は以前から存在していたが、SNSの普及などによってブームが拡大。
一般社団法人日本玩具協会が公表している統計資料によれば、2024年度の日本の玩具市場規模は過去最高を記録し、そのうちぬいぐるみは前年比115.3%と市場規模が拡大しているという。
一方で飲食店にとっては、撮影に時間がかかってお店の回転率が落ちたり、衛生上の問題が発生したり、他の客が写り込むことによるトラブルが発生したりするなど、頭の痛い問題となっている。そこで、
「アクリルパネルや人形などを使った長時間の撮影、立ち上がっての撮影、備品を移動させての撮影はご遠慮ください」
「当店商品以外の私物又は洋服等の撮影はお声がけさせていただく場合がございます」
などとSNSで利用客に向けて注意喚起をする店も少なくない。
「撮影禁止」の店があるいっぽうで「ぬい活歓迎」の店も
さらに、「ぬい活」にかぎらず、「動画撮影や店内外、メニューの撮影はご遠慮ください」「お料理以外の店内無断撮影禁止」など、撮影行為そのものに関して注意喚起を行なうケースや、撮影行為を一切禁止する店も目立ち、店側が対応に苦慮している様子もうかがえる。
いっぽうで、ぬい活を歓迎する店もある。
東京・吉祥寺にあるカフェ「Cafe Eve」は“推し活カフェ”をコンセプトに営業を行なっている。
店の担当者は、「当店は推しの魅力を最大限に引き立たせる空間をコンセプトにしています」と説明したうえで、
「推し活は、推しを通して自分を見つめてより幸せになるための手段と考えているので、当店では歓迎しています。皆さん自由に推し活を楽しんで幸せな雰囲気を見るのがこちらもとても嬉しいです」
と話した。
このように、ぬい活や撮影マナーをめぐって飲食店の考え方が分かれるなか、公園や文化施設などでも模索が続いている。
東京・小金井市にある野外博物館「江戸東京たてもの園」は、歴史的・文化的価値のある建造物が複数展示され、撮影スポットとしても人気だ。
だが、園内への「撮影用小道具」の持ち込みや使用は不可とされ、さらに「建造物内の建具、装飾品、展示品、看板、パネル等には触らない」「建造物内の窓枠、棚等に腰かける、寄りかかるなど文化財に破損・毀損を及ぼす恐れのある行為は禁止」など、文化財保護の観点から撮影に関する注意事項が細かく定められている。
「基本的にぬいぐるみの撮影などについては、個人の方が楽しむ範囲にすぎませんので関知しません」
もっとも、撮影行為に対する考え方は施設によってさまざまだ。
細かなルールを設ける施設があるいっぽうで、個人による撮影については特段制限していないケースもある。
公益財団法人東京都公園協会の担当者は、
「公園での機材を使用しないスナップ写真の撮影については、特段許諾はなく撮影いただいていますので、撮影のルールに関してこちらで関知したり、啓発をしているものというのは基本的にはありません」
このように前置きしたうえで、次のように見解を示した。
「例えば機材を使用して商品の撮影をしたいといったものに関しては、園地を撮影隊の方が占用されたりするケースがありますので、事前にご連絡いただいた上で、他のルールも含めてお示しして撮影いただいているというケースはあります。
ただ、基本的にぬいぐるみの撮影などについては、個人の方が楽しむ範囲にすぎませんので、こちらで何かルールを決めているというものでもありませんし、こちらもそこまでは関知していません」
ルールを設けるかどうかも含め、施設ごとに事情や判断基準は異なる。少なくとも、ぬい活をするかどうかにかかわらず、飲食店や施設の運営者、そしてほかの利用者に迷惑となるような行為は控えるのが当然だろう。
スマートフォンとSNSが日常化した時代だからこそ、節度ある行動が改めて求められている。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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