
そして、このために実は情報が曖昧だったり、表現が遠回しでもどかしくなることがある。
例えば、NHKの番組内で流行りのお店などが紹介されたとしても、名前や場所を教えてくれない。デパートの売場が映し出されたとしても「池袋の某デパート」といった具合で、決して固有名詞を出さない。だから、「あー、今の商品欲しいな〜」とか「あのお店行ってみたいな〜」なんて思っても、映像を頼りにあとで自分で調べるしかないわけだ。正直、面倒くさいし、もどかしい。そういうことは頻繁にある。
先日、そんなNHKのもどかしさを改めて痛烈に感じたのが「プロフェッショナル 仕事の流儀」という番組でのこと。
あの“たまごっち”を企画開発した横井昭裕氏をゲストに迎えた放送だ。
新聞に“たまご型ゲーム” の開発者と書いてあったので、“たまごっち”のことだろうとすぐに思ったのが、一方で、もしかしたら新たなたまご型のゲームが誕生したのか? なんてことまで想像してしまった。
ふたをあけてみれば、もちろんそれは“たまごっち”のことであり、商品自体も思いっきり映し出されていた。
なのに“たまご型ゲーム”。
司会進行の茂木健一郎氏も、当り前のように“たまご型ゲーム”と言わなくてはならない。
視聴者もそれが“たまごっち”だと、ほとんど暗黙の了解の中での“たまご型ゲーム”。
「だから“たまごっち”だっつーの!」と一人、テレビに向かって突っ込みをする虚しさ。
ああ、宣伝してはいけないNHKのもどかしさよ。
とはいえ、それは仕方がなく、当たり前のことではある。それに逆に宣伝がないことによるNHKの良さももちろんあるのだけど……うーむ。“たまご型ゲーム”はやっぱり微妙! わかっちゃいるけど、なんとかしてほしい。
(田辺 香)