
ざっと調べてみただけでも、「しずかちゃんII MP-X型」(長ネギ専用皮むき機)、「ショットくん ST-1型」(粒状施肥器)、「にら坊 MMD型」(ニラ専用ハカマムキ機)、「タラちゃん MTR-1型」(タラの木カッター)、「高圧(たかあつ)くん」(コンプレッサー)、「三男・のっぽ三男・エアー三男」(計量後の米袋を自動で持ち上げるリフター)、「かんすいくん」(トロッコを利用した一台3役のかんすい機)、「まぜ太くん」(土、肥料、飼料など天地撹拌混合する)、「みずやり君Jr.」(自動水やり機)、「魔法の土カチカチ君」(水をかけるとカチカチに固まる透水性舗装剤)、「草とりバイオくん」(除草剤)、「鳥とまれん棒」(やじろべえ効果で鳥が物理的にとまれないようにした棒)などなど……。
そもそも耕運機といえば「さなえ」が有名だが、今は「こまめ」「サ・ラ・ダ」「プチな」なんてカワイイ名前のものが出ているし、さらに、野良ねこよけの「ここダメシート」なんてちょっとお色気系あるいはカトちゃん系のネーミングまであるし……。
なぜこんな可愛い名前を? いくつかのメーカーに直接問い合わせてみたところ、
「特に意味はありません(キッパリ)」「はぁ? 何を聞きたいんですか?」「かたいイメージのモノですので、親しみやすい名前をと考えました」
といった回答が。
さらに、農業雑誌のライターさんに聞いてみると……。
「言われてみれば、かわいい名前は多いですねえ。確かにかたいイメージの機械なので、なじみやすい名前を、ということはあると思います。また、農機具などはたいてい正確な型番があるんですが、お年寄りが使うことが多いので、型番では難しくてわからないので、わかりやすい名前をつけるということもあると思いますよ。 実際、お年寄りが注文してくるときに『あの灰色の丸いの』とか、見た目でいわれることも多いんです」
そのため、あくまで正式な型番は存在するものの、業者内では、見た目のままのあだ名や「通称」などで呼ばれることも多いのだそうだ。
確かに、「かんすいくん」「まぜ太くん」「草とりバイオくん」など、「くん」をつけているだけで、そのまんまの名前だしな……。
そういえば、学生時代にFAXやコピー機などのオフィス用品の通販会社でアルバイトをしていのだが、トナーやインクリボン、カートリッジなどの型番のわかりにくいことといったら、なかった。
そこで提案。オフィスまわりのものにも「○○くん」的な名前をつけてみてはどうでしょう? とはいえ、オフィスまわりのものは若い人の利用が多いから、わざわざわかりやすい「通称」なんて不要でしょうか……。
(田幸和歌子)