日本各地にはさまざまな伝統工芸や芸術文化があるが、伝統文化と聞くだけで、なんだか難しそう、よくわからない、としり込みしてしまう人も少なくないだろう。でもそれって、やっぱりもったいない。


驚くほど精緻な技術や職人の精神、熱などが詰まっている日本の伝統工芸。その魅力をより多くの人に知ってもらいたいという想いから始まったのが、「REVALUE NIPPON PROJECT(リバリュー ニッポン プロジェクト)」。手がけているのは、一般財団法人「TAKE ACTION FOUNDATION(テイク アクション ファウンデーション)」。元プロサッカー選手の中田英寿さんが代表理事をつとめる団体だ。

2009年からスタートした同プログラムでは、毎年ことなるテーマを設定して作品を制作。中田さんふくめ、さまざまな分野の専門家をアドバイザリーボードにむかえ、伝統工芸家や匠、デザイナーやアーティストとのコラボによる作品を生み出している。


2回目となる今回のテーマは「和紙」。伝統工芸に新たなアイディアが加味したオリジナリティあふれる作品たちが、3月28日(水)から銀座三越(東京・銀座)で初めて一般公開されている(※一部作品をのぞく)。

中田さんいわく、伝統工芸は素材を重視したものづくり。和紙には素材としての高い可能性を感じていたという。
「現代の生活にも使えるし、さらにモダンでもあり、日本らしさも出せる素材だな、と」

会場には中田さんの監修作品『陰影のある和紙に刻まれた「日本の風景」』も展示されているが、こちらは和紙を写真の印画紙として使っためずらしいスタイル。
「印刷会社も写真家も、和紙に写真を載せるというのはほぼやったことがなくて。
でも、和紙には凹凸があるので陰影がでて、きれいだろうなと思っていました」
日本を代表する5名の写真家の作品を、和紙アーティストである堀木エリ子さんによって手漉きされた大きな和紙にプリント。和紙は、写真のイメージによって風合いも変えてあり、その多彩な質感に驚かされる。

「伝統工芸というと、やっぱり敷居が高いとか、距離を置くこともあると思うんですけど、そうじゃないということをわかってほしい」
と中田さん。参加メンバーにはNIGO(R)さんや蜷川実花さんなど幅広いジャンルの人が名を連ねているから、これまで興味のなかった人たちが伝統工芸に接するいい機会にもなりそうだ。

会期は4月3日(火)までで入場無料。なお、展示してある作品はすべてサイレントオークション(入札形式)で販売され、オークションの収益金は次年の活動資金にあてられるという。


ほかではなかなか実現しえない貴重なコラボレーション作品が目白押し。伝統工芸に苦手意識がある人も、ぜひ一度足を運んでみては。
(古屋江美子)

■ 開催概要
REVALUE NIPPON PROJECT~中田英寿が日本を旅して気付いた、伝統文化の再発見~
会期:3月28日(水)~4月3日(火) ※最終日は16:00閉場
場所:銀座三越8階ギャラリー