ココイチ、モスバーガーなど、日本の有名チェーン店が続々進出している韓国。去る4月15日、餃子を初めとする中華料理でおなじみの「大阪王将」が韓国に初上陸したというニュースを聞き、おいしい焼き餃子に飢えていたソウル在住の私は、早速訪れてみた。


大阪王将韓国1号店は、ソウルの江南(カンナム)という最もホットなエリアのひとつに位置する。店舗は2階にあり、大阪っぽい派手な外観で、韓国の看板に負けない個性を放っていた。私が訪れた時は、お昼過ぎの曖昧な時間にも関わらず、若いカップルや会社員がそこそこ利用していた。

激辛スープとシーフードの麺料理「チャンポン」、甘い肉味噌がかかった麺料理「チャジャン麺」など、中華料理が独自の発展を繰り広げてきた韓国で、本場中国とも異なる日本の中華料理はどう受け入れらるのか。E&Gフーズの斉藤社長に、お話を伺った。
韓国の大阪王将では、日本に比べメニュー数を絞っている以外には、基本的に同じレシピの商品を提供しているという。
1番人気はやはり焼き餃子。「マンドゥ」と呼ばれる蒸し餃子が一般的に食べられる韓国で、日本式の焼き餃子を販売するにあたり、餃子の皮や具をつくる自社工場を韓国に設け、日本同様に手包みにこだわるなど、品質にこだわった。
その次に、韓国での日本式ラーメンのブームに乗っかり、トンコツラーメンが人気を集める。ご飯系では、ふわとろ卵が印象的な天津飯が人気だとか。
一方、皿うどん、中華丼といった、日本ならではの発展をした中華料理は、韓国では認知度が低く、これからだという。

 ちなみに韓国のお客さんは、付け合せにキムチを求める方も多く、求められればサービスで提供しているのだとか。
餃子のたれに使うラー油の消費も、日本に比べて多いそう。さすが辛いものが好きなお国柄である。
一方で、お客さんから「塩辛い」という意見をもらうことがあり(唐辛子の辛さと塩の辛さは別のよう)、これからは国ごとの嗜好に合わせて少しずつ変えていきたいと斉藤さんは話す。

 筆者はふわとろ天津飯と餃子のセット(9000ウォン=約630円)を注文してみた。皮はパリッとして中はジューシーなこの餃子は、まさに日本で食べた味。私も家で焼き餃子を作ってみたことがあるのだが、韓国で市販されている餃子の皮は厚く、このような焼き加減にはならない。
厚めの皮で包んだ韓国のマンドゥも、もちもちして美味しいが、日本の焼き餃子は日本の味なのだなと、改めて実感してしまった。
 なお、価格帯は、焼き餃子3000ウォン(約210円)、ふわとろ天津飯7000ウォン(約490円)、トンコツラーメン7000ウォン。比較的、女性客が多く、日本からの新しい料理として利用者の好奇心をかきたてているようである。

 食のグローバル化が進む昨今。日本発の中華料理が韓国で人気を得ることを祈るとともに、チャンポン・チャジャン麺など韓国の庶民的な中華料理が、いつの日か日本の大阪王将で食べることができるようになっても、おもしろいなと個人的には思う。
(清水2000)

■ 大阪王将 江南店
ソウル市江南区駅三洞619-15 2階 tel.02-3453-6479