建物は古くなるのに、更新時の家賃アップはなぜ?
スピリッツで連載中の『アフロ田中』も、はじめての賃貸契約を交わしたところです。
「秋は引越しの借り手市場」といわれるように、ここで更新を迎える人も多いはず。

それにしても、昔から疑問だったのは、更新時に家賃が上がるケースが、けっこうあるということ。

「部屋の契約が更新になって、家賃が毎月5000円も上がるんだよ? 1年分合計したら、すごい痛いよ。部屋は古くなるわけだから、逆に安くなっても良いくらいなのに、なんで上がるんだろう」なんて、友人・知人がボヤくのをときどき聞くのだが、これって当たり前なんだろうか。
私自身は、更新時に家賃が値上がりした経験はないのだが、調べてみると、個人のブログなどでも、同様の苦情を書いている人はけっこういた。

いったいなぜ? 賃貸物件を扱う株式会社エイブルに聞いてみると……。
「更新時に家賃が上がるというのは、大家さんがお家賃を決めてるとか、いろいろ事情があるかとは思いますが、こちらでは特にお答えしかねます」
同様の質問が、一般のお客さんからあったりはしないのかと尋ねると、「ありませんね」とのこと。

近所の不動産屋さんにも聞いてみたが、
「大家さんの事情など、いろいろで、はっきりした理由はわかりません」というだけ。

更新時に家賃が上がることは、契約書に書かれていたりもするのだろうが、それにしても、不動産会社に尋ねても明確な理由が得られないとは……。

続いて、株式会社CHINTAIにも聞いてみると、調べたうえで、こんな回答をくれた。
「当社は全国で100万件を扱っていますが、ここ2〜3年を見る限り、更新時に家賃が上がることが多いかというと、そうでもなく、据え置きのところが多いようですよ」
全体としては、更新時に家賃が上がることは少ないようだが、家賃が上がる場合については、
「いちばん大きい理由は、地価の問題ですね。地価が上がると、家主さんの固定資産税が増えるため、それを補うために、家賃の値上げをするようです。基本的に、家賃の設定は家主さんがしているもので、家主さんがいかに利回りをよくするかという問題を考えたうえで、決めているんですよ」
とのこと。

ちなみに、現在二極化が進むなか、地価が上がっているのは、東京の中心部と、武蔵小杉あたりを中心とした神奈川の一部だそうで、更新時に家賃が上がるのは、そのあたりの地域が多いかも……ということだった。


「部屋が古くなるのに……」という疑問に関しては、
「物件の古い新しいは、20年、30年とかになると関係ありますが、2年や4年とかでは全然価値が変わりません。逆に、家主さんが家賃を下げる場合は、あまりに古すぎるとか、駅から遠すぎるとか、日当たりが悪いなどの理由があって、『人があまり入ってくれない』というときですね」

つまり、家賃が上がるのも下がるのも、当然かもしれないが、すべて家主さん次第ということ。ただし、家主さんと直接のやりとりがある場合、交渉で安くしてもらったという人もいるので、ダメ元で聞いてみる価値はあるかもしれません。
(田幸和歌子)