「スーパーマリオブラザーズ」と並ぶ、任天堂・宮本茂氏の代表作と言えば「ゼルダの伝説」。去る2月21日は、そんな「ゼルダの伝説」が発売されてからちょうど25年目の誕生日でした。
パチパチパチパチ!

というわけで今回は「ゼルダの伝説」25周年にちなんで、知っていると「ゼルダの伝説」がちょっと楽しくなる豆知識をお届けしてみます。それでは長ったらしい前置きはヌキにして、さっそくゴー!


■豆知識1:リンクが左利きな理由

主人公・リンクのドット絵をよく見ると、右手で盾を、左手で剣を持ってますよね。そう、実はリンクは”左利き”。後に宮本茂氏が語ったところによると、リンクのキャラクターをデザインした際、「間違えて剣を左手に持たせてしまった」のだとか。それ以来リンクは左利きというのが公式設定となっています。
ちなみにシリーズで唯一右手で剣を持っているのが、Wiiで発売された「ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス」。
これは”リモコンで剣を振る”という操作の都合上、どうしても右手に剣を持たせる必要があったからだそうです。


■豆知識2:ROMカートリッジ版との違い

当初は「ファミリーコンピュータ ディスクシステム」用タイトルとして発売された「ゼルダの伝説」ですが、後に「ゼルダの伝説1」というタイトルで、普通のカセット(ROMカートリッジ)でも発売されています。
基本的な内容はどちらも同じですが、ROMカートリッジ版はディスクシステムよりも使える音源がひとつ少ないため、オープニングなど一部の曲が差し替えられています。両方持っている人……は多分そんなにいないと思いますが、機会があればぜひ両方のバージョンを聞き比べてみてください。オープニングでおごそかに流れる「鐘の音」に、当時のゲーマーたちは「ディスクシステムってすげえええええ!」と震えまくったもんです。


■豆知識3:剣が洞窟に隠されているワケ

ゲームをスタートすると、いきなりある怪しげな洞窟。
ここに入ると、「ヒトリデハ キケンジャ」といっておじいさんが剣を持たせてくれます。しかし宮本茂氏によると、当初この洞窟は存在せず、リンクも最初から剣を持っていたのだそうです。
宮本氏によると、実は最初「ゼルダの伝説」は、社内で「わかりにくい」と猛反発を受けたのだそう。そこで宮本氏はわざとリンクから剣を取り上げてしまい、「どう見ても入れと言わんばかりのほら穴」に隠した。そうすることで、このゲームは「自分で怪しいところを探していくゲームなんだ」という暗黙のルールを示したわけです。
ほら穴を見つけて、おじいさんから剣をもらった瞬間、プレイヤーは自然にこの世界のルールと理を把握している。
こういうデザインは、今のゲームにも学ぶところがありそうですね。


■豆知識4:ダンジョンマップに隠された秘密

「ゼルダの伝説」には、最後に辿り着くダンジョンを除いて、全部で8つのダンジョンが出てきます。これらのダンジョンマップをパズルのように全部つなぎ合わせると、8×16マスからなる一枚の大きなマップになるーーというのをご存じでしたか?
実はこの「8×16」というのは、広大な地上のマップと同じ面積。一見「地上1枚+ダンジョン8枚」でできているように見える「ゼルダの伝説」のマップですが、実は「巨大な2枚のマップ」でできていたんですね。たぶん「少しでもマップに使う容量を減らそう」という意図があったのだと思いますが(ちなみに「ゼルダの伝説」に使われている容量はたったの112キロバイト!)、はじめて知った時は「あの広大な地上マップの下には、びっしりとダンジョンのマップが敷き詰められているんだ!」とちょっと感動したものです。


■豆知識5:激ムズ! 初心者お断りの「裏」ゼルダ

これは知っている人も多いと思いますが、ゲームクリア後、スタートボタンを押してふたたびゲームをはじめると、通常よりも難易度の高い「裏ゼルダ」で遊ぶことができます。

「裏」ではダンジョンの場所や構造が違っているほか、敵のバリエーションが増えていたり、手に入るアイテムの順番が入れ替わっていたりと、かなり難易度が上がっているのが特徴。腕に自信がある人はぜひ「裏」制覇にもチャレンジしてみてください。
ちなみにゲームをクリアしなくても、ファイル名入力画面で「ZELDA」と入力することで、最初から「裏ゼルダ」で遊ぶことが可能。ただし本ッッッ当に難しいのでくれぐれもご注意を!


ーーというわけで、全部で5つの豆知識を紹介していましたが、あなたはいくつ知っていましたか?

「ゼルダの伝説」が発売されたのは、1986年の2月21日。ファミリーコンピュータの機能をさらに拡張するためのオプションとして発売された「ファミリーコンピュータ ディスクシステム」の対応第一弾タイトルとして「ゼルダ」は発売されました。

この当時「スーパーマリオ」はすでに発売されていましたが、エニックスの「ドラゴンクエスト」は未発売。
ゲームと言えば「ゼビウス」や「ドンキーコング」のように、ゲームセンターからの移植モノが大半で、1プレイあたり数分~数十分で終わるものがほとんどでした。

そんな中「ゼルダ」は、ファミコンという土壌にはじめて「成長する主人公」と、「ひとつのゲームを(中断をはさみながら)長時間遊ぶ」という要素を持ち込んだ。今ではこういうゲームのことを「アクションRPG」なんて言ったりしますが、最初にそれをやってのけたのが「ゼルダ」だったわけです。ゲームと言えば「3機死んだら終わり、また最初から」だと思っていたファミコンユーザーにとって、どれだけ「ゼルダ」が衝撃的だったかわかりますよね。

あの衝撃から早25年。ディスクシステムで産声を上げた「ゼルダ」は見事に任天堂の看板シリーズになりました。
そんな歴史に思いを馳せながら、たまには昔を懐かしんで初代「ゼルダ」で遊んでみるのもいいかもしれません。今遊んでも十分すぎるくらい面白いですよ!

なお以前エキレビで紹介した「れとげのまち」でも現在、25周年を記念して「ゼルダの伝説」をみんなでワイワイ遊んでいたりしますので、興味がある方はぜひご参加を。詳細については「れとげのまち」公式サイトへどうぞ!(池谷勇人)