アニメ『BANANA FISH』（→公式サイト）。
「第11話 美しく呪われし者」が今日9月13日(木)25:05より、フジテレビ”ノイタミナ”ほかで放送。
今回はバナナフィッシュ内でも屈指の、アッシュの心にトラウマを植え付けた回。原作のエグいシーンを、きっちり再現してくれている。
バナナフィッシュで狂わされた親友ショーター。彼の懇願を聞いて、撃た殺さざるを得なくなったアッシュ。
彼はエイジ奪還と脱出のため、武装してディノ手下と戦闘を繰り広げる。
もっともこの時点では、苦しみつつもまだ、皆に支えられて冷静さを保っていた。
マックスの「死ぬなよ」という発言にニヤリと笑う。
アッシュが「俺が怖いか？」と聞いた時、エイジはいつもどおりの顔で「まさか」と返してくれた。
仲間との絆自体は、ショーターの件でさらに強くなっていたはずだ。
しかし、薬物バナナフィッシュに冒されたショーターの死体を解剖し、研究している様子を見た時にアッシュは愕然。修羅と化す。
ショーターは原作では髪の毛を剃った丸坊主だった。
しかしアニメではモヒカン頭のまま。
今回髪をそらなかった理由のひとつが描かれた。
髪の毛が頭から大きくずれた位置に置かれているカットを入れたことで、ショーターの頭蓋骨を削って弄ぶ、解剖の惨状をほのめかしたのだ。
グロテスクなシーンはそこまで多くないこの作品で、アニメでの表現が難しいシーンを、間接的表現で成立させた。
いやはやお見事すぎて、後味最悪だよ！
アッシュがなぜショーターを燃やしたのかは、１１話で語られるはず。
ショーターは、誰にも嫌われていないキャラクターだった。
アッシュよりさらに幼い少年のシン・スウ・リンが、１０話の予告でショーターの好きなところを述べている。
シン「筋肉のついたたくましい体、俺が腕にぶら下がっても耐えられるんだぜ！」
ショーターは、チャイナタウンギャングのボスであり、みんなのお兄ちゃんだ。
これが後に、良くも悪くも火種になっていくのは、皮肉な話。
エイジ「ショーターは？置いていくの？」
アッシュ「あいつは死んだ、俺が殺したんだ、お前も見ただろ！」
エイジとアッシュの死への感覚が異なっているのが見える会話だ。
当たり前のように「置いていくの？」と聞いたエイジ。彼が言いたいのはショーターの死体のことだ。
一方でアッシュは死体そのものへの考えがここでは浮かんでおらず、「死んだ」「殺した」という事実のみを述べた。
遺体を丁寧に扱う文化が体に染み付いている日本人。エイジはおそらく、遺体を持って帰って弔いたいという気持ちが、自分の価値基準の中から自然とわいたんだろう。
今までエイジや伊部と、アッシュの間で、銃を持つことに対しての感覚がズレていたのと似ている。
アッシュ「お前の言うとおりだ。ショーターをあのままにはしておけないもんな」
アッシュがエイジの意見を聞いて場面。
これは銃に対して抵抗のあったエイジが、アッシュに「銃を貸して。
どちらが正しいかは、この作品は問題にしていない。
２人が相手の文化や考え方を理解し、自分の生き方と照らし合わせて受け入れるよう努力しているのがポイント。
マックスの妻のジェシカ襲撃し、強姦したマフィアの男。
それを見つけたアッシュが、額に一撃銃弾を撃ち込んで殺す。アニメのオリジナルシーンだ。
アッシュ「よう、また会ったな。おっさんが言ってたぜ、脳天に鉛玉ぶち込んでやるってよ」
アニメ版のアッシュは、性犯罪に対しての怒りが、原作よりだいぶ高め。
以前の刑務所編で、性的暴行を加えようとしてきた男の股間をフォークで潰した場面が、これまたアニメオリジナルで追加されていた。
アニメ版のアッシュは、原作の冷酷な雰囲気と比べると感情的だ。山猫のごとく牙を剥き、近づく大人をことごとく嫌悪して殴りかかるような性格が強調されている。
性的搾取を幼い頃から受けていた彼の、性犯罪への強烈な嫌悪と、因果応報的な復讐。アニメ版のアッシュらしさを形作る演出の一環だろう。
同時に仲間意識を持てるくらいには丸くなってきているのが、今回の報復ではっきりした。
「少年」であるアッシュが嫌っていた「大人」。しかし父親の象徴的キャラクターのマックスの苦しみは、理解し共感できている。
にしても現時点で６巻の終盤まで。１１・１２話で１クールめを一旦まとめるはずだが、どう間に合わせるんだろう。おそらくOPでも出てきたあの戦いがクライマックスになりそうだけれども、そもそも２クールで終わるの！？
ここまでやりづらい原作をかなりすっきりさせつつ、丁寧にアニメ化できているので、期待してます！
（たまごまご）
「第11話 美しく呪われし者」が今日9月13日(木)25:05より、フジテレビ”ノイタミナ”ほかで放送。
Amazon Prime Videoで毎話フジテレビ放送開始１時間後より配信予定。
今回はバナナフィッシュ内でも屈指の、アッシュの心にトラウマを植え付けた回。原作のエグいシーンを、きっちり再現してくれている。
吉田秋生「BANANA FISH」１０巻表紙。「バナナフィッシュ」きっての残虐シーンを、巧みに演出していた回
ハゲなかったショーター
バナナフィッシュで狂わされた親友ショーター。彼の懇願を聞いて、撃た殺さざるを得なくなったアッシュ。
彼はエイジ奪還と脱出のため、武装してディノ手下と戦闘を繰り広げる。
もっともこの時点では、苦しみつつもまだ、皆に支えられて冷静さを保っていた。
マックスの「死ぬなよ」という発言にニヤリと笑う。
アッシュが「俺が怖いか？」と聞いた時、エイジはいつもどおりの顔で「まさか」と返してくれた。
仲間との絆自体は、ショーターの件でさらに強くなっていたはずだ。
しかし、薬物バナナフィッシュに冒されたショーターの死体を解剖し、研究している様子を見た時にアッシュは愕然。修羅と化す。
ショーターは原作では髪の毛を剃った丸坊主だった。
しかしアニメではモヒカン頭のまま。
今回髪をそらなかった理由のひとつが描かれた。
髪の毛が頭から大きくずれた位置に置かれているカットを入れたことで、ショーターの頭蓋骨を削って弄ぶ、解剖の惨状をほのめかしたのだ。
グロテスクなシーンはそこまで多くないこの作品で、アニメでの表現が難しいシーンを、間接的表現で成立させた。
いやはやお見事すぎて、後味最悪だよ！
アッシュがなぜショーターを燃やしたのかは、１１話で語られるはず。
ショーターは、誰にも嫌われていないキャラクターだった。
アッシュよりさらに幼い少年のシン・スウ・リンが、１０話の予告でショーターの好きなところを述べている。
シン「筋肉のついたたくましい体、俺が腕にぶら下がっても耐えられるんだぜ！」
ショーターは、チャイナタウンギャングのボスであり、みんなのお兄ちゃんだ。
これが後に、良くも悪くも火種になっていくのは、皮肉な話。
エイジの死への感覚
エイジ「ショーターは？置いていくの？」
アッシュ「あいつは死んだ、俺が殺したんだ、お前も見ただろ！」
エイジとアッシュの死への感覚が異なっているのが見える会話だ。
当たり前のように「置いていくの？」と聞いたエイジ。彼が言いたいのはショーターの死体のことだ。
一方でアッシュは死体そのものへの考えがここでは浮かんでおらず、「死んだ」「殺した」という事実のみを述べた。
遺体を丁寧に扱う文化が体に染み付いている日本人。エイジはおそらく、遺体を持って帰って弔いたいという気持ちが、自分の価値基準の中から自然とわいたんだろう。
今までエイジや伊部と、アッシュの間で、銃を持つことに対しての感覚がズレていたのと似ている。
アッシュ「お前の言うとおりだ。ショーターをあのままにはしておけないもんな」
アッシュがエイジの意見を聞いて場面。
これは銃に対して抵抗のあったエイジが、アッシュに「銃を貸して。
自分の身は自分で守るよ」と自ら言い出したシーンの後に入っている。
どちらが正しいかは、この作品は問題にしていない。
２人が相手の文化や考え方を理解し、自分の生き方と照らし合わせて受け入れるよう努力しているのがポイント。
性犯罪は絶対許さないアッシュ
マックスの妻のジェシカ襲撃し、強姦したマフィアの男。
それを見つけたアッシュが、額に一撃銃弾を撃ち込んで殺す。アニメのオリジナルシーンだ。
アッシュ「よう、また会ったな。おっさんが言ってたぜ、脳天に鉛玉ぶち込んでやるってよ」
アニメ版のアッシュは、性犯罪に対しての怒りが、原作よりだいぶ高め。
以前の刑務所編で、性的暴行を加えようとしてきた男の股間をフォークで潰した場面が、これまたアニメオリジナルで追加されていた。
アニメ版のアッシュは、原作の冷酷な雰囲気と比べると感情的だ。山猫のごとく牙を剥き、近づく大人をことごとく嫌悪して殴りかかるような性格が強調されている。
性的搾取を幼い頃から受けていた彼の、性犯罪への強烈な嫌悪と、因果応報的な復讐。アニメ版のアッシュらしさを形作る演出の一環だろう。
同時に仲間意識を持てるくらいには丸くなってきているのが、今回の報復ではっきりした。
「少年」であるアッシュが嫌っていた「大人」。しかし父親の象徴的キャラクターのマックスの苦しみは、理解し共感できている。
にしても現時点で６巻の終盤まで。１１・１２話で１クールめを一旦まとめるはずだが、どう間に合わせるんだろう。おそらくOPでも出てきたあの戦いがクライマックスになりそうだけれども、そもそも２クールで終わるの！？
ここまでやりづらい原作をかなりすっきりさせつつ、丁寧にアニメ化できているので、期待してます！
（たまごまご）
