なあ、知ってるか。
何日も人と話さないでいると話し方忘れちゃうんだぜ。

いやいやほんとほんと。とっさにあいさつされても、声出なくなるんですよ。
へーそうなんだーわかんないなー、と言う人はそのままの生活を送るといーです。

中高時代は特に人間関係を築くので悩みまくる時期。自分もしゃべれなくなった時は焦ったね……。
まあそこまでいかなくても、「孤独」を知っていたり、鬱屈のたまるような中高生生活を送った人にオススメしたいのが「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!」

タイトル長いね! しかしこれ以上ないくらいぴったりなタイトルなんですよ、読めば分かる。
 
ヒロインは「喪女」(モテない女性のこと)と書かれていますが、どっちかというと考え過ぎで、人とコミュニケーションができない子です。
中学時代あまりうまくいかなかったから、高校でデビューだ! リア充生活バンザイ!……と思っていたらおかしい。ただでもモテると思っていた「女子高生」なのに、二ヶ月近く高校生と会話をしていないぞ?
男子と話せないのはもちろん、女子とも話せません。周りの男女の会話を聞いてはビクッと怯える日々。
脳内では色々シミュレーションしているけれども、まさにずっとしゃべってなかったからどう話せばいいかわからなくて空回りどころか声もでない。

ああーもう、何が悪いんだ、どうしてこうなったんだ。
そうか。
グループ作ってる女なんて男のことしか考えてないバカだ!
バカ女と一緒にいる男なんてどうせクズだ!
あんな奴らと群れるくらいなら、ぼっちでいいし!
私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!!!
 
あーあ、やっちまったね。
自意識過剰で誰とも話さず、ものすごい勢いで空回りする日々が始まります。
そんなコミュニケーションが取れない少女のギャグマンガ、なんですが、これを「笑える!」と取れるか「辛すぎて読めない」と見るかは人それぞれです。
ぼくはそういう失敗通過済みの大人なので、ところどころ半泣きになりつつも、大笑いさせていただきました。

ようは、いじめられてるわけでも、嫌われてるわけでもないんですよこの子。
単なる自意識過剰。自分で勝手に思い込みで人に近づけなくなって、失敗を繰り返して、相手を悶々と呪うんですもの。
「あるある」ですよ。結局大したことないのに考えすぎで鬱になってしまうこの感覚は「だよねー」と分かるから笑わせてもらえます。
えっ、どのへんが「あるある」かわからない?
そういう人はそのまま生きていくといーです。


例えば友達の多そうなクラスメイトが、彼女ができた友人の話題で「まじリア充は死んでほしいわ」「ツ●ッターでリア充爆発しろとか言ってたんだ、あれウケたわ!!」と机の横で会話しているシーンがあります。
これを見てヒロインは思います。
「私の寿命一年減らしていいから、あいつら事故死しねーかな……」
うむ。
この「リア充」感覚へのいら立ちも、心底うっとうしく感じる感覚(自分がそうしたいけどできないのを認めたくないから!)も、よーくわかる、わかるよ。

フルスロットルで間違った方向に進む青春・・・というにはよどみ過ぎた世界に没入する彼女。
そのうち昼休みは妄想をして過ごすことに喜びを見出すようになったり、「ヤンデレ男子言葉攻めCD」を聞きふけるようになります。

多分お気づきのことかと思いますが、そうなんですこの作品ヒロイン一人のモノローグと独り言で成立してます。というか、妄想と罵詈雑言で占められています。
ただこれだけだと井の中の蛙の見た窮屈な世界でしかなくて笑えないんですが、弟が出てきて客観的に姉の行動にツッコミを入れることで笑えるように落としているのもうまい。これ弟いなかったら辛いマンガだったろうなあ。

この作品最大の魅力は、そんなダメな彼女がものすごくかわいいことです。
見た目がかわいいというのもあるんですが、ようは空回りして自虐的になったり、周囲を恨みつつも実はそこに憧れている彼女、ちょっとした優しさにコロッとまいっちゃうんですよ。
これがもうかわいくてかわいくて。
散々男達に対して、お前らといるより一人の方がましだ、とか、彼氏ができた友人に「メスブタ」とか言う割に「一度でいいから男の子にやさしくされたい……」とモノローグをこぼしちゃうあたりもたまらなく愛しいのです。
共感半分、すっごい優しくしてあげた気持ち半分とでもいいますか。

高校時代の休み時間に眠るふりをするのがうまくなった人や、「自分はみんなと違うんだ!」と思いながら本を読んでいた人にはぜひ読んでもらいたいのです。ネタが生々しいだけにスカっとしますよ。
ただ、一人ファーストフードしていたところにクラスメイトが入ってきて、脱出できないシーンはちょっとオエってなりましたね! オエッ。
あーあ。そうやっておとなになるんだよ……。
(たまごまご)