今すごいよね、「アイドル」がさ。
アイドルはどの時代にも常に居続けるもの。
にしても現実のアイドルも四方六方八方にいますし、アニメやゲームも『アイカツ!』『プリティーリズム』『ラブライブ!』『AKB0048』などアイドル満載。プリキュアにもアイドルキャラいますし。
しみじみと、アイドルの持つ影響力、すげーなーと感じます。

さて、コミックス『THE IDOLM@STER』が発売されました。
「え?アイマスのコミックスっていっぱいあるじゃん」と言われたら、そのとおり。
ちょっとこれがややこしいので、アイマスに触れたことがない人向けに簡単に解説してみます。

特に今回は、若い人にもよんで欲しい内容なので「13歳からはじめるアイマス」と題してみようと思います。
なんで13歳からかというと、僕の好きなキャラ双海亜美・真美が13歳だからです。

1・何も知らない状態でもわかる親切設計
まず頭をまっさらにした状態で。
「アイマスってどんなだろ?」となった時一番の壁は「キャラ多すぎぃ!」ってことだと思います。
どのアイドルユニットやマンガでもそうですけど、壁なんすよ。
今回の『THE IDOLM@STER』はキャラ一人一人順番に13人スポットを当てていく内容になっています。

その周りを別のキャラが出入りするので、既存のファンも楽しめる、新規の人もわかりやすい。
難しい悩みや、大人の事情は一切描かれません。
アイドル達がこれからデビューし、仕事が入ってくる瞬間。これから新しいステージに立つ瞬間を、ひとりずつにスポットを当てて描いています。
だからもう、希望でいっぱいなんですよ。これが楽しい。

今回は、おっちょこちょいだけど一生懸命な天海春香、天才肌で美貌も抜群の星井美希、元気ハツラツ沖縄娘我那覇響の3人「だけ」わかれば十分です。
知っていたら面白い設定も確かにありますが、後からでもわかるので考えなくてOK。
その他はおいおいわかります。読みこめば他のキャラも全員わかるようにもなっています。
ぞんざいな扱いのキャラもいないのでご安心を。

2・パラレル世界の一番おいしいところ
2005年7月26日から稼働。
時代を横断するかのように8年めを迎えるアイマスシリーズ。
元々はアーケードゲームでした。その後XBOX360に移植され、PSP、DS、PS3にも続編やサイドストーリーとして展開。
今はソーシャルゲーム『シンデレラガールズ』では150人越え、『ミリオンライブ』では765プロダクションに50人と、めちゃくちゃ増えました。
コミックスも山ほど発売されおり、このコミックスと同じ日に『アイドルマスター2 The world is all one!! 3』『ぷちます! 5ーPETIT IDOLM@STER 』『アイドルマスター2 Colorful Days 3』と発売されています。多すぎぃ!
アイマス関連の本・アニメ・ゲームは、それぞれがほぼ全てパラレルだと思ったほうがいいです。

キャラクターは確かに同じです。しかし世界観は全然違う、と言っても過言ではないです。
どれが「正伝」というわけじゃなく、どれも「アイマス」というベースの上に建った作品なんです。
ゲームだってそもそも、プロデューサー=プレイヤーです。100人いたら100通りの世界観が生まれる、そういう不思議な空間です。

今回の『THE IDOLM@STER 1』はアニメーション版のシナリオ世界、という設定です。

元々のゲームにはプロデューサーには絵がありません。
アニメではプロデューサーに眼鏡の男性が当てはめられました。超熱血で、アイドルと二人三脚の好青年です。
名前はないのですが、中の声優さんから取って「赤羽根P」なんて呼ばれています。
熱血で、トップアイドルを育てることだけに熱意を注ぐプロデューサーと、アイドルたちの物語。
コマ割りは男性向けコミックスですが、内容は極めて少女漫画的。少女達の心理を徹底して描きます。
アニメではデビュースルまで長かったですし、これからややこしい問題が起きるのですが、その間の、ちょうどおいしいところどり。本当に安心して楽しめます。

3・アニメ版とどう違うの?
今回のコミックスは、アニメのコミカライズではありません。
アニメで描かれなかった部分の補完です。
(ここからはアニメ版を知っている人向けに書きます。)
今作は14話以降、竜宮小町が台風で遅れ、無名だった765プロの面々が挽回してメジャーになりはじめた瞬間からのストーリーです。
なので、作中番組の「生っすか!?」は企画段階からのスタート。
顔が知れて有名になりはじめたばかりの天海春香、少しでも上に登りたいと戦う星井美希、自分のイメージと仕事の間で悩む我那覇響。
いずれも描かれなかった部分ですので、アニメを見ていた人はこれを読んでからもう一度アニメを見たら、きっと3倍楽しいはず。
それでいて、アニメを全く見ていなくてもストーリーとしてしっかり芯が通っているので、誰にでも勧められるものになっています。
765プロがユニットではなく、それぞれ個々の道を歩みはじめる瞬間なのも、実にいい。
ゲームと違う、とか、シンデレラガールズのキャラは、とか言われたら「それはパラレルだから」と答えましょう。
作画のまなの絵が極めてアニメ絵に近く、脚本(原作ではない)はアニメの脚本をやっていた高橋龍也。
アニメからコミックへ、コミックからアニメへと視聴者・読者を誘導する、気配りされた作品です。

4・13歳からのアイマス
まあ、亜美真美が13歳だからというのは冗談としても、これは中学生くらいに読んで欲しいなと言うのは本音です。
女の子たちがかわいくて、一生懸命で、悩みを抱えて……生身の成長物語要素がぎっちり詰まっています。
ゲームは基本的にプロデューサーから見てのアイドルなので、視点が違います。このマンガは完全に、キャラクター目線です。
アイドル、という特殊な立ち位置ですが、新たな局面に立たされてハラハラする気持ち、ワクワクする気持ちは共感出来る部分多いです。
まさに今、最初に挙げたように現実でも架空でもアイドルブーム。その魅力は、ステージに上がるキラキラの憧れと、悩みを抱えながら頑張ろうと前向きになるエネルギーにあるように感じます。他にもいっぱいあるんですが。
特に今回は、一人一人にスポットを当て、等身大の悩みを描いています。涙流すような深刻なものではないけど、どうすればわからなくて困惑するようなものばかり。
それを努力で乗り切っていくのが、短いストーリーでガシガシっと描かれるので実に気持ちいい。
彼女たちの成長の物語以外のしがらみは全部カットされている潔さもいいです。恋愛要素ももちろんなし。
「美希かわいい!」とニヤニヤするもよし、「春香がんばれ!」と応援するもよし、「響、俺に元気を!」とエネルギーもらうもよし。


何を言いたいかというと、老若男女問わずアイマスの話できたらいいな、ということです。ぼくが。
全然キャラのこと知らなくても、女の子が頑張っている姿が見たい人にはオススメできる一冊ですよ。


まな・高橋龍也
『THE IDOLM@STER 1』特装版
『THE IDOLM@STER 1』

(たまごまご)