何と読む?「集く」「集る」ミミズは鳴くのか鳴ないのか「米光一成の表現道場」

何と読む?「集く」
何と読む?「集く」「集る」ミミズは鳴くのか鳴ないのか「米光一成の表現道場」

「集まる」は「あつまる」と読む。
「集う」は「つどう」と読む。

では、
「集く」












「すだく」

「くさむらに集く虫を聞く」というふうに使う。
もともとは「集まる」意味だったが、
虫などが集まって鳴く、という意味にも使われるようになった。

もう一問。
何と読む?「集る」
何と読む?「集く」「集る」ミミズは鳴くのか鳴ないのか「米光一成の表現道場」

さて、
「集る」












「たかる」

「ハエが集る」「お金を集られる」というふうに使う。
よりあつまる、群がる、という意味。
人に金品をせびるときにも使う。

ミミズは鳴くのか?


何と読む?「集く」「集る」ミミズは鳴くのか鳴ないのか「米光一成の表現道場」

前回、【何と読む?「蚯蚓」】を出題し、その解説で次のように書いた。

「蚯蚓鳴く」で秋の季語。
とはいえ、発音器官を持っていないので鳴いたりはしない。


最初は、「発声器官を持っていないので鳴いたりしない」と書いたのだ。

だが、考えてみれば、ほとんどの虫は発声器官で鳴くわけじゃない。
鈴虫をはじめとして、多くの虫は羽根をすり合わせて「鳴く」。
だから、発声器官をもってなくても鳴ける。
だから、推敲して、発音器官にした。

前回の記事に対して、間違いを発見したとアクションをもらった(感謝)。
大きなミミズだとわかりやすくて、捕まえたりすると「キュッ、キュッ」って鳴くよ。
という指摘だ。

たしかにミミズが「キュッ、キュッ」と音を立てるという事例は、いくつか報告がある。

たとえば、『調べるっておもしろい! ミミズが鳴くってほんとう?』という本。
ミミズは鳴くのか?という疑問を、徹底的に調べている本である。
新聞記事や資料を調べる。
周りの人にしらみつぶしに聞いてみる(235人!)。

ミミズの本はもちろん、歳時記、漢字の本の「ムシ類の漢字」の項、ミミズが出てきそうな本はかたっぱしから調べる。
さらには専門家をたずねて聞いてみる。
さらにさらに、自分でミミズを飼って、調べてみる。
調べることの楽しさがつまった本だ。

この本の中でも、ミミズが「キュッ、キュッ」や「ギュッ」と音を立てるという報告事例が紹介されている。
本の著者は、その音を、“からだを急にきゅっとちぢめると、体節から音が出る”ためではないかと推測している。
その問いに、専門家の先生は「うーん、むずかしいですが、絶対にないとはいえませんねえ」と答える。

たとえ、からだを縮めるときに体節から音が出たとしても、それを「鳴く」と言ってよいものか。
「ミミズが鳴くかどうか」を調べるだけでも、とてもたいへんで、とても楽しいことなのだ。

【過去問】
何と読む?「牛蒡」
何と読む?「集く」「集る」ミミズは鳴くのか鳴ないのか「米光一成の表現道場」

何と読む?「七五三掛龍也」
何と読む?「集く」「集る」ミミズは鳴くのか鳴ないのか「米光一成の表現道場」

何と読む?「竜髭菜」
何と読む?「集く」「集る」ミミズは鳴くのか鳴ないのか「米光一成の表現道場」

(テキスト:米光一成 タイトルデザイン/まつもとりえこ)
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