米大リーグ公式サイトは9日(日本時間10日)、元ブレーブスなどの監督を務めたボビー・コックス氏が死去したと発表した。84歳だった。

監督としては29年で通算2504勝とメジャー史上4位の勝利を挙げ、2014年に殿堂入りも果たした名将。1991年から2005年まで前例のない14シーズン連続地区優勝にブレーブスを導いた。ナ・リーグ優勝5回、そして1995年のワールドシリーズ制覇を成し遂げた。

 1995年は、後に殿堂入りするブ軍のチッパー・ジョーンズ内野手と、ドジャーズの野茂英雄投手のナ・リーグ新人賞争いが注目された。史上最強の両打ちとなるジョーンズは、ドラフト1巡目(全体1位)でブレーブスに入団。パイオニアとして日本から海を渡った野茂はトルネード旋風を巻き起こした。米国野球記者協会の投票で選出される新人賞は、NPBで4年連続最多勝など実績を持つ野茂を新人扱いすべきかどうかが論争となった。

 当初、新人離れしているジョーンズを「新人とは思えない」と評していたコックス監督だが、野茂の台頭に伴い、持論を一転。熱血漢で、自軍選手を守るため通算161回の退場を記録した指揮官は「チッパーこそが新人賞にふさわしい」と、野茂の新人扱いに異論を唱え、自軍のルーキーを推したという。

 結果的に、野茂はジョーンズに14ポイント差をつけて新人賞を受賞。後の日本人メジャーの扉を開いた。ジョーンズが、その年限りでの引退を表明した2012年、フェンウェイパークで取材する機会があった。

ジョーンズは「新人賞は取れなかったけど、その時、僕はワールドシリーズで優勝したんだ。チャンピオンリングは何物にも替えられない。だから、新人賞は野茂でいいよ」と笑った。

 野茂VSジョーンズの通算成績は、35打数2安打、打率0割5分7厘。公式戦は最初の5年間は全く打てなかった。だが、96年プレーオフ地区シリーズで天敵・野茂のフォークを捉えて本塁打を放ち、2年連続ワールドシリーズに進出した。情熱家のコックス監督が、教え子の意地の一打に歓喜したのは、言うまでもない。

編集部おすすめ