週刊少年ジャンプで連載中の原作・附田祐斗、作画・佐伯俊のコンビによる人気マンガの第2シリーズ「食戟のソーマ弐ノ皿」の第3話が放送された。秋の選抜戦、第三試合、今回の対戦の組み合わせを原作で見た時、かなり驚いたのを覚えている。
個人的には「食戟のソーマ」のターニングポイントとして捉えている回。
漫画家と編集者がマンガ論で大喧嘩(推測)「食戟のソーマ弐ノ皿」3話

原作にあったグロいシーンはカット


みんな大好き秘書子こと新戸緋沙子と、絶対的な嗅覚を持つ葉山アキラの対決。テーマはハンバーガーだ。薬膳使いの秘書子が取り出したのはなんとスッポン。生きたスッポンのクビをためらい無く切り落とし、鮮血にまみれながら内蔵を表情一つ変えずにさばいていく。グロいシーンはカットされていたが、秘書子人気を加速させるきっかけにもなったシーンの一つだ。

スパイス使い葉山は、ドネルケバブにハンバーグパティを加える超重量ハンバーガーを作る。
これを数種類のスパイスと、野菜や果実をマスタードオイルに漬け込んだアチャールをピクルスに使用する工夫で、肉の重さを感じさせずに食べさせた。

このアチャールが決め手となり、今回の対決は葉山の勝利。秘書子も美味さのあまり服がはだけてしまう“おはだけ”を審査委員長の薙切仙左衛門にさせて善戦するも、一歩及ばなかった。ここでみんな大好き秘書子ちゃんは、この大会から姿を消すこととなった。

俺が目指すは頂点。No2で居続ける事に必死な料理人が俺の相手になる訳がない

薙切えりなの秘書をやっている時点で新戸には勝ち目がなかったという葉山のセリフ。
これをきっかけに秘書子が大きく成長を遂げてくれることを信じたい。

今大会は視聴者にトーナメント表を明記せず、試合の度に対戦するキャラクターを登場させる演出をしている。この手法には、どこで誰が来るのかわからないというメリットがあるが、事前のシーンを描けないことと、トーナメント表を見てどう勝ち上がるのかを予想する楽しみを奪うというデメリットがある。

では、なぜこの手法を採用したのだろうか?これは完全に予想になってしまうが、そうせざる負えない事情が存在したのだ。

100%妄想


全然知らないが、トーナメント物を作る時、漫画家は編集さんに対戦表と勝ち上がり表を事前に見せて相談しているはず。その上で試行錯誤して、キャラクターの配置を決めていくのだろう。

もちろんこれも全然知らないが、このトーナメント表を見た時、編集さんはおそらく猛反対したはずだ。
佐伯俊先生の描くかわいい女の子キャラ目当ての読者は大勢いる。それを全員敗退させてしまうのだから、当然と言えば当然だ。

そして編集さんは「秘書子もしくは薙切アリスのどちらかが勝ち抜けるように組み合わせを変えるんだ!」と指示。

しかし、原作の附田祐斗先生も「お色気やかわいいキャラクター達よりも、純粋なストーリーの面白さを優先したい!だからここは曲げることは出来ない!」と応戦。

「では、秘書子と薙切アリスの女の子対決にしよう!それならどっちかは勝ち上がるし、薙切えりなを取り巻く二人の対決はドラマ性があるから面白い!」とここで編集さんはもっともらしい提案をする。

「編集さん、それはもっともやってはいけない事だよ。
なぜならここで二人の力関係をハッキリさせてしまうと、負けた方のキャラクターが死んでしまう。キャラが死ぬくらいならこのマンガは終わらせた方がいい」
キャラ愛を見せる附田先生。

揉めに揉めた結果、その場では決断を下せず、トーナメント表を先に見せることが出来なかった。苦肉の策として直前対戦発表方式を採用したのではないかとバクマン好きの僕は邪推する。

食戟のソーマは王道バトルアニメだ!


この対戦の少し前から、お色気シーンが減って残念というファンの声が聞こえるようになっていた。しかし、お色気シーンが減った事によって視聴者がストーリーに集中出来るようになったのは間違いない。
その点では、今回の話は「食戟のソーマ」のターニングポイントになったように思う。漫画家としての覚悟を感じる回だ。

それでも作画は佐伯俊先生だ。これからも可愛いキャラクターはドンドン登場するのでそこは安心して欲しい。来週は創真のライバル的存在タクミ・アルディーニと、唯一の悪キャラ美作昴の対決だ。

(沢野奈津夫)