さまざまな作品で印象的な役どころを演じ、近年は舞台にも積極的にチャレンジを続ける千葉雄大。この秋はモチロンプロデュースの新作舞台『二階堂朝陽は助けに来る』で主演を務める。

本作で自分の人生をかけてどんな人をも助けようとする主人公・二階堂朝陽を演じる千葉に、本作に臨む心境を聞いた。

【写真】千葉雄大、いつまでも変わらない小動物のようなキュートさ!

◆どんな人をも助ける二階堂朝陽は「普通の人」

 本作の主人公は、会社で営業マンとして働く“主人公らしい名前”を持つ普通の男・二階堂朝陽。どんな人、時にはどんな動物でさえも自分の人生をかけて助けようとする彼にとって、助けることに根拠はなく、ただひたすらに助ける男だ。後先を顧みず手を差し伸べるため失敗も多く、その行いを自ら語ることもないため、社内での評価は低く、出世とも縁遠い。そんな一直線で無謀な二階堂の背中に触れ、まわりの人々が少しずつ変化していく。本作はそんな力強く迷いのない人助けの軌跡を描く物語。

 作・演出は、笑いと人間ドラマを自在に操る細川 徹。笑いだけでなく感動をもたらす細川ワールド全開で、歌とダンスも掛け合わせた全力エンタテインメントとして本作を届ける。千葉のほか、戸塚純貴、牧島 輝、坂元愛登、篠原悠伸、日高由起刀、大水洋介(ラバーガール)、皆川猿時ら個性豊かな顔ぶれが勢ぞろいする。

――出演オファーを聞かれた時のお気持ちはいかがでしたか?

千葉:まさか自分がお話をいただけるとは思っていなかったので驚きましたが、モチロンプロデュースや大人計画の作品は大好きなのでとてもうれしかったです。稽古はまだまだこれからですが、細川さんはひとつひとつ丁寧にお話してくださるので、どんな作品になるんだろう?と楽しみです。

――大人計画やモチロンの作品の魅力はどんなところに感じられますか?

千葉:僕が語るようなことではないのですが、毎回すごいなと思って観ていますし、観終わって気持ちよく帰れるのがいいですよね。


――今回演じる二階堂朝陽は、どんな人をも助けに奔走する男です。まだ稽古も始まっていない段階ですが、どんなキャラクターだと捉えていますか?

千葉:すごく普通の人のように思えていて。別に完璧じゃないし、なんかちょっと抜けてるというかツメが甘いようなところもあるけれど、目の前で困っている人がいたとしたら自然に助ける。そういう人です。

――ご自身との共通点は感じられますか?

千葉:どうだろう…。僕ももめごとがあまり好きではないので、そういうところは似ているかもしれません。

――個性豊かな男性ばかりのキャストがそろわれる座組となりますが、座長として心がけたいことはありますか?

千葉:(声を大きく張って)背中で語っていこうと思います!!

……できない、そんなこと(爆笑)。

でも、お稽古でいろいろと試したりできるのが素敵で魅力的だと思うので、そういうことが出しやすい空間になったらいいなと思っています。

◆千葉雄大がお礼を言いたい「空港で助けてくれた謎の女性」

――二階堂朝陽はどんな人をも助けてくれるキャラクターですが、千葉さんが「あの時は助けられたな」という思い出はありますか? “マジ助かる!”バスマジックリン以外でお願いします(笑)。

千葉:ありがとうございます、本当に助かるので使ってください(笑)。

実はテレビのバラエティー番組で探してほしいぐらいの、助けていただいたお礼を言いたい人がいるんです。北海道での友達の結婚式に行く予定が飛行機が欠航になり、その振り替えの列が大行列だったんですね。
仕事じゃないからマネージャーさんもいなくて1人で並んでいたんですけど、修学旅行生の子たちにありがたいことに名前を呼んでいただいて、代わる代わる顔を覗きに来られて。「写真を撮ってください」「握手いいですか?」と言われたのですが、その列を抜けるわけにもいかないから逃げ場もなく「すみません」とお断りし続けていたんです。

すると、後ろに並んでいた女性がトントンとしてきて「差し出がましいんですけど、やっちゃっていいですか?」と言われて! 「何を!?」と思っていたらその女性が「すみません。プライベートなのでお写真はご遠慮ください」とマネージャーさんみたいに仕切ってくれたんです。「ありがとうございます!」とお伝えしたら、「近しいことをしているので」とおっしゃって。「近しい仕事とは?」と思いつつ、「ありがとうございます」とお伝えしたのみになってしまったんですけど、その時は本当に助けられました。お名刺もいただかなかったのでヒントも何もなくて探し出せず、ちゃんとお礼を言えていなくて。

――微力ながらこの記事で伝わることを祈っています。二階堂朝陽はある意味スーパーヒーローでもありますが、千葉さんにとってこの人はスーパーヒーローだ!と思った方はいらっしゃいますか?

千葉:ファンクラブのイベントでシャンパンタワーをやりたくて(笑)。その時に自分オリジナルの“コール”を作りたいなと思い最初は自分で考えてみたりもしたんですけど、いいものが全然思い浮かばなくて。そこで、お友達のヒャダインさんに相談したところすごくいいアドバイスをくれて、最高のコールができあがったんです。音楽のプロってすごい!と思いました。


◆20代後半~30歳ころから生きやすくなった

――今年は8月に仙台で伊藤沙莉さんと朗読劇『ラヴ・レターズ』があり、本作を挟んで、12月には藤井隆さんと共演の『ジャズ大名』の再演も控えています。近年舞台にも積極的に取り組まれている印象です。

千葉:そうですね。2020年ごろから意識的に取り組むようにしています。

――それはどんな思いから?

千葉:うーん。やってこなかったからですかね。舞台はずっとやりたかったんですけど、どうしても映像が多くて。映像ももちろん好きなんですけど、やったことないことってやりたいじゃないですか。

――なるほど。では、舞台の魅力はどんなところに感じていますか?

千葉:難しいんですけど、映像と舞台の違いはお稽古があるかないかだと僕は感じていて。映像だと限られた時間の中でパッとやる、そんな瞬発力が求められる気がするんです。だけど、舞台では、もちろんそういう瞬発力も大事だけどいろいろ稽古で試せるというか。
そのプロセスはすごく贅沢で、芝居をする上でこんなアプローチもあるんだと1回読んでやっただけではたどり着けない境地まで行ける気がする。そこが魅力なのかもしれないです。

――『アンメット ある脳外科医の日記』や『おコメの女-国税局資料調査課・雑国室-』など演じられる役の幅の広がりが印象的です。

千葉:自分ではよく分からないんですよね。ただ、20代後半か30代に入ったぐらいから、なんかちょっと生きやすくなったというか。頑張るとか、お仕事や何かのために無理をするというのは大事なことだと思うんですけど、そういう意味じゃない“無理”はしなくなったというか。

こういうインタビューでも昔は多分黙っちゃっていた気がするけど、割とどう見られてもいいというか、全員に好かれるのは無理なのでそれをやめたという感じですかね。ただ、好きになってくれた人にはとことん好きになってもらおうと。そういうのも影響してるんですかね。

でも別に何か変わったわけじゃないです。世間の見る目が変わったんじゃないですか。「そういう人だと思わなかった」とか「こんなしゃべるんですね」とか今も言われますもん。
きっとそういう役をこれまで求められてこなかっただけなのかもしれません。

――俳優として16年を超えるキャリアを重ねられてきましたが、千葉さんにとってターニングポイントを挙げるとするとどの作品になりますか?

千葉:僕、そういう意味ではあまり嫌われたくなくて(笑)。全部一生懸命やっているのにこれって挙げると、他の作品は違ったんだと思われるので…。

でも自分が監督、脚本を務めたという経験は、ひとつの転機になったかもしれないです(注:2022年WOWOW『アクターズ・ショート・フィルム2』内で「あんた」の監督・脚本・主演を担当)。脚本がずっとやりたかったのですごくうれしかったですけど、やっぱりやりたいだけじゃダメなんだな、もうちょっと勉強しなきゃなと思うところもあって。本当に『耳をすませば』の雫みたいな気持ちでした。…伝わりますか?(笑)

――伝わりました(笑)。作る側を経験したことで、何か変化はありましたか?

千葉:役者さんとして出るだけの時は、もちろん責任感はあるんですけどやっぱり撮影して終わりというか、その後は監督のさじ加減でお客様のところに届くと思うんです。でもあの時は編集も何もかも全部自分で最初からやったので、そういう意味ではすごくうれしかったんですよね。

その時も助けられることがすごく多くて。分からないことだらけなんですよ。カット割りとか散々聞いているし見てるけど、いざ自分がやるってなった時に分からない。
カメラマンさんに「カット割りってどうやるんですか?」と聞いて、カメラマンさんと一緒に「このセリフのシーンはどの人の顔が撮りたい?」「しゃべっている人じゃない方を撮ってほしいです」「分かった」と考えました。分からないって言うと、みんな助けてくれたんですよね。

衣裳も「この人はこういう役で、こういうイメージで」みたいな感じで言うと、みんなが各々膨らませてくれて持って来てくれた。いろんな部署の方に助けられているというのを改めて感じたことがすごく大きかったです。

――最後に、今回の舞台を楽しみにしている皆さんへメッセージをお願いします。

千葉:会社が舞台のすごく日常的なお話だと思うんです。みんなそれぞれに働くことに対しての向き合い方があって、そこに二階堂という異物と思われがちな感じの人がいる時にどう振る舞うのか。二階堂が全て正しいわけではないと思うんですけど、でも心の中に二階堂がいたらもうちょっと自分も強くなれたのかな?と僕も考えたりしました。

とにかく「あぁ楽しかった!」と思って帰っていただける舞台にできたらいいなと思っていますので、ぜひ楽しみに劇場に来ていただけたらうれしいです。

(取材・文:近藤ユウヒ 写真:高野広美)

 舞台『二階堂朝陽は助けに来る』は、10月17日~11月1日東京・EXシアター六本木、11月7日~9日大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール、11月14日・15日富山・富山県民会館にて上演。

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