レビュー

「人の話をちゃんと聞きなさい」。私たちは小さい頃から、そう言われて育ってきた。

コミュニケーションのコツとして、「話す割合は相手が7割、自分は3割が理想的」とも言われる。たしかに聞き上手は好かれるし、話を聞いてくれる人がいると場が和む。何より、自分が受け入れられているようでうれしくなる。
だが、「聞くこと」は果たして良いことばかりなのだろうか。「人の意見を聞きすぎて決められない」「いつも聞き役に回ってしまい、疲れる」「頭の中はいつも他人の声でいっぱい」――そんなことはないだろうか。本書は、「聞きすぎること」のマイナス面に切り込んだ、なんとも勇気のある一冊だ。
著者は明治大学教授で言語学者の堀田秀吾氏。世界の研究をもとにした、ビジネスや暮らしに役立つ情報をわかりやすく伝えることに定評があり、『ハーバード、スタンフォード、オックスフォード… 科学的に証明された すごい習慣大百科』『考えてはいけないことリスト』など、ベストセラーを連発している。
聞きすぎてしまう背景には、「脳の仕組み」が関係しているという。自分で決めるよりも、他者の正しそうな意見に従ったほうが脳はラクであるため、自然とそちらを選んでしまうのだ。また、行間を読むことが求められる日本では、必然的に「聞きすぎ」になりやすい。こうした要素が重なり、「聞きすぎさん」が量産されるのである。

とはいえ、円滑なコミュニケーションには、相手の話を聞くことが欠かせない。心を健やかに保ち、自分を見失わずに聞く方法とはどのようなものか。その答えを、本書で見つけていただきたい。

本書の要点

・人の話を聞きすぎてしまうのには、「脳の仕組み」と「日本語という言語」が関係している。
・聞きすぎには「決断のスピードが落ちる」「人間関係が深まりにくい」などのデメリットがある。
・聞きすぎを防ぐには、「何を聞かないか」を決めることが重要だ。「みんな」の声、SNSの強い声は聞かなくていい。
・聞きすぎは「聞く」才能が行きすぎた結果である。能力を上手にコントロールできれば、強力な武器になるだろう。



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