1979年のヒット曲「私のハートはストップモーション」などで知られる沖縄県出身歌手の桑江知子。近年は自身の作詞によるシングル「ふるさとはあなた」を発表する一方、新たな表現の場として公式YouTubeチャンネルに力を注いでいる。
昨年9月から始めたのは、昭和歌謡やシティポップの名曲を新たなアレンジで歌う配信企画だ。ほぼ毎日のペースで更新を続け、これまでに約180曲を公開している。
 きっかけは、配信に詳しい知人から「昭和の歌をカバーしてみませんか」と声をかけられたことだった。桑江は「昭和の曲には本当にいい曲がたくさんある。イントロを聞いただけで曲名が分かるし、歌詞も自然に出てくる」と話す。自身のライブではオリジナル曲が中心になるため「まだ歌えていない名曲に触れる良い機会になった」という。
 配信の際には、楽曲ごとに自身の声域に合わせてキーやアレンジを組み替える。シティポップだけでなく、演歌やアイドル歌謡、男性歌手の楽曲にも挑戦。普段なら選ばない曲をあえて取り上げることで、自らの歌の可能性を探っている。
 中でも反響が大きかったのが、矢沢永吉の「時間よ止まれ」だった。原曲の力強さをなぞるのではなく、自身の持ち味である柔らかな歌声で表現。「自分なりのアプローチで歌ってみたら意外と反響があった。
自分でも気付かなかった一面を知ることができた」と振り返る。
 スケジュールの合間を縫って録音するため、ほとんどがワンテイク。通常のレコーディングのように何度もとり直すことは少なく、スタジオに入る前にアレンジや出だしのタイミングまで頭に入れて臨む。「できるだけ一発OKを目指しているので準備が大変。でもライブ感覚で聴いてもらえたらうれしい」と語る。
 近年はシティポップ人気の高まりもあり、ライブには40代を中心とした新しい世代のファンも増えている。約180曲を歌い重ねる中で、懐かしい名曲との新たな出合いは、桑江自身の歌の可能性を広げる挑戦にもなっている。(社会部・真栄里泰球)
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