悪夢を見ているようだ。
 1941年4月。
日本国中から集められた若きエリートたちに課された使命は、諸外国との戦争のシミュレーション。彼らが膨大なデータを基に、忍耐強く導き出した答えは「圧倒的敗北」。どうあがいても勝てる見込みはないと戦後の食糧不足の悲惨さまで予測したのに、なぜ、開戦にかじは切られたのか。
 愚かな忖度(そんたく)を高圧的態度で求め、他者の言葉など聞く耳を持たない軍部や官僚。彼らが前線で苦戦を強いられながら死んでいった若者たちの想(おも)いに心を寄せたとは思えない。
 国の尊厳という鎧(よろい)で、自身の見えと権力欲を覆い隠せると思った人たちは、八十余年前にだけ存在する魑魅(ちみ)魍魎(もうりょう)なのだろうか。 
 俳優たちの演技に前のめりになりながら、開戦を選ばなかった方の世界に想いをはせる。(スターシアターズ・榮慶子)
◇パレットとプラザハウスで上映中
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