■「減塩」の言葉を信じすぎてはいけない
最近、血圧が気になるから、塩分控えめの調味料や食品を買ってみるか。こう思って、スーパーの食品売り場で探したところ、「減塩」「塩分控えめ」「薄味」などのうたい文句の商品が多くて驚いた。こんな経験をしたことがある人もいそうだ。
ただし、塩分の少なさをアピールしていても、どれほど減塩されているのかはよくわからない。何となく、パッケージや商品名の良さで判断したくなるかもしれないが、やめておこう。しっかり減塩したいのなら、目安にしたいものがある。
チェックするのは、高血圧学会減塩・栄養委員会が作成したリストだ。「JSH減塩食品リスト」としてホームページに公開されている。買い物中に迷ったら、スマホで検索して調べてみるといい。
日本食は世界に誇る健康的な食事。
■「塩分たっぷりの食品」トップ10
ランキング1位は「カップ麺」で、2位は「インスタントラーメン」。ラーメンは塩分量が抜きん出て高く、食べる機会も多いので納得だ。3位は「梅干し」で、これもうなずけるランキングではないか。さらに「高菜の漬物」「キュウリの漬物」と続き、6位以降は「辛子明太子」「塩サバ」「白菜の漬物」「アジの開き干し」「塩ザケ」と、いずれも塩分が多くて日常的に食卓によく上る食品が並ぶ。
血圧を上昇させず、動脈硬化を進めないためには、塩分の多いこれらの食品を改めて頭に叩き込み、食べ過ぎないようにすることが大切だ。
国民健康・栄養調査によると、塩分の約7割は食品ではなく、調味料から摂っている。食塩や醤油などをぐっと控えると、塩分を大幅に落とすことができるわけだ。しかし、塩分を含む調味料を少なくするだけでは、味気ない料理になってしまう。薄味をキープしつつ、何とかパンチをきかせて仕上げたいものだ。
うまく使って、毎日の料理に活かせば、家族みんなの血圧を低く抑えられる。「塩辛さ」ではなく、舌を刺激して「辛さ」を感じさせる唐辛子やワサビ、香りの強いバジルやパセリ、ローズマリー、シソといった香味野菜やハーブ、辛さも香りもあるコショウやニンニク、ショウガ、爽やかな香りと酸味で食欲が湧くレモンやユズなどの柑橘類を上手に使ってみよう。
■うどんとそば、血管に負担が大きいのは…
うどんは基本的には小麦が100%。これに対して、そばはそば粉が入っているので、よりヘルシーな食べものだと思われている。実際、うどんは食べたあと、血糖値が急激に高くなるが、そばの場合はゆるやかに上昇する。
「GI値(グリセミック・インデックス)」という指標を見れば、両者の違いは明らかだ。GI値とは、食後の血糖値の上昇具合を示す指標のこと。ブドウ糖を100とし、これを基準として、さまざまな食品で数値化されている。GI値が高いほど、食後に血糖値が急上昇。血液の粘り気が増して、血管の負担が大きくなる。
加えて、脂肪をため込みやすくなり、肥満にもつながってしまう。
こうした血糖値との関係から、そばはうどんと比べて、血管に対する負担がずっと少ない食べものなのだ。また、そば粉には「ルチン」というポリフェノールが含まれているのも見逃せない。
■小麦粉が入っているそばには要注意
かつてはビタミンPと呼ばれた成分で、強力な抗酸化作用に加えて、毛細血管を強化する働きも持っている。この点から見ても、うどんよりもそばを多く食べるようにしたいものだ。ただし、そば粉100%の「十割そば」ではなく、安価なそばには小麦粉が多く含まれている。
値段が安ければ安いほど、その傾向は強いようだ。ほかに気になるのは塩分。十割そばに塩は使われないが、小麦粉混じりのそばを打つときには、グルテン(小麦粉のたんぱく質)を引き締めるために塩が欠かせない。
その大半はゆでる際に湯の中に流れ出るが、ゆで上がった麺の中にも残る。できれば、十割そばを食べるのがいいだろう。
■満足度が高いコンビニ弁当の落とし穴
コンビニ弁当を買う際、並んでいる弁当をざっとチェック。決めたら手に取って、そのままレジに向かう人が多い。しかし、その買い方はやめておこう。
「おかずの品数が多いものを選んでいるから」「野菜料理が入っているから大丈夫」といったような反論が聞こえてきそうだ。
けれども、ここで問題にしたいのは栄養バランスではない。血管と心臓の健康にいいか悪いかだ。市販の弁当は、食べたときの満足度を優先するため、塩分が高いものが少なくない。とくに、醤油で味付けすることが多い和食には要注意だ。
コンビニ弁当で済ます場合には、レジに行く前に、パッケージの栄養成分表示欄を必ず確認しよう。見た目がおいしそうに見える、あるいはカロリーが低そうでも、塩分が高めのものは避けたほうが賢明だ。
■「調味料は別」の商品がおススメ
自炊をするときは、醤油や塩の量を控えた料理を作ることができる。
血圧が気になる人の場合、コンビニ弁当にはちょっと注意が必要だ。塩分量のチェックに加えて、もうひとつのポイントは別添調味料。タレやソース、ドレッシング類が付属になっている商品を選ぶといい。
こうした弁当では、味付けの濃さを自分で決められる。使い切ると塩分を摂り過ぎそうな場合、半分程度は残すようにしよう。ちょっとしたことだが、塩分摂取を確実に抑えられる。
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工藤 孝文(くどう・たかふみ)
内科医
工藤内科院長。福岡県みやま市の同医院で地域医療を行う。糖尿病内科、ダイエット外来、漢方医療を専門として、テレビや雑誌などでも活躍。著書に『痩せグセの法則』(枻出版社)ほか多数。
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(内科医 工藤 孝文)

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