仕事のデキる人はAIをどのように使っているのか。生成AIに詳しい特定行政書士の横須賀輝尚さんは「プロンプトを手入力すると膨大な時間のロスにつながる。
生成AI活用、業務効率化のはじめの一歩は、音声入力を多用することだ」という――。
※本稿は、横須賀輝尚『生成AI時代に士業が生き残る技術』(TAC出版)の一部を再編集したものです。
■手入力のスピードには限界がある
生成AIは本当に便利です。プロンプトを入れれば、素晴らしい回答が返ってくる……というのはゆるぎない事実です。
でも、このプロンプトを入れるのが面倒くさい、というか、時間がかかるのも事実です。
「プロンプトを手入力する時間」は積み重ねていくと膨大な時間を取られていることがわかります。パソコンでタイピング入力しても、スマホでフリック入力しても、話すスピードには敵わないはずです。
ですから、生成AI活用、業務効率の向上のはじめの一歩は「音声入力」を多用することだと私は考えます。
いまでは、ChatGPTやGeminiなどの主要生成AIには、音声入力できる機能がデフォルトで付いています。音声入力をスタンダードにすると業務効率は飛躍的に高まります。
2026年現在の技術では、音声をそのまま入力するというよりは、音声を認識し、一度トランスクリプト(文字おこし)にし、テキストで出力するという形式です。この先は音声そのものを認識するようになるはずです。

いずれにしても、生成AIの中身がどう動いているではなく、「課題は解決されているか?」です。
この場合は、音声入力によって、文字入力のスピードは上がり業務効率は高まっているか? この点に注目してください。
■筆者が愛用する「音声入力アプリ」とは
なお、2026年現在の文字おこしのレベルですが、あらゆるものを完璧に出力できるわけではありません。固有名詞などは、手直しする必要がありますが、それでも手入力よりは早い。また、多少の誤字脱字は、生成AIが前後の文脈から意味を判断してくれるので、あまり気にする必要もなくなっています。
ぜひ音声入力を活用していきましょう。
2026年時点で、ベストの音声入力はGensparkがリリースした「Speakly」でしょう。設定したキーを押すと音声認識が始まります。ブラウザでも、WordでもExcelでも、音声入力が可能になるのです。音声認識もかなり精度が高く、これからのスタンダードのひとつになるはずです。
また、環境として細かいことを言えば、マイクがあったほうが意識も高まります。パソコン内蔵でもいいのですが、マイクを目の前にするとより「話す」という行為が自然になります。
私はピンマイクを使用して音声入力をしています。
いずれ、音声入力も生成AI全般と同じように、進化していきますが、「音を使って仕事をする」という認識は、仕事のスピードを格段に高めてくれるでしょう。
■「突然の声出し」でも周りを困惑させない
職場環境によっては、音声入力をしづらい人もいると思いますが、できるだけ音声入力を職場文化にしていくことをおすすめします。
最近では、「Amazon Echo」やAppleの「Siri」など、音声認識デバイスは増えてきており、使用する人も増えました。それでもやはり「機械」に話しかけるのに抵抗がある人もいると思います。
ただ、音声入力と手打ちではやはりスピードが違いますので、環境とともに習慣としても、できるだけ取り入れていくべきだと私は考えています。
ひとり事務所であれば、人目を気にすることもないので、あとはやるだけ。社員がいる事務所であれば、「音声プロンプト宣言」を事務所内で行い、文化にしていってください。
私の場合は、会社に常駐する社員がいるため、「音声入力チャイム」を導入しています。いわゆるドアホンのようなもので、装置は何でもよいと思います。
というのも、音声入力をするときに困るのは周りです。突然音声入力を始めると、周囲は話しかけられたのかどうかわからず、声のするほうに意識が向きます。

■正解は「あなたが思うがままに入れる」
そこで、このチャイムが聞こえたときは、「横須賀が音声入力を始めた」ということがわかるように、ルールをつくったのです。
小さなことですが、ビジネスは日々の積み重ねなので、少しでもストレスをなくしていくべきです。例えば、このルールがないと、社員の意識がムダに削がれるか、毎回私が周りに「いまから音声入力します」と言う必要があります。
1回1回は数秒のことですが、何十回、何百回と繰り返せばそれなりのムダな時間になるので、注意が必要です。
音声入力でプロンプトを入れるとき、どのようなものを入れれば(話せば)よいか、悩む人も多いと思います。
答えは簡単で、「あなたが思うがままに入れる」で正解です。「思うがまま」というと少し説明が乱暴かもしれませんが、「あなたが実現したい目的」や「達成したい目標」など、言い換えれば、課題解決する内容になっていればよい、ということです。
■プロンプトの「実例」を大公開
例えば、次のレベルで構いません。
えっとお客さんから来たメールが何書いてあるか全然よくわからなくて、で、自分、えっと社労士なんだけれども、このお客さんから来たメールが長文で何言ってるか全然わからなくて、で、それをちょっとこのチャットで送るので、このお客さん何が困ってて、で、何を解決してほしくて、で、メール送ってんのか、ちょっと分析してもらって、で、えっとーこう、自分が、自分がなんかどんなこのお客さんにどんな提案したら喜ばれて、ま、仕事が取れそうかみたいな、その提案内容を考えて、で、そのうえでなんかメール返信文のドラフトをすごくこういい感じで、この専門家として信頼が得られそうで、えー、なんか信頼できるみたいな感じでつくってください。
件名:あの、保険のことなんですけども
社会保険労務士先生

いつもお世話になっております。○○商事の△△です。
あのう、うちの社員が昨日「出社してないのに働いてたことになってる」とか言ってきまして、それって、タイムカードのあれが自動でやってるのか手動かどうかもわからなくて、でも保険とかも関係あるじゃないですか、前に市役所でもなんか言われたんですけど、よくわからなかったので、一度聞いてみようと思って、メールしました。

それと、あと先月入ったパートの人がマイナンバーがないとか言ってて、それって、いいんでしたっけ? 外国の方なんですけど、マイナンバーって今でも必要ですか?
あと、前にお願いしてた就業規則の件はどうなってますか? うちとしては特に変えるつもりはないんですけど、法律的には変えた方がいいとかあるならそれも教えてほしいです。
それでは、よろしくお願いします。
○○商事

△△

■困りごと整理→提案組み立て→使える返信メール
生成AI(ChatGPT)の出力例は以下のようになります。
了解しました。かなり「頭の中が整理されていないまま不安を全部投げてきている」タイプのメールですね。

順番に(1)お客さんの本当の困りごとを整理→(2)仕事につながる提案の組み立て→(3)そのまま使える返信メール案を出します。
(1)このお客さんは何に困っていて、なぜメールしてきたのか(整理)
このメール、テーマは3つありますが、根っこは1つです。
○ 表に出ている相談内容

1.勤怠のズレ

・出社していないのに「働いたことになっている」

・タイムカードが自動か手動かわからない

→不正・ミス・トラブルへの不安

2.社会保険・マイナンバー

・市役所で何か言われたが理解できていない

・外国人パートにマイナンバーがない

→違法では?という不安

3.就業規則

・前に依頼したが進捗がわからない

・変えるつもりはないが、法的にまずいなら知りたい
○ 本当の困りごと(本音レベル)

このお客さんの本音は

・「うち、法的にヤバいことしてないよね?」

・「役所・社員・外部から突っ込まれたらちゃんと説明できる状態にしたい」

・「でも自分で調べるのは無理」
つまり

労務管理がブラックボックス化していて不安

“何が問題で、何を直せば安全なのか”を整理してほしいです。
(2)喜ばれて、仕事につながりやすい「提案の軸」
ここで「質問に1個ずつ答えるだけ」だと単発対応で終わります。

仕事につなげるなら、構造的に不安を解消する提案がベストです。
○ このお客さんに刺さる提案コンセプト

「労務まわりの現状整理+リスクを見える化」

具体的な提案内容(自然で売り込み感が少ない)
以下をセットで提案すると強いです
1.勤怠・労務フローの簡易チェック

・タイムカードの仕組み確認

・実態と記録のズレ有無

・未払い残業・虚偽記録リスク
2.社会保険・マイナンバーの整理

・外国人・パートの正しい扱い

・「今どうなっていればOKか」を明確化
3.就業規則の「変えなくていい/変えないと危ない」仕分け

・全面改定ではなく

・最低限直すべきポイントだけ提示
これを

「一度お時間をいただいて全体を整理しませんか」

という形で提案すると、相談→顧問・スポット業務につながりやすいです。

■AIは「わがままを聞いてくれる存在」
(3)そのまま使える返信メール案(信頼感重視)
※専門家として「落ち着いて・整理して・安心させる」トーンにしています。
○○商事

△△様
いつもお世話になっております。

社会保険労務士の○○です。
ご連絡ありがとうございます。

メールを拝見しましたが、いずれも**実務上よくあるご相談内容**ですので、ご安心ください。

順番に整理してお伝えします。
まず、勤怠の件ですが、

「出社していないのに勤務扱いになっている」という点は、

タイムカードの設定や運用方法によって起こりうるケースです。

放置すると、未払い残業や労務トラブルにつながる可能性がありますので、一度仕組みと実態を確認されるのが望ましい状況です。
次に、外国人パートの方のマイナンバーについてですが、

マイナンバーが「不要」というわけではなく、

在留資格や社会保険の加入状況によって取扱いが変わります。

この点も、現在の雇用状況を確認すれば整理できます。
また、就業規則につきましては、

「会社としては変えるつもりはない」というお考えも理解できます。

ただし、法改正により**最低限見直したほうが安全な部分**があるかどうかは、一度確認したほうがよい内容です。
今回のご相談は個別にお答えすることも可能ですが、

全体として「労務管理の現状が少しわかりにくくなっている」印象を受けました。


差し支えなければ、一度お時間をいただき、

・勤怠管理の運用状況

・社会保険・マイナンバーの整理

・就業規則のリスク確認

をまとめて整理するお打ち合わせをさせていただければと思います。
オンライン・ご訪問いずれも対応可能ですので、

ご都合のよい日時をいくつかお知らせください。
どうぞよろしくお願いいたします。
――――――――――

社会保険労務士〇〇

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これは、あらゆる音声入力、プロンプトに言えますが、「あなたが実現してほしいことを、わがままに伝える」、ということが重要です。
プロンプトで「書く」となると大変ですが、生成AIがなんでもあなたのわがままを聞いてくれる存在だと考えると、言いやすいでしょう。

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横須賀 輝尚(よこすか・てるひさ)

特定行政書士、士業専門の経営コンサルタント

パワーコンテンツジャパン代表取締役。2007年に日本で初めてとなる士業向けの経営スクール「経営天才塾(現LEGALBACKS)」を創設し、2026年現在、全国3000人以上の士業から相談を受ける。毎日新聞などメディア掲載多数。著作に『会社を救うプロ士業 会社を潰すダメ士業』(さくら舎)、『資格起業BIBLE』(技術評論社)、『「ムダ仕事」も「悩む時間」もゼロにする GPTsライフハック』(技術評論社)、『生成AI時代に士業が生き残る技術』(TAC出版)などがある。

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(特定行政書士、士業専門の経営コンサルタント 横須賀 輝尚)
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