自分たちが語れば製品説明になってしまう厨房の裏方で活躍するロボットを、子ども達の言葉と視点で語り直してもらう。
ただ、このプログラムが今の形になるまでには、一度はやろうとして叶わなかった時期がありました。
※出典:富士経済「2025年版 ワールドワイドロボット関連市場の現状と将来展望 サービスロボット編」寿司ロボット・米飯盛り付けロボット 販売数量・金額2024年実績
発想:会社の方針と、現場の問題意識が重なったとき
きっかけは、ショールームという場所を、商談だけでなく何かもっと社会に開かれた形で活用できないか、という担当者の想いでした。
背景には、時代の変化もありました。学研教育総合研究所「小学生白書2025年」によると、小学生の「将来つきたい職業」の全体1位 ※は「ネット配信者」という結果が出ています。自ら発信することへの関心が高まる一方、情報モラルやデジタルリテラシー教育の必要性も、社会的な課題として語られています。こうした時代の変化が、私たちの構想を進める後押しにもなりました。
※学研教育総合研究所「小学生白書2025年」
SUZUMOのことをもっと多くの人に知ってもらうには、言葉に頼らない映像の力が必要ではないか。私たちが作れば、どうしても製品の説明になってしまう。だからこそ、子どもの持つ、ピュアな視点から生まれる発想に任せてみたら、言語の壁を越えて何かが伝わるのではないか——2025年7月、そんな発想が企画のスタート地点にありました。 また、"SUZUMOらしい"取り組みにしたいという思いから、食育に加えて、ロボットに親しむ「ロボ育」、そして発信力を育む「デジ育」を掛け合わせることも意識していました。
自分たちで作る紹介動画は、どうしても製品の説明になってしまいます。それを、子どもというフィルターに通したら何が起きるのか。
実は、ショールームを活用した食育企画そのものは、以前から社内でアイデアとしては議論されていました。しかし、「どのような形で実施すればよいのか」「本当にニーズがあるのか」といった点が見えず、企画は長らく構想段階にとどまっていました。
そこに今回のアイデアが重なったことで、この構想は思いのほか賛同者が集まり、「実施したい」という声が広がります。正式に承認を得て、企画は本格的に動き出しました。
見送り:舞台は整ったのに、時期がすれ違った
企画は動き出し、ショールームという舞台も用意できました。ただ、最初に組んだプログラムは、「学ぶ」と「発表する」を2日間に分けるというものでした。練馬のショールームで学び、中野の本社で発表する——頭の中で考えた設計は、実際には申し込みが思ったほど集まりませんでした。開催時期を夏休みの終盤に設定したことも重なり、一部夏休みが終わっていた地域もあり、応募自体が少なく、加えて体調不良等によるキャンセルも重なる状況でした。
2日間という設計、そして夏休み終盤という時期。どちらも、私たちの見立てと現実がかみ合わなかった結果でした。そこからの立て直しは間に合わず、2025年の夏は、開催自体を見送ることになりました。
再挑戦:時期を変えて、もう一度
止まっていた企画は、2026年3月の春休みに再始動しました。
2026年3月、第1回開催。
実機を前にした子ども達は、SUZUMOスタッフによる、それぞれのロボットの特徴の解説を聞きながら、寿司やおむすびを作る体験もしました。
中でも、100gのご飯を実際に盛り付ける体験では、ロボットの正確さを自分の手で確かめることができました。
ロボットが作った試食では、その美味しさに「おかわり」の声が上がる場面も。「タッチパネルでどのようなことが調整できるのか」「のり巻きの太さの違いはどうやって作っているのか」「1分間なら何個つくれるのか」——ロボットの仕組みを知りたい気持から、質問が次々と飛び交いました。
企画・撮影に際しては、子ども達はロボットの特徴を自分の目で確かめ、NPO法人動画の窓口クリエイティブスクールのサポートを受けながら、紹介したいロボットの魅力が伝わるよう、追加カットにこだわって撮り直す姿も見られました。
担当者は 、当日をこう振り返っています。
「鈴茂器工のロボットは主に飲食店の厨房や食品工場などで稼働するBtoB向けであり、一般のお客様が直接目にされる機会は限られています。自社製品の特徴的な動きそのものが持つ魅力や、ロボットを通じて実現できている社会の魅力を、より多くの方に知っていただきたいと考えていました。『自社ならではの視点で、子どもたちに楽しんでもらえる食育を絡めたプログラムはできないか』と試行錯誤していた際、中野区を中心に活動する『NPO法人動画の窓口クリエイティブスクール』の講師達と出会い、今回のコラボレーションが実現しました。
春の試写会のあと、保護者の方からこんな声が寄せられました。
「帰宅後、子どもが手書きで寿司ロボットのカタログを自作していた」
「家でも新しい動画を作って楽しんでいる」
「行く前は難しそう、できなかったらどうしようと不安がっていましたが、実際参加してみたら楽しくて楽しくて仕方がない、もっといたかった、また行きたいと言うくらいとても楽しかったようで、非常に喜んでおりました」
アンケートでは、参加したほとんどの親子が「大変満足」または「満足」と回答しており、「今回の取り組みに共感した(またこうした企画があれば参加させたい)」と答えています。
この1日の体験は、小さいながらも確かな変化を残しました。一度は時期がかみ合わず実施を断念した企画が、実際にやってみれば、そんな広がりを生んでいたのです。
▶【SUZUMOキッズクリエイター2026春】ハイライトムービー
第二回開催:満員御礼から見えてきた、たしかな手応え
春の反響を受け、2026年7月23日に第2回を実施しました。
10名前後を想定した募集に対し、最終的には17名の子ども達が参加しました。
事後親子アンケートでも、参加した保護者の多くから前向きな声が寄せられました。
担当者は、当日を終えてこう語っています。
「無事に2回目を開催することができ、大変安堵しております。イベントを通して見せてくれた子ども達の素晴らしい吸収力には、驚かされてばかりでした。キッズ達が作った動画を通じて、SUZUMOのコトを知ってくれる人が増えてくれるのも嬉しく思います」
1回目は、私たち自身にとっても「本当に伝わるのか」という手探りの回でした。2回目では、その経験をもとに、社内の関わり方そのものが変わっています。
実際、1日の進行にも、春の経験を踏まえた工夫が加わりました。朝の座学からロボット見学・体験、企画・撮影・編集、そして夕方の試写会まで、丸1日を通じて子どもたちに、より学びを深めてもらう時間として、それぞれのコンテンツをスタッフで工夫しました。例えば、アイスブレイクでは、農林水産省が展開する米の消費拡大キャンペーン「やっぱりごはんでしょ!」の担当者を招き、おにぎりにまつわるクイズを実施しました。企業の体験イベントに、省庁の情報発信施策が重なる場面が加わったことも、今回ならではの広がりです。
こうした環境のもとで、参加後の親子アンケートには、「動画制作のスキルを習得した」「ロボットの仕組みを知った」「社会や企業がどのように役立っているかを学べた」など、それぞれが異なる角度から学びを持ち帰ったことが綴られていました。個々の作品にも、その広がりがよく表れています。
ある子は、音楽や音声を工夫しながら、製品の良いところを自分の言葉で細やかに説明していました。保護者は「YouTuberになりたいという夢の第一歩だったように思う」と振り返っています。
別の子は、動画にタイピングのアレンジを組み込もうとして、途中で消えてしまうトラブルに見舞われながらも20分以上粘り、諦めずに完成させました。保護者は「他のお友達の作品を観て、もっとこうすれば良かったなと、自然に改善点を見つけていたのも良かった」と話しています。
また、自分自身が動画に出演し、寿司ロボットが握った寿司を食べる様子をそのまま撮影した子どももいました。
頑張ったポイントを聞かれると、「とにかく食べて、保護者のみんなを笑わせようとしました」と即答。試写会では、その狙い通りに大きな笑いが起きました。
この作品について、NPO法人動画の窓口クリエイティブスクールの講師はこう評しています。
「保護者のみんなを笑わせようとしましたって言って、実際一同大爆笑ってこれすごいことですからね。YouTuberとしてのセンスがあるんじゃないかなと本気で思うぐらい、いいですよね。自分が画面に出て、さらにそのリアクションというところも非常に伝わりやすかった。あと、気づいた方もいらっしゃるかもしれないですけど、動画の最初のほうに自分の声が入っているんですよね。『めっちゃ美味しい、こう見えてめっちゃ美味しい』って。もちろんAIのナレーションを入れるほうが簡単で修正も効くんですけど、自分の声が入ることで、他の人には絶対真似できない動画になったと思います。
こうした個々のエピソードに加えて、保護者からはこんな声も届いています。
「翌日、テレビCMを見て『こんな工夫をされているのだなぁ』と感心していたら、娘が隣で『今のCM、こんな工夫があったね!』と言っていて、親子で動画の見方が変わりました」
「帰宅後は、おにぎりクイズや動画作成の方法を親に伝えてくれており、興味を持って参加できたことがわかった」
参加した保護者のほとんどから「大変満足」の評価が寄せられました。「1日という長い時間、最初は不安だったが、終わってみれば、子どもの成長をはっきり感じられた」という声もいただいています。長時間のプログラムに送り出す朝は不安だった保護者も、動画リテラシーを学ぶところから始まり、実機に触れ、講師のサポートを受けながら少しずつ形になっていく我が子の作品を見るうちに、安心して見守れるようになっていったのかもしれません。「夏休みの自由研究のヒントになりそう」という声も複数届きました。裏方のロボットを、子ども達が自分の言葉と発見で語り直す。そのことが、1回目よりもはっきりとした形で見えてきた2回目でした。
▶【SUZUMOキッズクリエイター2026夏】ハイライトムービー
展望:裏方から、次の世代へ
担当者は、今後についてこう続けています。
「今日学んだ動画制作のスキルは一生モノの財産になると思いますので、この夏休みの思い出をたくさん撮りためて、さまざまな作品づくりに挑戦してほしいです。そしてぜひ、ご家族やお友達にも今日学んだことを教えてあげて欲しいです。今後、日常生活の中でSUZUMOの寿司ロボットやご飯盛付けロボットを見かける機会があった際に、今日の体験を少しでも思い出していただけたら嬉しく思います。今後もNPO法人動画の窓口クリエイティブスクールを始めとした地域コミュニティともしっかり連携を深め、第3回の開催に向けて準備を進めてまいります」
一度は幻に終わった構想が、座組を変えながら形になり、部門を横断する取り組みへと育っていく。この企画は、製品の魅力を伝えるだけでなく、社員のアイデアが形になる会社であることも、あわせて伝えています。
「NPO法人動画の窓口クリエイティブスクール」の講師からは
何度もこうした教室を開催していますが、今回のお子さん達は個性がしっかり出ていて、レベルが高かったですね。使用した動画編集ソフトも無料のものですが、多くのお子さんは今日が初めての操作というところからスタートして、あそこまで仕上げてくれました。
これから特にダイナミックに変わってくるのは、AIがどう組み込まれていくかという部分だと思います。私たちがNPOとして伝えたいのは、動画作りの楽しさそのものより、炎上させない、自分も人も被害者にならないためのルールを守るという部分です。これは大人にも同じことが言えると思っています。
▶SUZUMOキッズクリエイター 動画再生リスト
むすびに
私たち鈴茂器工にとって、厨房の中で動いていたロボットが、子ども達の想像力や表現を通じて動画になり、世界の人々に機械や日本食の魅力を伝えていく様子を見られたことは、大きな収穫でした。
「食の価値を きかい でつなぐ」という言葉の意味を、このプログラムで一番はっきりと示してくれたのは、参加してくれた子ども達自身です。この体験をきっかけに、次はどんな作品が生まれるのか。第3回に向けて、私たちの準備はもう始まっています。
【プロジェクト詳細】: SUZUMOキッズクリエイター特設ページ
https://www.suzumo.co.jp/column/tag/SUZUMO_KidsCreator
●NPO法人動画の窓口クリエイティブスクールについて
https://kids-school.dougano-madoguchi.com/about/
「安心してデジタルクリエイティブとSNSを楽しめる社会にする」「動画を使って自己紹介や他者応援ができる子どもを育む」をビジョンに掲げる団体です。東京都中野区を中心に、映像制作というプロセスを通じて、子どもの好奇心が未来の創造につながる場を提供しています。デジタルリテラシー教育を並行しながら、子どもたち、そしてそれを取り巻く大人たちと共に成長し合えるコミュニティを目指して活動しています。
■会社概要
会社名:鈴茂器工株式会社英文商号:Suzumo Machinery Co. Ltd.
所在地:東京都中野区中野4-10-1 中野セントラルパークイースト6階
代表者:代表取締役社長 谷口 徹
設立日:1961年1月
資本金:11億54百万円
事業内容:米飯加工機械、充填機械、包装資材及び寿司ロボット及び食品資材等の製造販売など
鈴茂器工企業HP https://www.suzumo.co.jp/
鈴茂器工企業HP (英語) https://www.suzumokikou.com/
鈴茂器工企業HP(北米向けサイト) https://suzumoamerica.com/
■食の「おいしい」や「温かい」を世界の人々へ
鈴茂器工は1981年、世界初の寿司ロボットを開発し、以来、米飯加工ロボットのリーディングカンパニーとして業界を牽引しています。世界90か国以上の寿司、おむすび、丼ものなど、様々な食のシーンで幅広く利用されています。寿司ロボットとご飯盛付けロボットにおいては、【世界市場】【国内市場】ともにシェアNo.1を獲得(出典:富士経済「2025年版 ワールドワイドロボット関連市場の現状と将来展望 サービスロボット編」寿司ロボット・米飯盛り付けロボット 販売数量・金額2024年実績)。第20回外食アワード2023(主催:外食産業記者会)を受賞するなど、業界でも注目を集めております。人手不足が深刻化する飲食業界において、鈴茂器工は店舗業務の効率化に大きく貢献し、外食産業の課題解決に積極的に取り組んでいます。近年では、2024年に発売されたコンパクトシャリ玉ロボット『S-Cube(エスキューブ)』や、自動配席AIシステム『ARESEA(アレシア)』、2025年にはAI画像認識システム『Visレジ(ビスレジ)』など、革新的な製品・サービスの提供を通じて、飲食店のトータルソリューションを目指しています。
『食の「おいしい」や「温かい」を世界の人々へ』を掲げ、細分化する食に関するニーズをいち早く捉えて市場にご提案し、常に新しいフードビジネスを開拓する企業として躍進しています。
■企業公式SNS
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