前作『Ampersand』で15年ぶりにタッグを組んだ吉田仁(SALON MUSIC)が引き続きミックスを担当した全9曲は、スパングルらしい構築美やクリスタルのような音像はそのままに、サポートを含めた6人によるフィジカルな演奏の魅力がこれまで以上に伝わってくる、自然体の「バンド」としての姿が実に魅力的な作品だ。
『lull』は「静けさ」や「凪」、「束の間の安らぎ」を意味する言葉だが、兼業ミュージシャンである6人にとっての「束の間の安らぎ」が、こんなに瑞々しく、躍動感のあるポップミュージックに結実していることはとても感動的である。来年3月には8年ぶりの単独公演「a puff & a lull」も控え、大坪加奈、藤枝憲、笹原清明の3人に、バンドの現在地を語ってもらった。
ー20周年以降もコンスタントにアルバムは出ていたわけですけど、今回のタイミングでSNSができたり、年明けのワンマンライブが決まっていたり、活動のギアが一個上がったような印象があります。実際バンドとしてまたモードが変わってきたのでしょうか?
藤枝:音楽的なモードが変わったっていうよりは、このアルバムを作ってる途中くらいでライブをやることが決まったことが多分一番大きい。ライブが決まってなければ、今回もSNSも何もせずにしれっと音源が出るっていう、いつものパターンをやってたと思います(笑)。でもライブをやることが決まって、箱まで押さえてしまったので、もうそれはやらざるを得ない。8年前のライブ(2019年、EX THEATERでの20周年ライブ)のときはFacebookしかなくて、ギリギリチケットは売れたんだけど、ちょっともどかしい部分があって。今回は打ち合わせのときにレーベルの担当がその場で勝手にSNSを作り始めたので、もう覚悟を決めたというか。
EX THEATERでの20周年ライブ
ーライブをやろうってなったのは何がきっかけだったんですか?
藤枝:それは笹原くんが。
笹原:僕はライブがずっとやりたくて。メンバーにも「やろうよ」って話してたんですけど、やっぱり家族のこととか仕事のこととか、コロナ禍もあったし、最近は箱を押さえるのも2年前とかだったりするので、なかなか決められなくて。だから今回「ライブをやろう」ってなったのも実は3年ぐらい前で、ようやく箱も押さえられて、みんなのスケジュールもうまく噛み合ったのが2027年の3月で。
ーおひさしぶりの取材なので、少し遡って聞かせていただくと、前作『Ampersand』に吉田仁さんがひさびさに共同プロデュースで参加していて、今回もミックスで参加されています。前作で仁さんとひさしぶりに組んだのはどういう経緯だったんですか?
藤枝:前作は夜っぽい感じというか、ジャケのあのイメージがあって、割と大人っぽいアルバムというか、作ってるときのイメージもそういう感じで、「だったら仁さんだろう」っていうのがあり、実際上がってきたのもイメージ通りだったし、やっぱり仁さんいいなって。だから前回は最初から「合うだろうな」と思ってお願いしたんですけど、今回は割とバラバラというか、一つのコンセプトでアルバムを作ってないので、ちょっと無茶ぶりというか、「これを統一感のある感じに仕上げてください」っていう。
ー仁さんの参加は前作が15年ぶりだったわけですけど、特別何かきっかけがあってとかではなく、シンプルに作品の方向性が合いそうだったから。
藤枝:そうですね。最初に一緒にやった『or』は暗いアルバムだったんですけど、次の『PURPLE』のイメージも割と夜めというか、ちょっとしっとりしていて。『Dreams Never End』とかはハイエンドな感じというか、割とクリアな、ミニマルな感じだったけど、『Ampersand』はまさにあのジャケの感じだったので、ああいうときはやっぱり仁さんが合うんですよね。今回は仁さん的にも「どうやってまとめようかな?」みたいなのはあったと思うんですけど、でもやっぱり仁さんにお願いするとちゃんと一枚になるというか、ちゃんと仁さんのフィルターを通ったものになっていて、それはすごいなと思いました。
ー笹原さんはひさびさの仁さんとの作業はいかがでしたか?
笹原:もう安心の仁さん印なので、自分のパートを録り終わったら、あとはもうお任せしますっていう感じでした。仁さんもそうだし、サポートのメンバーも含めて、会えるときに会える人に会いたいっていう、そういう裏テーマもあったような気がして。仁さんとは先週別の取材でひさしぶりにお会いしたんですけど、制作はデータのやり取りだけなので、実際にお会いしたのは2019年ぶりだったんですよ。
ー大坪さんにとっても、安心の仁さんという感じ?
大坪:そうですね。何枚も一緒にお仕事してきてるのもあるし、バンドのサウンドもそうなんですけど、やっぱり声の質感というか、声の扱い方が絶妙なんですよね。艶っぽいというか、いろんな要素が混ざり合ってできてる、一筋縄じゃない感じがすごいなって毎回思います。
藤枝:『PURPLE』を作ってた頃までは録音に立ち会ってもらってたんですけど、この2作は立ち会ってもらってなくて。要は録りとミックスが完全に分かれてるんですよ。サポートを含めたメンバーのスケジュールがなかなか合わなくて、結局録りに2年くらいかかってて、それに全部立ち会ってもらうのは大変じゃないですか。なので、いつもお願いしてる録りのエンジニアさんだけは固定なんだけど、録音現場で起こってることは仁さんには伝えない形で前回やったら、意外とそれが良かったというか、大きなガイドラインだけ伝えて、それでやってもらったのがすごく良くて。やっぱり仁さんは聴く能力がすごいんですよ。これはこの間直接聞いたんですけど、大坪さんは一日で今回のボーカルを録音してるので、最初の方に歌っただろうなって曲と、後半ちょっと枯れてきたかなっていう曲がわかるって言ってて。
ー今回9曲入りで1曲インストだから、大坪さんは1日で8曲録ったわけですか?
笹原: 「talking」だけ『Ampersand』のときに録ってるから、7曲ですね。7曲でも、1日で録るのは普通に考えたらなかなか過酷だと思うけど。
大坪:普通がどうなのかよく知らないので。
藤枝:大坪さんは基本2テイクぐらいで終わっちゃうんで、それもすごい。年齢的に声が出にくくなる、みたいなこともありそうなのに、その感じも全然ないんですよね。
ー「今回は一つのコンセプトでアルバムを作っていない」という話がありましたが、実際にはアルバム全体の青写真や方向性はどの程度ありましたか?
藤枝: それが本当になかったんですよね。スパングルにしては珍しい。さっきの笹原くんの話じゃないですけど、もう集まれること自体が尊いので、ちゃんとコンセプトを決めて作るというよりは、集まれるたびにちょっとずつ曲を増やすみたいな感じ。全員働いてて、子供とか家庭がいる人も結構いて、大坪さんは広島だし、ドラマーは長野だし、録ってるときはベーシストは静岡だっけ?
笹原:浜松に単身赴任してて。
藤枝:本当に集まれるだけでもすごいことなので、バラバラな方が自然というか、一つのコンセプトで、短期間で「こういうのを今やりたい」みたいな感じはできない。
ーサポートメンバーのみなさんはこれまでと変わらず?
藤枝:そうですね。もうこのメンバーじゃないと作れないです。
ー打ち込みの割合を増やすこともできなくはないと思うんですけど、やはりスパングルの作品としてはバンド録音が前提だった?
藤枝:そうですね。僕ライブとライブのためのリハはそんなに好きじゃないんですけど、曲作りは意外と好きなんですよ。しかもサポートのドラム、ベース、シンセの3人がめちゃめちゃいい人たちで、僕と笹原くんと、とにかくこの5人で集まりたい。なんなら別に曲を作らなくても、集まれるなら集まりたいっていう気持ちがあるし、集まって音を出すだけで楽しいんです。なので、打ち込みでとか、それぞれでアレンジするとかはないかな。みんなで集まると楽しいよね。
笹原:今になって思うと、今回はサポートを含めた6人がまだ生きてるっていうのがテーマ、みたいな。
藤枝:じゃあこの先ずっとそうだね。作るたびにそれを確認し合う(笑)。まあでも確かに、僕は今52歳なんですけど、サポートもみんなそれぞれ年取ってきて、この年齢でスタジオに集まって音出して、ゼロから曲作るって、これが楽しくやれてるのはめちゃくちゃいいなと。「音楽は趣味です」ってずっと言ってたけど、趣味がこれだけ続いてることの尊さを噛み締めるというか。
笹原:普通に考えたら、「日曜日にギター担いで出かけるおじさんたち」なんで(笑)。
藤枝:そうだよね。ギター担いで玄関を出る瞬間は「何々くんのお父さん」だから、すごい恥ずかしいんだけど、でもリハスタに入ると楽しいです。
ーコンセプトはないということでしたが、個人的にはアルバム全体からバンド感というか、フィジカル強めな印象を受けました。1曲目の「Literal」からバンドっぽいキメがフィーチャーされてたり、2曲目の「seascape」も頭打ちで始まったり。先ほどバンドメンバーとの関係性の話もありましたが、これは結果的なのか、ある程度意図的なのか、どちらが近いでしょうか?
藤枝:結果的でもあり、意図的でもあるというか、「これしかできない」まではいかないけど、「これがいい」とは思ってて。やっぱり全員で集まって、サポート含めて一緒に音を出すとスパングルになるなって思うし、そこに大坪さんが歌を入れると、もう完全にスパングルとしか言えない感じになる。
ー大坪さんは結果的に出来上がったアルバムのカラーをどう感じていますか?
大坪:さっきおっしゃってたバンドサウンドというか、ドラムがあって、ベースがあって、ギターも今回コードやメロディーラインが際立ってるのもあったりして、バンド感があるアルバムなのかなっていうのを感じました。ボーカルも、いつもなかなかメロディーが出てこないときがあったりするんですけど、今回は一回パッと聴いて、すぐ思い浮かんでくることが多かったので、メロディーを乗せやすいバンドサウンドというか、そういうところを感じましたね。
笹原:『Dreams Never End』はギターをすごく抑制させるというか、クリーントーンで、ギターらしさはとにかく抑える、みたいな感じだったけど、今回はもう好きに弾いたらいいじゃん、みたいなのがあって。だから1曲目の「Literal」からギターソロを弾いてて、あんなギターソロらしいギターソロ多分初めてだと思うんですけど、僕は単純にもうギターキッズみたいなギターソロが弾きたくて。だから今回歪みが結構多いアルバムだなと思ってて。これまでは牽制し合ってたバンドなんですよ。「これがスパングルらしいかな?」って。でもメロディーもギターも他の楽器も全部なんですけど、「もう好きにやればいいじゃん」みたいなのが顕著に出たアルバムで、それがメロディーの出しやすさにもつながってるのかなと、大坪さんの話を聞いてて思いました。
ー歪んだギターが全面に出てるのは『New Season』ぶりかもしれないですね。
藤枝:『New Season』はコンセプトなんですよ。めちゃめちゃ爆音を出そう、ギターをかき鳴らそうっていう。あれは「けいおん!」がやりたかったので。「seventeen」っていう曲もあるし、「summers end」もあって、僕らの夏の終わりをやりたかった。あれはコンセプトがはっきりあったけど、今回はそういうのもない。
ーでも結果的にギターが前に出てるし、バンド感が強まったことが、今のスパングルらしさを表していると言えそうですね。
藤枝:笹原くんが最初に言ったように「あと何枚アルバムが作れるかわからない」っていうのはちょっと気にしてて、だったらやり残すことがないようにっていうのもあるのかな。今回は前作から3年半かかってるし、次がいつになるかもわからないから、だったら毎回思い残すことはない感じで、好きなことをやるのがいいかなって。僕は今回猫ジャケがやりたかったんですよ。スパングルで猫のジャケットないなと思って、笹原くんに「猫の写真撮ってきて」って言ったら、めちゃめちゃスパングルっぽい猫の写真が上がってきて。知らない人に猫の写真を頼んだら、すごいファンシーなものになる可能性もあったと思うんですけど、ただやりたいことを言ったら、ちゃんとスパングルっぽいものが上がってきて、スパングルで猫ジャケがやれたので、ジャケに関してはもう思い残すことがないです(笑)。
ーファンシーというよりはちょっと尖ってる部分もあるし、美しさもあるし、陰影もあるし、とてもスパングルらしい猫ジャケだなと。
藤枝:タイトルの『lull』は大坪さんがチョイスしたんですけど、「ちょっと一休み」みたいな、そんな気負った言葉じゃないので、その感じもすごいジャケットと合ってるなと思って。全体的に、今はもう何にも考えない方がうまくいくんだなっていうのはちょっと思いましたね。
ーアルバムから最初に先行で配信されたのが「silence」で、これはもうスパングル印の名曲だなと。
藤枝:曲が全部出来上がったときに、笹原くんが「一番スパングルっぽい」って言ってて。僕は捻くれてるので、最初「一番スパングルっぽいのをシングルにするのは嫌だな」と思ったんですけど、でもギリギリでやっぱり「silence」にしようと思って、結果これにしてよかったなと思います。ポスト「nano」的な感じなんだけど、今の自分たちの気分でやるっていう、これが今のスパングルっぽいなとは思いますね。
笹原:最初は違う曲を第一弾にしようとしてて、それはそれでいいと思ってたけど、やっぱりセンターから攻めていこう、みたいな感じになって。僕もこれは代表曲になるような、「nano」や「dreamer」に続く曲だなと思ってたので、異論はないなって。
ーちなみにもう一曲候補だったのはどれだったんですか?
藤枝:僕は「talking」がいいかなと思ってたんです。大坪さんの歌が入ればスパングルっぽくなるんですけど、結構可愛い、不思議な感じの曲なので、1曲目はこのくらいわけわかんない方がいいかなって。でもさっき笹原くんが言ったように、あんまり変な出し方をしてもしょうがないし、真ん中から攻めようと。で、そこから先はバリエーションを、アルバムの中からなるべく違う点をチョイスしていこうっていう発想ですね。
ー4月に「five means」、5月に「talking」が出て、7月に出た「someone in the flower」はドラムンベースっぽいビートがスパングル的には新鮮だなと。
藤枝:この曲はもともと2年以上前に作ってるんです。ちょっと曲作りに行き詰まったときに、シンセの林くんが「ドラムンベースやりましょう」って言って、ドラムンベースのリズムが始まって、そこにみんながちょっとずつ音を当てて、ドラムンベースから四つ打ちっぽくなるというか、それをスタジオでジャムったのがすごく楽しくて。
ーみなさん1990年代後半のドラムンベースをリアルタイムで経験してる世代だと思うんですけど、2020年代に入ってリバイバルがあって、でもこうやって生感のある、スパングルっぽい仕上がりになると、またちょっと違ったものになって面白いですね。
藤枝:『Ampersand』は大人っぽいムードというか、自分なりに成熟した感じをやれて、以前だったら「someone in the flower」みたいな曲だともっと羽目を外しそうな部分もあるんですけど、そこは抑える方向に行ったというか。Everything But the Girlがちょっとダンスミュージックの方向に行ったりしたじゃないですか。そういう変化は全然受け入れられるなと思ってたんですけど、ちゃんとスパングルっぽくなったなって。リハで曲作りしたときはまあまあとっちらかってるなと思ってたんですけど、あんまり言いすぎなくても、ちゃんといい感じで着地してくれる。これも30年弱やってるとこうなるのかっていう感じですね。
ー笹原さん的には、今回のアルバムの中で今のスパングルを象徴する曲はどれだと思いますか?
笹原:さっきも話しちゃったけど、やっぱり「silence」かな。僕以外の2人は新しいスパングルを作りたいっていうタイプなんですけど、僕はスピッツで言うなら「ロビンソン」をずっと作り続けたいタイプなんです。なので、「dreamer」を作ったときに、「nano」と並ぶ曲ができたと思ったり、『Dreams Never End』で言うと、「mio」はそこに並ぶ曲かなと思って、今回また今のスパングルの名曲ができたなと思って。余談なんですけど、ライブができない8年間、YouTubeを見ながらスケールの練習とかをしてて、それで生まれたのが「silence」のイントロのリフで。YouTubeのおかげでできた名曲「silence」をぜひお聴きください(笑)。
ースパングルらしい名曲という意味では、やはり大坪さんの歌と言葉ももちろん大事。大坪さんの中では今回歌であり歌詞という部分で何かこれまでとの変化はありますか?
大坪:歌詞はいつも悩みどころで、所々英語を噛ませたりしてるんですけど、基本日本語じゃないですか。でも海外の聴いてくださる方が結構いるっていうのをちょっとずつ認識してて、英語の文章も入れようかなと思って、今回ちょっと入れたりしてて。でもやっぱり日本語でいった方がいいのかな、みたいな、日本語と英語の狭間で揺れ動いたところが見える歌詞になってますね。
ー確かに1曲目の「Literal」の歌い出しから英語だったりして。もちろんこれまでの曲も日本語の中に英語が混ざってたけれども、割合的に増えてますね。
藤枝:俺は英語が増えたの悪くないなと思ってて。韓国のアイドルグループとか聴いてるとさ、ハングルのところはわからないけど、たまに英語出てくるじゃん。それは意外と好きなんだよね。大坪さんのわけわからない日本語と英語のハイブリッドの感じも、意外といいなと思ってる。大坪さんの日本語は聴いてても全然意味がわからないけど、逆に英語が出てきたときだけ意味がわかる。そのハイブリッド感がいいなと。
ーメロディーや節回しに関しては、何かリファレンスはありましたか?
大坪:ここ2~3年で、歌い回しとかメロディーの作り方みたいな感じだと、SZAが結構好きで。声も好きだし、彼女の畳みかける感じ、歌詞がギュッと詰まったりしてるところがすごい気持ちよくて、いいなと思ったので、そういう要素は入ってる気がします。
ー英語が増えたこととも関連があるかもですね。
大坪:それもあるかもしれない。ガガガっといく感じが面白いなって。
ー「海外から聴かれてることを意識するようになった」という話でしたが、2020年代に入って、日本の音楽全体が海外でも結構聴かれるようになりましたよね。で、昔は英語じゃないと聴いてもらえないっていうのが当たり前だったけど、今は日本語でも聴いてもらえるようになった。とはいえ、日本語だったら何でもいいわけじゃなくて、日本語で、なおかつちゃんといいサウンドとして聴けるものが、海外でも聴いてもらえる日本の音楽になってる。そういう意味で、スパングルの日本語詞は海外にも通用する日本語詞だなっていうのは改めて思いました。
大坪:嬉しい。でも逆にちょっと怖い部分もありますね。私たち日本人が聴いても「なんじゃこりゃ?」っていうわけわかんない内容の歌詞を、海外の人が聴いてくださって、どう思うんだろうなって。
藤枝:海外のハードコアなファンはスパングルの日本語の歌詞に意味がないことがもうわかってるっぽいんだよね。昔からYouTubeのコメント欄とかで、海外の人が「この歌詞の意味を教えてください」って言うんだけど、日本のファンの人が、「いや、日本人でも歌詞の意味がわからないです」って返してて。だから日本人のファンでも意味がわからないんだっていうのは、なんとなく雰囲気として伝わってるっぽい。今は多分自動翻訳とか使ってる人もいると思うけど、でも意味がわからない。
ー確かに。スパングルは自動翻訳をしてもわからない。
藤枝: だから意味はわからないけど、純粋に言葉の響きで聴かれてるとしたら、それはそれでいいなと思うし、だからそこにポツンと英語が入っても、単語とか言葉の響きだけが羅列されてるって意味では同じで、それもいいなって。世界中のいろんな国の音楽が聴けるようになって、より純粋にサウンドとか、声の響きとか、全体感で聴いてくれてる人が多いなら、それはある意味正しいというか、それでいいんじゃないかなと思いますね。
大坪:とは言っても、やっぱり日本人で日本語を使ってるから、「日本語を広めたい」までいかないんですけど、日本語の曲として聴いてほしいっていうのはちょっとありますね。他の言語とは違う味を、日本語の味を楽しんでほしいなって。
藤枝:昔はファンの人に「この曲ってこういう意味ですよね?」って聞かれて、やっぱり言葉が羅列されると勝手に意味を見出すんだなと思って。単語が羅列されてるだけで、勝手にイメージするというか、頭に絵が浮かぶようなことが起こるんだなっていうのは、そのとき思いましたね。
ーアルバムの最後の曲、「snow line」は〈飛び超えて 飛び超えても 勇気は山丹へ 未来〉という歌詞で終わっていて。今日何度か「次はどうなるかわからない」「あと何枚作れるかわからない」という話もありましたが、それでも目線は未来に向かってる。そんなイメージが浮かびました。
藤枝:それあるかもしれないですね。無意識の深層心理が。
笹原:僕のギターソロにも深層心理が表れてるかも(笑)。
藤枝:自分で言っちゃってるから。深層心理って自分で気づいてないことじゃないと(笑)。
ーですね(笑)。では最後に、来年3月に開催される8年ぶりのライブに向けて、一言ずついただけますか。
藤枝:それこそこの先どれだけライブができるかもわからないけど、今はもっとライブをやっていこうっていう風にまとまってるので、3月のライブ以外にもなるべくライブをやっていこうと思ってます。2019年のライブ以降、『Remember』、『Ampersand』、今回のアルバムと3枚出てるので、その中からももちろんやるんだけど、過去のライブでやったことがない曲とかも見つけ出してやっていきたいなっていう気持ちがあります。 こういうのは言葉に出した方がいいと思うので、言っておこうと思います。
ー笹原さんとしては「やっとライブができる!」という感じですかね。
笹原:普段仕事でライブ写真も撮っていて、武道館とか横浜アリーナでも撮影するんですけど、そのたびに自分の立ち位置に立ってみるんですよ。「横浜アリーナのステージだと、自分はここに立つな」とか、イメトレをするんですけど、「これってすごいことじゃん」と思うんですよね。で、それができるんならやった方が楽しくない?って思う。もちろん、武道館とか横浜アリーナとは言わないけど、普段別の仕事をしてる人がリキッドルームで800人を相手にライブすることは普通ないから、緊張するんですけど、すごく楽しみです。
大坪:私もすでに緊張してますけど、それを通り越して楽しみたいですね。私からすると2~3年ぶりくらいのイメージで、8年も経ってるっていうのがまたびっくりなんですけど、ただただ楽しみたいと思います。
ー仁さんやサポートメンバーと会うのもそうだし、それこそお客さんともね、会える機会を作るっていうのは、それ自体にも大きな価値がありますよね。
藤枝:それは本当にそうだと思いますね。
<リリース情報>
Spangle call Lilli line
New Album『lull』
2026年9月2日 Release
felicity
https://spanglecalllilliline.lnk.to/lull
=収録曲=
1. Literal
2. seascape
3. five means
4. someone in the flower
5. talking
6. willow
7. silence
8. may say
9. snow line
<ライブ情報>
Spangle call Lilli line『a puff & a lull』
2027年3月6日(土)大阪 梅田Shangri-La
OPEN 18:00 / START 18:30
2027年3月20日(土)東京 LIQUIDROOM
OPEN 17:15 / START 18:00
2027年3月21日(日)東京 LIQUIDROOM
OPEN 17:15 / START 18:00
東京公演
プレオーダー2次 2026/8/28(金)18:00~9/13(日)23:59
受付URL
<国内販売> https://eplus.jp/lilliline/
<インバウンド受付> https://eplus.tickets/lilliline/


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