絶対的に原料が足りない。紀州産梅は3年連続の不作となり、今年も収穫量は平年の4割ほどまで落ち込んだ。
今年収穫した梅を来年の需要期まで持たせなければならず販売にブレーキをかけざるを得ない。今期は減収になる覚悟もしている。この3年間、梅をめぐる状況は非常に厳しい。

 今後の天候にも不安が尽きない。梅は収穫後の夏に、翌年のつぼみのもととなる花芽の分化が始まる。この時期に雨が降らず、水分が不足すると花芽の形成が進まなくなり翌年の花数が減ってしまう。昨年の不作も、夏場の渇水が大きく影響したとみている。

 収穫後には木を回復させるための「お礼肥(おれいごえ)」を施すが、雨が降らなければ木は肥料の養分を十分に吸い上げられない。水源やスプリンクラーを備えた農園は一部に限られ、多くの農家は川などからタンクで水を運んで散水している。猛暑の中での作業は、木だけでなく生産者の負担も非常に大きい。

 だからこそ、適正な価格で原料を購入し、農家の経営を支えていくことがわれわれメーカーの役割だ。産地が持続できる価格で買い支えなければ、梅づくりそのものが続かなくなる。


 中国産梅も不作と価格高騰に直面している。今年の収穫量は平年の6~7割程度にとどまった。開花期の高温に加え、主要産地では高齢木が増え、植え替えも十分に進んでいない。福建省南部では年々生産量が減少している。福建省北部では新産地の整備が進み、若木の植栽や地方政府の支援も進められているものの、すぐに従来産地を補える状況ではない。円安と人民元高も重なり、調達環境は厳しさを増している。国産不足を中国産で補える状況ではなくなってきた。

 昨年は、雹害などで傷のある梅も事情を説明しながら販売した。お客様から様々なご意見をいただいたが、中国産梅の商品を供給することで売場を維持できた。ただ、今後はその中国産も十分に確保できるとは限らない。国産・中国産ともに大幅に価格が上昇しており、当社では10月から15~20%程度の価格改定を予定している。

 紀州南高梅は、皮が薄く、果肉が柔らかい。
百貨店の贈答品にも選ばれる品質であり、食べていただければその価値を分かっていただけるだろう。生産者や産地が長年かけて築き上げてきた紀州ブランドを、これからも守り続けていかなければならない。

 梅という素材には、まだ消費を広げる可能性がある。近年は昔ながらの梅干を求める方も増えており、特に若い世代では、梅本来の味わいや価値が見直されつつあるように感じる。こうした世代が梅の魅力を次の世代へ伝えてくれることを期待している。

 ただ、従来の訴求だけでは価値を十分に伝え切れなくなってきたのが現状である。価格が上がる中でも紀州南高梅を選んでいただくためには品質を落とさず、さらに付加価値を高め、お客様に喜んでいただける商品を作り続けることが必要だ。

 産地では農業従事者の高齢化が進み、山間部など条件の厳しい農地は管理が難しく、そのまま荒れてしまうことも増えている。一方で、高齢で離農する農家の畑を、若く意欲のある農家が借り受け、経営規模を広げるケースも増えている。かつて田んぼだった平地を梅園として活用する動きも出てきた。平地は水を確保しやすく、作業効率も良い。産地も時代に合わせて姿を変えながら、持続できる梅産業を築いていかなければならない。


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