◆JERAセ・リーグ ヤクルト5―4巨人(14日・神宮)

 1打席に懸ける執念が白球に乗り移った。インパクトに全身の力を込め、坂本は片手でバットを振り抜いた。

打球は神宮の夜空に放物線を描き、大歓声に包まれながら左翼スタンドに消えていった。「一振りで仕留めることができました。よかったです」。一塁を回ると、白い歯を輝かせて無邪気に笑った。

 0―3の7回1死二、三塁。リチャードの代打で出場。対するのは4月に通算299号となる今季1号を放っていた左腕・山野。カウント1―1から高めのスライダーを思い切り引っ張った。5月13日の広島戦(福井)で放ったサヨナラ3ラン以来となる同点の3号3ラン。復帰登板の山崎の黒星も消す、値千金の一撃となった。代打での本塁打は16年9月8日の阪神戦(甲子園)で放った逆転3ラン、25年8月15日に阪神戦(東京D)で放った3ラン以来、通算3本目だ。

 途中出場でも、集中力は随一だ。

今季は代打で16打数6安打、打率3割7分5厘、7打点。「いい準備してやっているだけなので」と勝負どころで実力を発揮する秘訣(ひけつ)については多くは語らないが、7日の阪神戦(東京D)でも開幕10連勝中の高橋遥人に土をつける満塁一掃の二塁打。相手がエース級であるほど、勝負強さが光る。

 ベンチスタートの試合が多い中で、チームメートの支えになっていた。5月に不調に陥った泉口が打撃について相談すると、技術面だけでなく、結果の出ないときの気持ちの持ちようについて快くアドバイスを送った。泉口は「自分のこともあるのに教えていただけて、すごくありがたかったです。勇人さんは右バッターですけど、いろいろ経験されている方。気持ちの面でも参考にさせていただいています」と感謝は尽きない。

 逆に泉口が、坂本から打撃について聞かれることもある。「自分が答えていいのかなと。今まですごい結果を出されているのに、今の状態を見ていろいろな人に聞いて、それをやってみようと思えるところがすごい」。貪欲な姿勢が心に響いた。

「めっちゃ優しい。ずっといてほしいです」。いつだって後輩のヒーローだ。

 チームは敗れたが、勝利の希望をもたらす大きな一発だった。「(明日も)同じですね。いい準備をして。どこで出番があるか分からないので、頑張ります」。これからも一打でG党を笑顔にする。(臼井 恭香)

村田 真一Point 勇人、うまく打ったねぇ。おそらく真っすぐを待っていたんやろうけど、外から甘く入ってきたスライダーに対して、バットを巻き込むようにしてうまく捉えたよね。体が開かずに壁をしっかり作れていたからファウルにならずスタンドまで伸びる打球になった。こういう場面で誰もが期待する結果を出すあたりがスターよね。

これで勝っていれば言うことなかったけどなあ…。

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