◆JERAセ・リーグ 巨人6―1中日(19日・東京ドーム)

 巨人が頼もしい新戦力の快投で対中日4カードぶりの勝ち越しを決めた。6月にナショナルズから加入した小笠原慎之介投手(28)がNPB復帰初登板。

古巣を相手にキレのある直球に落差のあるカーブやチェンジアップなどを駆使し、6回3安打無失点で移籍初勝利を挙げた。打線も吉川尚輝内野手(31)が適時二塁打を含む猛打賞をマークするなど13安打6点で援護。今季最多タイの貯金8とし、首位・阪神との1差をキープした。20日からは東京Dで9連戦の最終カード、広島3連戦に臨む。

 小笠原が拳を突き上げた。巨人ファンからの大歓声を浴び、あふれんばかりの闘志をむき出しに、マウンドでほえた。0―0の5回無死一、三塁。木下を直球で遊飛。続く辻本の痛烈な打球を一塁手・ダルベックがジャンピングキャッチ。そのままベースを踏み、併殺で大ピンチを脱出した。「あそこで点が入ったら完全に僕の責任なので本当によかった」。ベンチで安堵の笑みを浮かべた。

 6回も続投し、87球3安打無失点の快投。ローテーションの事情でくしくも古巣が相手となった巨人デビュー戦で白星を挙げ「久しぶりにこんな歓声を聞きながら投げられてうれしいです」と感慨に浸った。

 結果で示した。竜党のブーイングとG党の声援が入り交じる異様な雰囲気の中でのマウンドは「気持ちを落ち着かせることに精いっぱいでした」。それでも最速147キロの直球にカーブやチェンジアップなど、多彩な変化球を駆使し3回まで完全投球。MLB移籍直前に所属していたチーム相手にNPB復帰戦で白星をつかんだ初の選手となり、橋上監督代行は「次回以降もローテーションで回ってもらえると思うので、ますます良くなることを期待しています」と目を細めた。

 自分を信じた。24年オフにポスティングで米球界挑戦し、昨季メジャー1勝も今季はメジャー登板はなく「苦しかった。辞めてもいいかなっていうのはそのときに初めて思った」。それでも前を向けたのは「誰かが見ているかも」という思い。巨人からのオファーに「人生経験を豊富にしていい野球人生を終えたい」と入団を決意した。

 座右の銘は「人の力があって成り立つ。

捕手のリードやバックがないと野球はできない」と「他力本願」を掲げる。一方で、グラブには「他人に頼らず自分1人で迷わず前へ進む」という意味の「独往邁進」という言葉を記した。これまではグラブに刺しゅうを入れるのを好まなかったが、帰国後に作った黒いグラブには思いを込めた。2軍調整中は若手が引き揚げる中、1人で汗を流す。「群れるのは好きじゃない。やりたいことをやることが人生としてはレベルアップできる」―。日本でも米国でも理想像を追い求めてきた。

 加入初登板で実現したお立ち台では「期待に応えられるように頑張りたいと思います」と力強くG党に宣言した。この日は87球での降板だったが杉内投手チーフコーチは100球をメドにしていたことを明かし「次は普通にいくんじゃないですか」と説明した。阪神との首位争いへフル回転が期待される左腕は、新天地でも堂々と己の道を突き進んでいく。(水上 智恵)

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