◆第108回全国高校野球選手権大会第5日 ▽1回戦 花巻東4―2新田(9日・甲子園)
花巻東(岩手)が新田(愛媛)に競り勝ち、2年連続で初戦突破した。高校通算34発の4番で主将の古城大翔(だいと)一塁手(3年)は、1948年の学制改革(新制高校)以降、PL学園・清原和博以来2人目の5季連続先発4番出場。
主砲のひと振りに聖地がどよめいた。花巻東が1点リードの6回無死。古城は初球のスライダーを迷いなく振り抜いた。強烈な打球は左翼フェンスに到達。貴重な追加点へつながる二塁打に「まさか、こんなきれいな打球を打てると思っていなかったので嬉しい」。5季連続の聖地で出た待望の初長打に、笑みがこぼれた。
1年夏から甲子園5季連続4番はPL学園・清原以来2人目。そんな重責も力に変えた。2回先頭で中前安打を放ち、先制のホームイン。4回1死では死球で出て2点目を刻み、3得点とダイヤモンドを疾走した。木製バットを駆使し、3打数2安打と快音を響かせ「夏の甲子園の舞台で、まさかここまで上出来な結果が出るとは」と「まさか」続きに笑みを浮かべた。
アクシデントも糧にした。4月の練習中に右足中足骨を骨折。夏には間に合わないとの診断に「もう無理なんだ」と落ち込んだ。それでも春季県大会と東北大会では記録員としてベンチ入り。「プレーしている立場では気が付かない、見えないミスやエラーに気が付けた。自分たちの弱さを視野を広く俯瞰(ふかん)して見られた」。チーム復帰は夏の岩手大会開幕1週間前。仲間の励ましに背中を押され「気持ちで骨もくっついた」。冗談交じりに振り返った。
アルプスからは母・紹瑛(しょうえ)さん(53)が声援を送った。普段は野球に没頭する息子を気遣い、あえて連絡は控える。そのため古城が春に骨折したことも当初は知らず「電話で『病院に行くお金がない』と言われて知ったんです。
最後の夏は悲願の頂点を狙う。「過去4回と比べて打席の1球が本当に価値あるもの。新田の思いも背負いながら、周りの方々のために必死になって頑張りたい」。誰よりも甲子園を知る大砲が、ナインを聖地の頂へ導く。(渋谷 拓人)
◆清原和博と甲子園 桑田真澄との「KKコンビ」で83年の1年夏から5季連続出場。1年夏は優勝、2年春夏は準優勝、3年春は4強、最後の夏も優勝し、史上最多の通算13本塁打。3年夏は、当時の大会記録となる5本塁打を準々決勝以降の3試合でマーク。準々決勝の高知商戦で中山裕章(元大洋など)から放った左翼席中段への140メートル級の大アーチは、甲子園史上最長と言われる。宇部商との決勝でも2打席連発で有終の美を飾り、「甲子園は清原のためにあるのか」との名実況を生んだ。
◆古城 大翔(ふるき・だいと)2008年6月4日、横浜市生まれ。
◆記録メモ ▼甲子園5季連続先発4番 花巻東・古城大翔は1年夏から、甲子園5季連続先発4番出場。










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