◆第108回全国高校野球選手権大会第6日 ▽1回戦 横浜7―2沖縄尚学(10日・甲子園

 ゲームセットの瞬間、涙があふれた。昨夏、出場3396チームで唯一、負けと無縁だった沖縄尚学のエース左腕・末吉良丞(3年)が、甲子園の初戦で散った。

先発マウンドを託されたが、3回6安打3失点と本領発揮とはほど遠い66球だった。涙の意味を問われ、こう言った。

 「ふがいない投球でした。申し訳ないという気持ちと、悔しい気持ちです。喪失感がすごいです」

 横浜・織田との世代最強投手同士の投げ合い。2回につかまった。浮いたボールをはじき返され、3長短打で2点を失った。3回にも2安打を浴び1失点。降板を命じられた。対戦した横浜打線の印象を「詰まりながらも外野に持っていく。振りが強い。もう少し長打を打ってくると思ったが、詰まって間に落とす執念を感じた」と表現し、「自分の力不足」と決して言い訳はしなかった。

 2年生エースとして昨夏、全国制覇の原動力になった。続くU―18ワールドカップでは、高校日本代表で唯一の2年生ながら、エースとして準優勝に貢献した。だが好事魔多し。今春センバツ後、左肘を痛めた。「思うように行かなかった1年でした」。懸命なリハビリと周囲の支えもあって、最後の夏、聖地のマウンドに帰ってきた。「いろいろ支えてもらったんで…」。勝利で恩返ししたかった。

 プロか進学か。注目の進路に「未定です」とした。その理由は「ケガです」と言った。比嘉公也監督(45)は「沖縄大会が始まるまではプロにしたいと言ってましたが、実力が通用しないのであれば、その限りじゃないという形にはなる」と語った。

「同じ沖縄県出身の宮城大弥投手のような、勝てる投手になっていきたい」と未来予想図を描いた末吉。自らを育んだ大甲子園を「すごくいい場所。いろんな人に見てもらえる場所」と表現した。この日の涙は必ず、明日への力に変える。(加藤 弘士)

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