◆第108回全国高校野球選手権大会第8日▽2回戦 仙台育英1―0花咲徳栄(12日・甲子園

 台風15号の接近で第4試合が中止となり、3試合が行われた。仙台育英(宮城)は、背番号10の2年生右腕・古川諒弥投手が119球の熱投で花咲徳栄(埼玉)を1―0で完封。

2年生投手では仙台育英初の完封劇で、チームを史上5校目の夏50勝と16強入りに導いた。

 ぬかるむマウンドで、最後の力を振り絞った。仙台育英のリードは1点。9回2死二塁、古川は市村心へカウント2―2から5球目、132キロのスプリットをワンバウンドで落とした。バットは空を切る。5安打完封で16強進出だ。降り注ぐ雨の中、拳を突き上げた。帽子のツバに書いた、母・ゆきみさんから贈られた言葉は「顔晴れ」。頑張り続けた119球。晴れやかな笑顔で校歌を歌った。

 「大事な試合。勝ち切れて良かった。

完封は練習試合も含め、高校で初めてです」。この1勝で仙台育英は節目の夏50勝。「歴史に残るかな」と笑った。

 開幕戦の1回戦・札幌日大戦では先発し、直球主体で6回途中を2安打1失点も、4四球。この日は夏の埼玉大会の相手打線をビデオで研究し、変化球主体に切り替えた。「左打者が多いので、バックドアのスライダーが入れば、抑えられるデータもあった」。緩急で幻惑し、四球は二つのみ。打たせて取った。

 先発は当日の午前中、須江航監督(43)からしびれる言葉とともに伝えられた。「お前が一番いい投手だ」。胸が熱くなった。それまでは「試合を作れる投手」との評価だった。

「自信になった。その言葉を胸に投げられた」。ほとばしる闘志を白球に込めた。

 生まれは北海道の南西部、森町。道内の町で唯一「まち」と呼ぶことで知られる。「ホタテが有名。よく食べていました。駅弁1位の『いかめし』は森町発祥です」。22年夏の甲子園を制した仙台育英に憧れ、進学を決意。ホタテや豚肉など栄養満点の食材で培った頑健な体で「日本一激しいチーム内競争」に食らいついた。

 甲子園では同校2年生初完封。宮城県勢で2年生の1―0完封は03年の東北・ダルビッシュ有に次ぎ3人目だ。

「日本一へ貢献したい」と古川。名門に現れた、森町出身のニュースター。4年ぶり頂点へ、次も顔晴るのみだ。(加藤 弘士)

 記録メモ 

 ◆主な2年生投手による1―0完封勝利 57年2回戦(寝屋川)で早実・王貞治(延長11回、ノーヒットノーラン)、61年に怪童こと浪商・尾崎行雄が1回戦(対浜松商)、決勝(対桐蔭)と2度、76年に快速右腕の星稜・小松辰雄が、2回戦(対日体荏原)、準々決勝(豊見城)と2度、13年に優勝投手に輝いた前橋育英・高橋光成が1回戦(対岩国商)、2回戦(対樟南)に2試合連続でマークしている。

 ◆仙台育英2年生投手初の完封勝利 仙台育英の2年生・古川諒弥がスコア1―0完封勝利。仙台育英投手の選手権完封勝ちは、昨年1回戦(対鳥取城北)の吉川陽大に次ぎ、7人目(他に継投1度)。スコア1―0でマークしたのは3人目だが、2年生で完封勝利は初。センバツでも完封勝ちは、15年佐藤世那(3年)1人だけ。春夏通じて2年生の完封勝ちはチーム初めて。

 ◆宮城県の下級生投手3人目の1―0完封勝利 選手権で下級生(1、2年生)投手のスコア1―0完封勝利は、1948年学制改革(新制高校)以降入学では、昨年1回戦(対金足農)の沖縄尚学・末吉良丞(2年)以来、27人目(32度目)。宮城県の投手では、58年1回戦(対長崎南山)の東北・波山次郎(2年)、03年3回戦(対平安、延長11回)の東北・ダルビッシュ有(2年)に次ぎ3人目だ。

編集部おすすめ