球界最年長46歳のヤクルト・石川雅規投手が2日、都内の球団事務所で記者会見し、今季限りでの現役引退を表明した。身長167センチと小柄ながら24年連続勝利を挙げるなど、通算188勝をマークした“小さな大投手”。

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 白球だけでなく、言葉を操る魔術師でもあった。2018年から3年間担当した石川の取材、むしろ雑談には、ほぼ同世代の自分にも響く人生訓がいつも詰まっていた。

 「いい時のようなパフォーマンスができなくなって、ちょっと前は恥ずかしいと思っていたけど、今はそれがなくなったんですよね。今の自分を受け入れて勝たないといけない」

 戸田球場から2軍施設へ続く真夏の土手を歩きながら何気なく信念を語ったことがあった。過去は振り返らない。以前と違う今の自分を潔く認め、新たな境地を求めたからこそ走り続けられた。「いつか、野球がうまくなるかもしれない」は口癖。担当時代でもオフのファスティング(断食)から、はたから見て野球に関係なさそうなことまで、気になれば飛躍のきっかけを求めて取り入れた。

 ポジティブ人間も弱気に陥ったことがある。18年、38歳左腕は背水のシーズンに臨んでいた。最下位に沈んだ前年、自身は11連敗でフィニッシュ。なかなか結果に結びつかず、決して擁護の声だけではなかったという。

「もう勝てないんじゃないか」と苦悩した日もあったが、終わってみれば開幕2戦目の復活星から7勝をマーク。「ひとつ勝つってすごく難しい」とあらためて実感した本音は重みがあった。

 担当した3年だけでも、降板後に石川の白星が消えるのを何度も目にした。それでも「自分ひとりじゃ勝てないし、野球はできない」。恨み言を言わず、感謝を忘れないまっすぐな姿勢が、首脳陣やチームメート、他球団や別競技の選手、担当記者、そして何よりファンから愛され、リスペクトを集めたゆえんだろう。

 プロ1年目、巨人・松井に東京D右中間最深部の看板にぶち当てられた155メートル弾に衝撃を受けた。「忘れられない。すごかった」。その経験を原点に追求した「小よく大を制す」の野球人生。制球、緩急、1球ごとに投球プレートの位置を変えるなど工夫を凝らした。「スワローズに入るまではジャイアンツファン」と振り返る少年時代の憧れから奪った33の白星も勲章だ。 

 こんなことも口にしていた。

「カズさん(三浦知良)が全盛期を聞かれて『これからだよ』と言ってたんです。かっこいい」。まだ見ていたかっただけに寂しさは募るが、今回も前向きな決断に違いない。ピークを追い求め続ける石川こそかっこいい投手人生だった。(18~20年ヤクルト担当・田島 正登)

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