監督采配で上回った日本がオランダの逃げ切りを許さず
試合序盤に見せた鈴木彩艶のビッグセーブが大きかった photo/Getty Images
選手たちはもちろん、観戦している私も疲れました。ヒヤヒヤドキドキでしたが、次につながる勝ち点1を取ることができました。2回リードされながら追いついたのは本当に大きかったと思います。
前半の日本代表は割り切った戦いをしていました。前からプレスをかけるのでなく、後ろにかまえてスペースを消して対応。ボールを持たれても各選手が慌てることなく、侵入してくる相手を跳ね返していました。カタールW杯のときのドイツ戦、スペイン戦もそうでしたが、うまく守っていました。
それにしても、開始3分にあったドニエル・マレンの決定機を鈴木彩艶が止めたのは大きかったですね。あれがもし失点になっていたら、どうなっていたかわかりません。試合の流れに影響があるビッグセーブでした。
攻撃に関しても、ボールを奪ってからカウンターという形を徐々に作れるようになり、チャンスもありました。前半途中からはボールを持つ時間も多くなり、とくに左サイドの中村敬斗からチャンスが生まれていました。前田大然、伊藤洋輝もよくからんでいましたね。0-0で折り返しましたが、日本にとっては嫌ではない前半でした。
オランダはやはり一人一人がうまく、前からボールを取りにいってたらフレンキー・デヨング、ライアン・グラフェンベルフにかわされ、コーディ・ガクポ、クリセンシオ ・サマーフィルに裏を使われていたかもしれません。
このあたりは、イングランドに1-0で競り勝った成功体験があってこそだと思います。かまえたなかでもコンパクトさをキープし、間延びすることなく守ることができていました。無失点で前半を終えるのはプラン通りで、後半もまずは守備から入っていきました。そして、オランダの先制点から試合が動きはじめ、「静」の前半から「動」の後半という展開になりました。
点の取り合いになったなか、64分に失点して1-2となりました。ここからの森保一監督の選手交代は間違いなく評価できます。66分にまずは伊東純也、75分には菅原由勢、小川航基、冨安健洋を投入し、システムをアイスランドとの強化試合でもみられた[3-1-4-2]に変更。佐野海舟をアンカーに、インサイドハーフが鎌田大地、伊東。ワイドなポジションが右に菅原、左に中村。上田綺世と小川の2トップとしました。
対して、オランダは81分にナタン・アケが入ってきて3バックとなり、逃げ切りを図ってきました。それ以前の70分にはマレンに変えてメンフィス・デパイという交代もありました。正直、日本はこれで助かりました。交代のタイミングも含めて、監督の采配で日本は上回っていたと思います。
ボールを持てるようになった日本がチャンスを作れるようになり、CKから土壇場で同点に追いつきました。1-1とした中村のゴールも大きかったですが、高さのあるオランダからセットプレイでゴールを奪って追いついたのは自信になったはずです。
こうした展開のなか、追いつけなかったのがこれまでの日本サッカーの歴史です。リードしていて追いつかれたのではなく、追いついての引分けです。しかも、相手は強国のイメージしかないオランダです。間違いなく、次につながる勝ち点1だったと言えます。
チーム全員で戦った日本 遠藤の想いも乗っていたはず
塩貝のギラギラした闘争心は頼もしい photo/Getty Images
久保建英の負傷というアクシデントによる交代もありましたが、日本は的確に動いたことでリズムをつかみました。交代で入った選手も含めて、総力戦でつかんだ勝ち点1です。
最後の交代でギラギラしている塩貝健人が入ってきたのも良かったですね。彼は國學院大學久我山高校のころからギラギラしていて、常になにかをやってくれそうな雰囲気があります。
誰かひとりが良かったというより、スタッフも含めて全員が良かったと思います。日本はひとつのグループで戦っていました。だからこそ、4年前の経験を生かして次のチュニジア戦に挑んでほしいです。カタールW杯では2戦目のコスタリカ戦に敗れています。オランダを相手に2度のビハインドを追いついて勝ち点1を得た結果を今後につなげるためにも、全員で戦ってチュニジアに勝ってほしいです。
ところで、この一戦を私は最初DAZNの配信で観戦していました。しかし、前半途中でNHK地上波に変えました。試合前からDAZNは音と映像がズレていて嫌な予感がしていましたが、ついには映像が遮断されてしまいました。
せっかくの大舞台なので、なんとか配信のクオリティをあげてほしいです。難しいとは思いますが、私も含めて多くの人がお金を払っています。ぜひ、ストレスなく観戦できるようにしてほしいと願っています。
ただ、NHK地上波に変えたことで、今回も本田圭佑さんの解説を楽しむことができました。選手をさん付けで呼び、知らないことを「わからない」というのは本田さんの素です。「1にガクポ、2にガクポ、3にガクポで、4はデ・ヨング。それかマレン」の表現は良かったですね。もはや、“本田節”はW杯に欠かせないです。最高でした。ピッチサイドの柿谷曜一朗さんも良かったですね。
それにしても、いろいろなことがあって私は疲れました。もし1-2のまま終わっていたら、もっと疲労感があったと思います。
構成/飯塚健司
※電子マガジンtheWORLD318号、6月16日配信の記事より転載

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