1日の運行本数が375本から99本に激減した「夢洲行き」

 2025年に大きな話題を集めた大阪・関西万博。空飛ぶクルマのデモ飛行や水素燃料電池船の運航など、未来を感じさせる乗りものの活躍が注目されましたが、会場への来場者輸送にもっとも従事したのは、従来から活躍する鉄道やバスでした。

現在、万博会場の入口となった大阪メトロ中央線・夢洲駅はどうなっているのか、訪れてみました。

本数が7割も減った「地下鉄の新駅」今どうなっている? “祭り...の画像はこちら >>

 大阪メトロ中央線は万博会場に直接乗り入れる唯一の鉄道アクセスルートとして、2025年1月19日にコスモスクエア駅から夢洲駅までの延伸区間が開業。。に~万博開幕まであと3か月を切ったタイミングでした。万博開幕前、大阪メトロは多くの来場者の輸送に対応するため、中央線の運行本数を上下計755本に増発し朝夕夜は2.5分間隔で運行しました。

 日本国際博覧会来場者輸送対策協議会が2025年12月に発表した「2025年大阪・関西万博 来場者輸送実績報告書」によれば、開幕後は1日平均で約12万人が中央線を利用して来場していたとのこと。各駅などから運行されたシャトルバスや自家用車などを含めた開催期間中の“全体”平均機関分担率では、中央線が71.6%となっており、多くの人々が来場の足として利用していたとわかります。

 万博終了後のダイヤ改正で、夢洲行きは375本から99本(土日休日84本)に激減。約7割減少し、日中は15分ごとの運行となりました。

 日中時間帯の運行本数が1時間あたり4本(15分間隔)は、日本の地下鉄では最も少ない部類です。他には、神戸市交通局の海岸線と北神線、名古屋市営地下鉄上飯田線が日中15分間隔で、数えるほどしかありません。

 現在、万博会場では解体工事が進んでおり、周囲にはこれといった観光施設などもない状態です。

万博が閉幕して半年以上が経過した現在、利用者がいるのか、いるとすればどんな人々なのか、現地で確認してみました。

 今回、平日に夢洲駅まで中央線を利用しました。5月上旬の平日に取材しました。午前8時すぎに谷町四丁目駅を訪れると、輸送障害があったため多くの利用者がホームに溢れていました。この時間の中央線は3~4分ごとに発着します。混雑する夢洲行きを見送り次の列車を待っていると、やってきたのはコスモスクエア止まりでした。

「もうこの時間帯から夢洲行きは15分ごとの運行か」というのは早合点で、その数分後に夢洲行きが入線しました。夢洲行きとコスモスクエア行きをバランスよく運行して、終点での折り返し業務を効率よく行い、運行本数を確保できるようにしているのでしょう。

 筆者が乗車した夢洲行きは、立ってスマートフォンを眺めるのがやや難しいほどの混み具合でした。ビジネス街である本町で多くの人が下車しましたが、そのぶん乗車もあり、車内の混雑はそれほど変わりません。その後、阪神線との乗り換え駅の九条や観光地の最寄り駅である大阪港など、各駅で少しずつ下車があり、車内は座席がすべて埋まり、立っている人もちらほら見られる状態でした。

「祭りの後」の寂しさが漂う

 車内はすっかりガランとなりました。

筆者が乗車していた車両には、他に誰もおらず、別の車両もゼロかひとりといったところ。「ゴーッ」という音を立てながら暗闇のトンネルをわずかな乗客を乗せて走る様子は、ちょっとしたホラーのようです。

本数が7割も減った「地下鉄の新駅」今どうなっている? “祭りの後”の様子を見てきた 大多数の乗客は「1駅手前」で下車
白い壁面があらわになった広場。万博開催当時は装飾や広告で賑やかだった(水野二千翔撮影)

 コスモスクエアを出て数分で終点の夢洲に到着。数人の利用者がエスカレーターや階段で階上の改札へと向かいました。「スムーズな乗降のため整列乗車にご協力ください」というアナウンスが流れますが、ホームには人影がなく寂しく響くだけでした。

 開催当時には来場者の整理に大いに活用されたであろう、広大な改札前のコンコースも持て余し気味に感じます。ここには万博開催時から「夢洲LEDビジョン」というサイネージが設置されており、その横幅は約55mにもなります。訪れた当日は夢洲の開発の歴史に関する映像が上映されていました。

 改札付近をチェックしてみると、かつて改札機が置いてあったスペースのほとんどが柵に置き換えられており、使用できる改札機は大阪メトロの誇る顔認証改札を含めて4基だけになっていました。改札を出ると地上へ至る前の広場になっており、万博開催当時にはマスコットのミャクミャクをあしらったり、大きな広告が掲げられたりしていましたが、現在はすっかり取り払われ、白い壁面が見えるだけ。

 地上へ上がると、開催当時は東ゲートへとつながっていましたが、現在では人の背よりも高い白いフェンスに遮られ、それ以上なかに入ることはできません。フェンスに沿って歩くと、ダンプトラックがひっきりなしに走る道路に出ました。

遠くには大阪・関西万博の象徴だった「大屋根リング」が解体される姿が見え、当時の華やかさはすっかりありません。

 そろそろ引き上げようと駅に戻ると、作業着姿の人やノートPCを操作したり、ヘルメットをかぶったりしたスーツ姿のビジネスマンの姿が増えていました。解体が進む会場の視察に訪れたようです。日本の建設業界が総力を上げて作り上げた万博会場でしたが、解体現場としてもまた注目を集めており、そのアクセスを担うため夢洲駅は活用されているようです。

 なお、万博会場跡の隣接地では、日本初となるカジノを含む統合型リゾート施設(IR)の工事が進んでおり、2030年に完成する予定です。また大阪市は2026年7月3日、万博跡地である「夢洲第2期区域」の開発事業者の公募を開始しました。現在は祭りの後の寂しさが漂っていますが、近い将来、国際観光拠点として再び脚光を浴びることになりそうです。

【画像】今後は大変貌!これが人工島「夢洲」の開発イメージです

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