オランダに対して2-2の引き分けという結果をどう捉えればいいか。「FIFAランク上位のオランダとの引き分けは勝ち点1以上の価値がある」と試合後、森保一監督は語っている。
ボールを支配するオランダ。5バックで守りを固める日本。それぞれの関係はボール支配率に置き換えれば、前半は59%対33%となった。想起したのは2022年カタール大会だ。日本はその方法でドイツ、スペインに勝利を収めたが、強豪相手に守りを固めるサッカーをしている限り、強者と弱者の関係は崩れない。
日本は典型的な"弱者のサッカー"でグループリーグを突破した。今回もその方法論なのか。4年前に比べて選手のレベルは上がっている。
ただ、オランダも慎重だった。ボールは支配するが無理はしない。日本のカウンター攻撃を警戒したのだろう。ミスのないサッカーに徹した。最初は日本の3-4-2-1の外側でパスを回していた。しかし時間の経過とともに、ボール支配するエリアが日本ゴールに近づいていく。日本は前半の終盤、中村敬斗、上田綺世が惜しいシュートを放ったが、日本とオランダの弱者対強者の関係は揺るがなかった。
試合が動いたのは後半5分。右サイドバック(SB)デンゼル・ダンフリースのクロスをセンターバック(CB)フィルジル・ファン・ダイクが頭で決め、オランダが先制する。
【攻める日本、守るオランダ】
すると日本は後半30分。布陣を変える。堂安律(右ウイングバック)、渡辺剛(右CB)、久保建英(左シャドー)を下げ、菅原由勢、冨安健洋、小川航基を投入すると布陣は以下のような4-4-2になった。
鈴木彩艶(GK)、伊藤洋輝(左SB)、谷口彰悟、冨安(CB)、菅原(右SB)、中村(左MF)、佐野海舟、鎌田大地(守備的MF)、伊東純也(右MF)、上田、小川(FW)
昨年9月のアメリカ戦以来となる4バックである。同点を目論み攻撃的に出たと考えるのが自然だ。これを見るや、2-1でリードするオランダは、驚いたことに後半36分、布陣を4バック(4-3-3)から5バック(5-2-3)に変えた。
守りきろうと考えたのである。
日本は後半の途中まで、5バックで意図的に引いた。オランダも後半、5バックに布陣を変え、意図的に引いた。オランダはその結果、セットプレーからではあるが、日本に同点弾を許している。
見たかったのは日本が最初から4バックで前向きに戦う姿である。その時、オランダとの間でどのような化学反応が起きたか。両者の真の力関係は、そうでないと見えてこない。日本にはそれをする勇気がなかった。試合の頭から、勝利を目指し攻撃的に戦う度胸がなかった。
オランダをいつになく弱気にさせていた理由は、日本人選手の個々の力量を警戒したためだろう。
5バックの体制で後ろで構えて守る臆病な戦い方をして、勝ったり引き分けたりしても、「よくやった」とする気持ちにはなれない。見たいのは日本のマックス値だ。オランダと撃ち合ってどこまでいけるか。それを避け、計算高いサッカーを繰り返していると、いつまで経っても飛躍しない。弱者の立場から抜け出すことはできない。日本サッカーはひと皮むけないのだ。
「賢くしたたかに」とは森保監督の口癖だが、それを毎度、繰り返していると、少なくともマックス値、総合力は上がらない。
以前にも述べたが、森保監督続投の記者会見で、傍らに座る反町康治技術委員長(当時)は注文をつけた。「次の4年はより攻撃的に」と。しかし反町氏がその立場を去ると、森保監督はそれをなかった話のように、布陣を4バックから5バック(3バック)に変えた。
5バックのサッカーを全否定するつもりはないが、この日のオランダを見ればわかるように、失敗した時に悔いが残る戦い方であることは確かなのだ。
次戦のチュニジア戦、3戦目のスウェーデン戦に、日本はどんなサッカーで臨むのか。守備的にいくのか、攻撃的にいくのか。そこを間違えると、痛い目に遭うだろう。ちなみに前回はドイツ、スペインに勝利したが、コスタリカには敗れている。オランダに引き分けても、守備的精神が幅を利かせている限りは危ないだろう。

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