子供時分は楽々できたのに、大人になるとできなくなっちゃうこと。
いろいろあると思うけど、雲梯(うんてい)もきっとそのひとつ。
昔はひょいひょいと、一段飛ばしも難しくなかった。でも今になってやってみると、たった3本進むのに苦労したりする。

ところで、高知県に世界一の雲梯があるのをご存知だろうか。何が世界一かと言えばその長さ。なんと102mもあり、まるで巨大なムカデのよう。途中で曲がっていて、スタートからは木陰になってゴールがよく見えない。
バーの数は400本。1997年7月にギネス記録に認定されている。

実は筆者、この「世界一」を観光途中に偶然見つけた。このまま見過ごすわけには行かない、と挑戦してみることに。子ども向きに作られているのだろう。筆者の身長では足がついてしまう。
膝を曲げての挑戦はちょっとしたハンデだ。よーい、スタート!

あまりに久々の雲梯。初めは左右の手で同じバーを握らないと先へ進めなかったが、慣れてくると左右交互に行けるように。快調快調、パシ、パシ、さあ、もう随分来たぞ、と思ったらそこに「20m」の文字が。まだ、たったの20m! すっかり気持ちが萎えてしまって、終了。バーの数にすれば80本だから、まあまあだろうか。


高知県香南市の吉川庁舎商工水産課によると、過去にこの雲梯を使って2回の記録会が開かれているという。雲梯の記録会。想像してみると、何かいい感じだ。最近は開かれていないそうだが、これまでの最高記録は、
  ○小学生の部 151m  ○中学生の部 60m  ○一般の部 170m
だとか。うーん、大人でも得意な人は小学生を超えるのか。
「記録会は7分間の時間制限でやったのですが、小学生の子は制限時間がきた後も落ちずに続けて、200mを超えたと聞いています」(同課)

200mと言えば、この長い雲梯を往復しなくちゃならない。
復路の最後は上り坂になるので、相当しんどいはず。やっぱり、小学生には勝てそうもない。

雲梯があるのは天然色劇場という野外ステージのそば。日曜の夕方、都会ならファミリーが集まってきそうな場所なのに、ここでは時折人が通り過ぎて行くだけ。高知観光に出掛けたなら、ちょっと寄り道して、物静かなこの「世界一」をひとり占めしてみませんか? 眺めるだけもよし、挑戦してみるもよし。近くに夕陽スポットもあります。

(R&S)