ご当地ラーメンもさることながら、ご当地うどんのバラエティも実に豊富だ。香川の讃岐うどんをはじめ、秋田の稲庭うどん、群馬の水沢うどん、山梨の吉田のうどん……などなど。
各地のこだわりが光るうどんは、どれも味わい深い。

そんなご当地うどんのなかで、最近注目を集めているのが「甘ったれうどん」。宮城県蔵王町の新名物として、今年9月中旬に登場した。ご当地うどん界では新入りだが、すでにファンも多いらしい。

「甘ったれうどん」というネーミングもどこかユニークだ。“甘ったれ”という言葉にはどこかゆるい響きもあるものの、気合いの入ったパッケージの字面を見るとなんだか「甘ったれるな」というメッセージにも思える。


作り方はいたって簡単。まずは麺をゆで、ゆで上げた麺は湯切をせずにそのまま釜あげで、器に盛りつける。添付のタレをかけて好みで細かく刻んだネギをのせたら、最後に卵黄をのせてよくかきまぜれば出来上がり。甘口ながらも、力強さを持つタレに卵黄の味が優しくマッチ。いい意味で個性的な味わいは、巷のうどんと一線を画している。

製造元である高野本店株式会社の方いわく、
「お客様と直接コミュニケーションの取れる範囲で販売するための、特色ある商品を作りたいと考えておりました」
発売しているのは、現在のところ直売所とオンラインショップのみ。

「調理が簡単で、お客様である日本人に抵抗なく受け入れものを目指すなかで、卵かけごはんやすき焼きのあとのうどんなどにヒントを得て開発しました」
なるほど、たしかにどことなく卵かけごはんを思い起こさせる味だ。

こだわったのは、やはりタレと卵黄とうどんのマッチングだそうで、
「ゆで上げたあとお湯を切らずに直接鍋から器に移すので、麺に着いた水分で多少タレが薄まります。その薄まり具合と、卵との絡み具合のなかで最適な味がでるようタレの味を工夫しました」
当然ながらタレが多すぎればしょっぱくなってしまうし、少なければタレのうまみが感じられない。そのバランスが絶妙。また、うどんには国産の小麦粉を使っている。
「うどんの風味、食感を損なわないよう、国内産小麦を数種類ためした結果、北海道産小麦を採用しました」
話をきいていると、ひとつひとつ本当に丁寧に開発していった様がうかがえる。


ちなみに反響については、とくに若い男性の反応がよく、また調理の手間が少ないことから忙しいときのために買い置きする若い主婦も増えているそう。

近いうちにご当地うどんの定番に仲間入りしそうな甘ったれうどん。うどん好きならまずチェックしておきたい新名物です。
(古屋江美子)