もちろんこれ、単なる空想上の店ではない。
計画しているのは「パープルアイズ」(purple eyes)。今年4月に設立された団体で、DV(ドメスティック・バイオレンス)防止啓発活動をおこなっている。注目したいのは、そのユニークな活動スタイル。DVという領域にクリエイティブな視点とデザインの要素を持ち込んで、新たな視点から問題に取り組んでいるのだ。
一見DVとなんの関係もなさそうな前述の「むらさき屋」もれっきとした活動の一環。
「いきなり“ストップDV!”と声高にさけぶのではなく、まずは“なんで紫色ばかり?”と、なんだか面白いと思ってもらう入り口をつくり、DVについてのメッセージを手渡していきたいと思っています」
活動のスローガンは、「DVのこと、みんなに」。
「社会をかたちづくっている一人ひとりに、“DVっておかしいよね、あってはいけないよね”というメッセージを、手を変え、品を変え、いろいろなかたちで届けていきたいと思っています」
無関心層、さらには潜在的なDV当事者などへも広く届けたいとのこと。
「DVの問題を身近なところから感じ取ったり、考えたりする人が増えれば、暴力を容認せず、誰もが安心して暮らせる社会づくりにつながるのではないかと考えています」
また、被害者支援の必要性を理解してもらい、支援団体への支持をこれまで以上に得ることも目的だそう。
「むらさき屋」以外にも活動はいろいろ。紫色のブランケットを商業施設やカフェで貸し出す「Purple Blanket Please!」(パープル・ブランケット・プリーズ)キャンペーンでは協力店や協賛企業を募集しているほか、絵本や映画も構想中。
各活動についてはホームページで公開されている。真面目なサイトをイメージするかもしれないが、ポップで親しみやすく、なかにはtwitter上で、“言いまっせおばさん”(@iimasse)なる毒を吐くフグのキャラクターが日々つぶやくコーナーも。つぶやく内容はDVに限らないが、
「笑いと共に、なんらかの共感と気づきのようなものが届けられるのではないかと思っています」
大阪のおせっかいなおばさんをイメージしているそう。
「DVに対するスタンスは人それぞれだと思いますが、“そうか、自分がDVを許さない社会をつくる一人なんだ”と思い、小さなことでよいので、生活の中で何らかのアクションを起こしてくださる人が増えていくことを願っています」
たとえばパープルアイズのサイトをのぞくのもひとつのアクションだろう。まずは知ることから始めてみたい。
(古屋江美子)