「部長は真っ裸でサンタクロースを追いかけていた。」
The department manager tried to tackle the Santa Claus while completely naked.

「ボブは打合せ中に偶然、クライアントの性感帯を発見した」
Bob accidentally found a client's erogenous zone in the business meeting.

覚えたところで何の役に立たなさそうな英語を、ツイッターでつぶやいている男がいる。彼の名前は中山さん。
毎日、どんどん増えているというフォロワー数は38943人(2013年1月15日現在)。あっという間に4万人を超えそうな勢いだ。昨年の10月には「出ない順 試験に出ない英単語」(飛鳥新社)と題して、試験に出ない英文150例(イラストつき)に、ネイティブの発音で聞けるCDもつけて発売。一体、中山さんはどんな人なのか?早速、お話を伺った。

――全く役に立たない英語をつぶやき始めたきっかけは何ですか?
「始めたのが2011年10月で、当時、ツイッターを始めようと思ってましたが、せっかくなら、何か変わったことができないかと思いまして。それで『試験に出ない単語』をテーマに、日本語の例文と、訳した英文をつぶやき始めたんです」

ツイッターや他のサイトなどで噂になり、昨年の春頃からフォロワー数が急増。
通常でも1日で100人ぐらい、最大で1万人も増えたことがあるという。

――例文を外国人に見せた時の反応はいかがでした?
「失笑でしたね(笑)」

実は、中山さんは英語にまつわるお仕事をしているわけではなく、映像制作の仕事に携わっている。英語の勉強を始めたのは、社会人になってからだそうだ。なぜ、英語の勉強をしようと思ったのだろうか?

「色々理由はあるのですが、一つは学生の頃に、親に『文系の大学に行くんだったら、英語だけは理解できるようになってくれ』って言われまして。といいつつ大学時代はあまり英語の勉強をしなかったのですが、その言葉が社会人になってからもずっと心のどこかにありました。英語の勉強を始めたのは、親に対する約束を果たそうという思いからですね。
ただ、僕自身、海外出張の時以外は、英語を使うようなシチュエーションはあまりないんですけど(笑)」

●気がつけば、中山さんは英語参考書マニアに!

中山さんは、英語の参考書のマニアでもある。中山さんが、およそ7年間に渡る勉強の間に、使った英語の参考書は100冊以上。しかも、基本的に1冊をやり終えた後に次の本にとりかかるという。そんな中山さんに、「ちょっと子どもっぽいけど、どうしても聞きたかった質問」をぶつけてみた。

――英語の勉強って、退屈じゃないですか?
「退屈ですよ(笑)。ただ、英語を習得する目的がハッキリしていると、自分にとって意味のある参考書は何なのかが分かってくるんです。
自分の目的にあった本で勉強すると、勉強の意義を感じるようになりますよ」
ちなみに、中山さんの目的は、海外のサイトや記事を原文で読み、日本にない情報をリアルタイムで得ることだという。
そこで、中山さんにおすすめの参考書を聞いてみた。

「初学者が単語力を鍛えたいというのであれば、旺文社の『ダイアローグ』シリーズや、アイシーピーの『DUO』シリーズ、増進会出版社の『速読英単語』シリーズなどが良いですね。大昔は『試験に出る英語』という本に代表されるように、載っているのは単語のみの参考書が中心でした。でも、それでは覚えたことの定着率が悪く単語の使い方を覚えるという点でも効果的でないため、例文の中に単語が入っていて、文章の中で覚えるという参考書がスタンダードとなってきました。この3冊は単語を初学者にとっても分かり易い例文とセットで勉強できるようになってます。
また、リスニングCDもあるので、耳からも覚えることができます。その他、アマゾンの上位に入っている参考書も、それなりの意味があるから売れていると言っても過言ではありません。売れている本のレビューをよく読んで、自分に合った参考書を見つけるのも勉強の一つだと思います。」

よく、英語を喋れる人の中に「そんなの、海外に行っちゃえばいいんだよ。向こうに行ったら半年ぐらいで話せるようになるよ」と、なんとも軽く言う人がいるが、社会人になるとそうはいかない。独学で勉強している、中山さん流の勉強の仕方を聞いてみた。

「1冊をやりこなせばすぐに分かるようになるというわけではなく、ある程度は量をこなさないといけない時期があります。
何十冊も取り組んでいったり、同じ本を何度も勉強していったりして、ひと山を越えた後に分かってくるようになりました。ただし私のように参考書マニアになってはいけません。自分の場合は勉強というより趣味の一つですから。ある程度参考書で学んだら、リスニングでもリーディングでもライティングでも実戦あるのみです。ナマの英語に触れた量がその人の実力になるといっても過言ではありません」

中山さんによると、始めはNHKのワールドニュースや、ジャパンタイムスなどのように、国内に関する記事で、背景を知っている内容から入ると、1~2年ぐらいで内容が頭に入ってくるようになり、3~4年経つと背景をよく知らない海外の記事もある程度は読めるようになってくるそうだ。

「4年かぁ…。
4年後っていうと俺はもう○○歳だなぁ~」という3~40代からのため息があちこちから聞こえてきそうだけど、マスターするんだったら1日でも早く始めた方がよさそうだ。

このように、日々、リーディング力を鍛えて、海外サイトを徘徊しているという中山さん。さすがにCNNには

「(バスの車内で)お立ちのお客様は、つり革か運転手の敏感な場所におつかまりください」
If you are standing,please hold on to the strap or the driver’s sensitive spot.

といった文章は出てこないが(←当たり前)、実は中山さんの“役に立たない例文”は、意外と勉強に使えると好評なので、今年こそ英語をマスターしたい方はぜひ。(やきそばかおる)


「出ない順 試験に出ない英単語」(飛鳥新社)
http://www.asukashinsha.co.jp/book/b103744.html

「出ない順 TOEIC英単語」(ツイッター)
http://twitter.com/NISE_TOEIC