いつの間にか、「カワイイ」は世界の共通語となっていた模様。もはや日本発世界を成し遂げている、大事な文化である。
しかし、だ。“カワイイ”と一言でまとめてしまっているものの様々なテイストがある気がしてならない。例えばきゃりーぱみゅぱみゅに代表される原宿文化が、まさにそれじゃないですか?
一方、「ロリータ」というムーヴメントも見逃せないわけで。
そこで、発見しました。今年の3月、頼もしい団体が発足しております。その名も「日本ロリータ協会」。
早速、「福岡大村美容ファッション専門学校」内に設けられている同協会事務局に質問してみました。今回、この協会を起ち上げたきっかけは何なのでしょう?
「2年前から『ゴシック&ロリータコース』を開設しているのですが、それでわかったことがあります。世界各国にいるロリータファンを束ねる機関が、今まで無かったんですね」(日本ロリータ協会・吉原事務局長)
世界中に、ロリータ愛好家はいるらしい。
「ロリータ協会の会長である青木美沙子さんのブログで『来週、海外の○○へ行きます』と書き、その国に着くと、ロリータの格好をしたファンが空港で出迎えてくれる歓迎ぶりです」(吉原事務局長)
ロリータ文化の広がりと、その熱の高さが伝わるエピソードではないか。
では、同協会会長・青木美沙子さんのプロフィールをご紹介しましょう。
「2009年、外務省からポップカルチャー発信使に認定されております。日本のポップカルチャーを世界に発信する大使です」(吉原事務局長)
だからこそ、世界的知名度を獲得している。同協会への入会を希望する方の多くは「青木さんに会いたい!」というモチベーションを持っているそうだ。
ところで、「ロリータ」という文化の成り立ちと広がりのきっかけは何? 聞いてみました。
「元々は、パリの貴族が着ているファッションを日本の女の子たちが真似たことから始まりました。日本の女性が着ると、小っちゃいのでお人形さんに見えるんですよね」(吉原事務局長)
続いて、ロリータ・ファッションのブレイクのきっかけについて。覚えている方も多いでしょう、2004年に公開された映画『下妻物語』を。あの作品によって、日本のロリータの社会的地位が上がったという。何しろ、パリで信じられない反響が巻き起こっているらしいのだ。
「現地の女性から実際に聞いたのですが、パリの女性が『目を黒くしたい』って言うんですよ。それどころか『鼻が低くなりたい』、『髪を黒くしたい』、『背を小さくしたい』って。なぜなら、その方がロリータ服が似合うからです」(吉原事務局長)
他の国も凄い。
「特にメキシコやブラジルといった国で、ロリータは盛んです。ファンは各々、主にSNSで繋がっています」(吉原事務局長)
そこで協会は、各国に“カワイイ大使”を配置した。彼女らがその地域のロリータを100人単位で招集し、お茶会を開いてあげるのだ。
「雰囲気が大事なので、お洒落なカフェや教会、ホテルのスイートルーム等で主に開催されます」(吉原事務局長)
ヴィクトリア女王が元々のイメージなのだから、そのような雰囲気になるのは必然。宮殿のような場所で、お洒落な食器を用い、マカロンを食べて、優雅な時を過ごしたい。
「そういう機会を設け、彼女たちがロリータ・ファッションを着ていく場所を作ってあげるんです」(吉原事務局長)
では、同協会のその他の活動内容について。まず、「ロリータニュース」の発信があるという。
「ロリータファンに打ってつけのブランドや美容室、それ以外にもロリータっぽいカフェや洋館のような宿泊施設といったものがあれば、紹介したいと思います」(吉原事務局長)
また、定期的に「ロリータ検定」も実施していく予定だそう。
「ロリータファンが最も嫌うのって、“メイド”や“コスプレ”と一緒くたにされることなんです」(吉原事務局長)
だからこそ、ロリータのカルチャー的な歴史やルーツ、洋服の用語、着こなし、もしくはお茶会に出されるお茶に秘められたメッセージ等を出題していく。
最後に、「日本ロリータ協会」の会員について。
「会員の7割が、外国人の方なんです」(吉原事務局長)
しかも、英語圏ではない地域の会員も多いらしい。そうなると、各地の“カワイイ大使”の責任も大きくなってくるな……。だって、しっかり統括してもらいたいから。
「でもロリータファンには、まじめな子が多いんですよ」(吉原事務局長)
話を聞いていると、わかります。ロリータは、気品が高かった。
(寺西ジャジューカ)