旧遊郭からドヤ街まで 横浜市民も知らない「裏ヨコハマ探索ツアー」に行ってきた

『心霊スポット巡礼ツアー』や『タクシー流鏑馬(やぶさめ)』など、一風変わったタクシーサービスを送り出してきた三和交通。現在、知る人ぞ知る横浜のディープなスポットをめぐる「裏ヨコハマ探索ツアー」を開催している。


観光名所を回るツアーは以前開催していたこと、動画サイトの生放送で裏スポットを回る中継が好評だったことなどが開催の主な理由だそう。

旧遊郭からドヤ街まで 横浜市民も知らない「裏ヨコハマ探索ツアー」に行ってきた


かつて娼館が立ち並んでいた「黄金町」、親不孝通りがある「曙町」、独特な雰囲気がただよう「寿町」などなど。普通の人は立ち入らないようなエリアをめぐるツアーの体験レポートをお送りする。

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今回まわるルート図。総走行距離は19.6km。


横浜駅から出発 紅梅通りを抜けて岩亀横丁へ


現在の横浜公園のある場所に、かつて横浜で一番大きな遊郭と言われた「岩亀楼」があった。遊女達が病にかかった際に療養した保養所があったことから、「岩亀横丁」と言われるようになった。現在の住所では横浜市西区戸部町にあたる。その遊女たちが信仰していた岩亀稲荷がこの場所に残されていた。


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幅1mほどの狭い入口


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奥にあるお稲荷さん。たくさんのお供え物がある


すぐ横にある喫茶店の店主によると、いまでもお参りにくる人が1日2~3人、多いときは100人ほどのツアー客が訪れることもあるそうだ。

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次の地点に向かう途中「ストリップ 浜劇」を発見。日ノ出町駅のすぐ近くにある。街中に突然現れるデカい看板が異様に目立つ。

小さな娼館がならぶ危険地帯だった「黄金町」


路地に売春宿が立ち並び、道行く男性を娼婦たちが誘うエリアだった黄金町。21世紀に入ってからもその光景は続いたが、2005年に警察が売春一掃計画(通称・バイバイ作戦)を発動。わずか1年ですべての娼館が摘発・撤廃された。
現在は小さなアートギャラリーとして使用されているところもある。

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やたらと狭い間隔で扉がならんでいるのが娼館の名残だ。「ちょんの間」と呼ばれた娼館の面影が残る風景。かつては扉ごとに娼婦が立っており、2階で"コト"が行われていた。

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「撲滅宣言」の看板


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現在は小さなアートギャラリーとして使用されているところも


「親不孝通り」と呼ばれる風俗街へ


通称「親不孝通り」と呼ばれる曙町エリアへ。いわゆる風俗店が立ち並び、客引きと思われる店員が多数見受けられた。店名が一切書かれていない店もあり、明らかに怪しい雰囲気がただよう街だ。

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18禁マークのみで店名が一切書かれていない


三大ドヤ街の一つ、寿町を歩く


大阪の釜ヶ崎、東京の山谷とならび「三大ドヤ街」の一つといわれる寿町へ。日雇い労働者があつまるスラム街のような場所だ。降りるとさっそく、酒臭いオッサンたちがたむろしていた。1泊2,000円前後の安宿がならんでおり、宿のとなりにはコインランドリーやコインシャワーがある。彼らは道路の真ん中を堂々と歩き、タクシーが通っても避けようとしない。ドライバーさん曰く「たぶん、クルマがぶつかったらラッキー、ぐらいに思っているんでしょうね」。

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1泊1,500~2,100円の簡易宿泊所。


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エアコン室外機の間隔から、1部屋の狭さがうかがえる。


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コインランドリーとともに、コインシャワーが4つ並んでいた

一転して華やかな街、元町へ


がらりと雰囲気が変わり、見るからに高級そうな洋服店や宝石店、カフェなどが並ぶ元町。歩いている人も、オシャレなファッションを身にまとう女性が多い。
東京でいえば銀座のような街だ。

この元町、先ほどのドヤ街・寿町からわずか1.2km。タクシーなら7分だ。この狭いエリアでこれほどの生活落差を感じることもそうそうない。

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元町通りの入り口


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新山下からマリンタワーへ


貯木場発祥の地、「木のみなと」からベイブリッジを見たあと、かつて灯台としても使われていたマリンタワーへ向かった。2006年、経営悪化を理由にいったん営業を終了したマリンタワーは、「マリンタワー再生事業」に基づき横浜市が改修・リニューアルし、2009年に再オープンした。

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現在はヨットやモーターボートが係留されている。その奥には横浜ベイブリッジが見えた。


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マリンタワー。ふもとの施設にはオシャレなレストランやバーが入っている。


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ライブハウス「club Lizard」。キマグレンや秦基博など多くのミュージシャンを輩出している。


大さん橋から馬車道へ


「だいさんばし」ではなく「おおさんばし」と読む。1970年ごろまでは「メリケン波止場」と呼ばれていた場所だ。
横浜港の象徴的なスポットであり、"ザ・横浜"ともいえる夜景が広がる。みなとみらい地区、観覧車、赤レンガ倉庫が一望できる。

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関内に置かれた外国人居留地と横浜港を結ぶ道路の一つとして開通した「馬車道」。アイスクリーム、ガス灯、近代街路樹など、この地が発祥といわれるものは多い。

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馬車道


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損保ジャパン日本興亜・横浜馬車道ビル。いかにも洋館という雰囲気がただよう。


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馬車道だけに、いたるところに馬が


グラフィティアートがあった桜木町ガード下


2007年、旧桜木町駅~横浜駅間の高架下壁面に描かれた「桜木町ON THE WALL」。横浜市公認のアート事業だったが、補修・補強工事により消去されてしまった。


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約1kmにわたるガード下に描かれていた壁画の数々


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現在は跡形もなく消えてしまった


横浜の風俗店・歓楽街からドヤ街、そして華やかな元町・港町へ。おそらく横浜に住んでいる人も訪れないであろう、ディープなスポットをめぐるツアーだった。たった2時間でここまで濃密なエリアをまわるツアーもなかなか無いだろう。

案内していただいたドライバーさんによると、先日このツアーに参加した人は「とても楽しかった!」と1万円を置いて帰っていったそうだ(通常料金は8,000円)。

※完全予約制。通常このツアーで写真撮影の時間が設けられているエリアは、新山下と大さん橋の2か所のみなのでご注意ください。

「裏ヨコハマ探索ツアー」
http://www.sanwakoutsu.co.jp/special/vol_004.html

(村中貴士・イベニア)