夏休みを利用し、東京に遊びに来ている人も多いだろう。

ところで、東京には新宿、池袋、渋谷など、「わかりにくい」と言われるまちがいくつもある。
そして、「複雑すぎる電車の乗り方」に迷う人も多いだろう。

なかでも非常に難しいと思うのが、JR新宿駅の1~4番ホームから乗る電車だ。

ここは、
「埼京線」
「湘南新宿ライン〈東海道本線・横須賀線・ 東北本線(宇都宮線)・高崎線方面〉」
の乗り場となる。

様々な路線が相互直通になり、埼玉から神奈川まで結ばれて便利になったのだが、何しろ難しい。なぜ難しいかというと、同じ路線の同じ方面に行くにも、1~2番線と3~4番線とがあるからだ。これらは階段を昇り降りして行き来しなければならず、ホームに降りる前に電光掲示板を見て判断することが必要だ。

埼京線&湘南新宿ラインの1~4番線からは様々な観光地へのアクセスが便利である。その一例をご紹介しよう。

1・新宿→ディズニーリゾートのある舞浜に行くとき
埼京線から直通のりんかい線に乗り、新木場まで出て京葉線に乗り換える。あるいは、湘南新宿ラインで大崎まで行き、りんかい線に乗り換えて新木場→京葉線へ行く。

2・新宿→お台場海浜公園に行くとき
埼京線から直通のりんかい線に乗り、東京テレポートへ。

3・新宿→横浜へ行くとき
湘南新宿ラインで、一本で行ける。

こうして見ると、意外にシンプルに思えるかもしれない。だが、通勤・通学などで日々利用している人はともかく、初心者の場合、利用する路線のホームをまず探し、「え? 1~4のどれ?」となり、ホームに降りる前に電光掲示板でチェックする。これが慣れていないと、けっこうややこしい。

頻繁に起こる「遅延」


さらに、難しいのは、埼京線や湘南新宿ラインは長い区間であることにより、どうしても様々な事情で「遅延」が起こりやすいこと。
実際、2015年11月24日には「埼京線で30日連続の遅延を記録」なんてこともあったほど。だから、自分などは、仕事で埼京線や湘南新宿ラインを利用する場合、乗換案内での検索結果より30分以上余裕を持って家を出ることにしている(※それでも遅刻スレスレになることもある)。
遅延があると、乗換案内で検索し、ルートを組み立てていた初心者や方向音痴の人は、途端にどれに乗れば良いかわからなくなる。


「埼京線じゃなく、とりあえず山手線から大崎へ行って、りんかい線に乗り換えるの?」
「とりあえず山手線で渋谷まで出て東急東横線に乗れば良いの?」
「JRを諦めて、丸の内線で新宿三丁目まで出てから東急東横線へ行くほうが良いの?」
しかも、「赤羽までなら行く電車」「大崎までなら行く電車」は複数あり、もう大混乱だ。

新宿駅1~4番線ホームから出かけるとき、また、遅延になったときは、何を見てどうすればわかりやすいの? JR東日本東京支社の広報担当者に聞いたところ、
「こちらからはどれに乗れば良いかといったご案内はできません。行き先を掲示板や路線図で見ていただくしかないと思います」

また、JR新宿駅1~4番線の難しさの理由については
「新宿駅に限らず、どこも同じではないですか。遅延などがあったときには、調べて別の路線で行くということも同じはずです」という回答だった。
ただ、「埼京線チーム」の場合、たくさんの路線が乗り入れており、区間が長いだけに、行き方の選択肢も多い。だからこそ、乗換案内で「出発地」と「目的地」だけを、点と点としてとらえていると、遅延などのトラブルが起こったときに対応できなくなるのだろう。


「案内を見るしかない」


「新宿駅は列車の本数も多いですし、埼京線は新宿で折り返しがあり、逆方向になることも、わかりにくさの原因かもしれません。ただ、やはり案内を見るしかないですし、遅延の場合などは放送での案内を聞くしかないと思います」
そういえば、埼京線ホームでは、かなりの頻度でアナウンスがされていることがあり、「アナウンスがうるさすぎる」という声もある。そして、そこまで頻繁にアナウンスするのは、クレーム対策とも言われている。

確かに、行き先を掲示板や路線図で確認すること、遅延の場合に自分でルートを調べなおすことは、当たり前のことだとは思う。
でも、せめて同じ路線・同じ方面への電車は、階段の昇降を必要としない隣り合わせのホームから乗れるとわかりやすいのだけど……。これって単に方向音痴の言い分なのだろうか。

(田幸和歌子)