眼鏡をかけてるとき、僕らは眼鏡そのものを見てるわけじゃない。眼鏡の向こうにある、人や物、景色なんかを見てる。
だから、テンプル(アーム)の内側に書かれた謎の数字にも、なかなか気付かない。というか、気にしない。

『53□15-130』

例えばこんな数字が書かれてる。数字やアルファベットが羅列されてる方(こっちは品番やカラー番号)じゃない、なんだか意味ありげな数字の方。

気付くとちょっと気になるこの数字。一体どんな意味があるのか、眼鏡フレームの国内シェア96.4%(2006年)を誇る、福井県鯖江市の福井県眼鏡協会に話を伺った。


「この数字は、眼鏡のさまざまなサイズを表しているんですよ」
へぇ~、眼鏡業界の暗号みたいなもんじゃなく、単にサイズ表記だったんだ。そして区切られた3つの数字には、それぞれ以下の意味があるという。(長さはすべてミリメートル)

【例】53□15-130

・「53(1ブロック目)…玉型のサイズ、つまりレンズ部分の横幅
・「□」…「ボクシングシステムという国際規格でサイズ表示していますよ」というマーク
・「15」(2ブロック目)…鼻幅、つまり左右のレンズ部分の間の距離
・「130」(3ブロック目)…テンプルの長さ(まっすぐにした場合の長さ)

こういった、結構細かいサイズ表示。ってことは服を選ぶときみたいに、買うときの目安として書かれてるものなんだろか。
「一応の目安にはなるかもしれませんが……サイズが同じでも眼鏡によって形が違うので、かけてみないとわかりません。また最近は玉型が小さくなり、その分テンプルの長さが工夫されているなど、時代によっても形が変化しています。
つまり、前にかけていたサイズだからといって、次に買うとき参考になるとは限らないんです。残念な話ですが、サイズが書かれているのは、そういう取り決めがあるから……というだけなのが現状なんですね」

今のサイズ表示にあまり意味がないことから、服みたいな「号数表記にしませんか?」っていう提案も行われてきたという。でも慣例はなかなか変わらず、まだ実現には至っていない。しばらくは、今の暗号的なサイズ表記が続きそうだ。

意味はあったものの、存在に気付いたとこで損も得もなかった謎の数字。
ちなみに日本人の平均は、テンプルが140~145ミリ、鼻幅が16~18ミリ、玉型が男性52ミリ前後、女性49ミリ前後なんだとか。

せっかくなのでそんなデータも加えて、眼鏡の人が3人以上集まったときにでも、話題にしてみてください。
(イチカワ)