ロンドンの下町ハックニーに、ロンドンっ子に愛されているウナギ料理がある。その名もウナギゼリー。
ゆでてぶつ切りにしたウナギを、塩味のゼリーであえたかなりインパクトあるメニューだ。各種ウナギメニューを提供するレストラン「F.COOKE」で、噂のウナギ料理を試してきた。

まず、店内メニューはウナギ専門店らしく「ウナギパイ&マッシュポテト(Pie & Mash)」「ウナギ&マッシュポテト(Eel & Mash)」「ウナギゼリー(Jellied eels)」と、ほぼウナギ一色。店の裏には仕入れたウナギを泳がせておくいけすがある。以前はテムズ川で捕れたウナギを使っていたが、今は捕れなくなったという。せっかくなので「ウナギパイ&マッシュポテト」「ウナギ&マッシュポテト」「ウナギゼリー」の3品全てを注文した。


まず運ばれてきたのがウナギ&マッシュポテト。骨が取り除かれていない、ぶつ切りのゆでられたウナギに、特製スープがかけられている。日本の繊細なウナギ料理に比べれば、素材の味を生かしたシンプルな一品だ。ウナギの泥臭さは残っているが、スープがそれを薄めてくれる。

次に運ばれてきたのがウナギゼリー。塩味のゼリーと、ぶつ切りにしてゆでたウナギを混ぜたもので、ウナギそのもののアピール度はダントツで強い。
調味料はゼリーの塩味のみであるため、ダイレクトにウナギの味が口一杯に広がる。とにかく素材の味が全面的に主張されている。ウナギそのものを堪能したい人にはおすすめ品だろう。マッシュポテトなど付け合わせもないので、味はひたすら塩味ゼリーとウナギ。好きか嫌いか好みが完全に分かれる一品だ。

最後に出されたのがウナギパイ&マッシュポテト。
パイとして調理されているので、前者2品と比べて、ぶつ切りにされた見た目の荒々しさはない。またパイがウナギの味を包むため、他の2品に比べれば味にウナギの強さは出てこずマイルドに仕上がっている。ゆえに入門向きのメニューといえる。

3品を難易度順に並べるとしたら、「ウナギ&マッシュポテト」「ウナギ&マッシュポテト」「ウナギゼリー」の順でディープさが増していく感じだろうか。見た目も味もインパクトがあるものばかりだが、日本のウナギ料理の先入観を捨てて食べれば、それなりに楽しめる料理だった。
(加藤亨延)