小さな子に何かあげるとき、どんな子でも絶対に喜ぶ鉄板アイテムといえば、「ねるねるねるね」だと思う。

「『ねるねるねるね』さえあれば、ウチの子はご機嫌」と言うママも多いし、嫌いな子は見たことがない。
中学2年生の我が子だって、相変わらず「ねるねるねるね」は大好きだ。
それにしても、ロングセラー&ベストセラーのこの商品、いったいどのように生まれたものなのか。

クラシエフーズによると、「ねるねるねるね」が誕生したのは、1986年。モトのアイディアとなったのは、それ以前から発売されてきた粉末飲料『プカポン』(78年)、『ムクムク』(84年)、『ツブポン』(85年)で、これらは72年に合併した渡辺製菓の粉末技術を応用して作られたものだったと言う。
「商品コンセプトは『作って楽しめる手作りお菓子』です。娯楽の少なかった約30年前に、子どもたちの想像を超える驚きと感動を提供したことが人気を得た理由のひとつだと思います」(マーケティング室 以下同)

「ねって遊ぶ」面白さに加え、子どもたちの心をグッとつかむのが、「ねるねるねるね」という、思わず口に出して言いたくなるネーミング。
どんな人が決めたものなのか。
「開発段階での名称は、実は『ねりっちょ』でした。『ねるねるねるね』という名前は食品研究所の女性スタッフが考案したもので、採用にあたり『ねる』を2回重ねるか、3回にするか、社内でも議論が巻き起こったんですよ」
「ねるねるね」より断然「ねるねるねるね」のほうが心弾むだけに、ナイスジャッジだ。

ところで、ねるねるねるねが膨らむ理由って、そもそも何?
「『ねるねるねるね』が膨らむ成分は、果物にも含まれるクエン酸と、ふくらし粉などに入っている重曹です。これらが反応してできる炭酸ガスを、卵白や増粘多糖類(ソースなどに含まれるとろみ成分)で、クリーム状の泡に仕上げているんです」
仕掛けの基本となる化学反応は、「アルファ化デンプン+水→ゼリー状」「無水ブドウ糖+水→固形」など。限られた原料と仕掛けをいかに組み合わせて驚きを提供できるかに、歴代開発担当者は頭を悩ませてきたそうだ。

「また、アイスクリーム用の安定剤や麺質の改良材など、同社の別部門が持っていた素材やノウハウが役立った部分もありました」

加えて、「ねるねるねるね」といえば、思い出されるのが、「テ~ッテッテレ~♪」というインパクトある効果音と魔女が登場する怪しいテレビCM。これはかつて、子どものよく見る時間帯に集中的に流し、商品を作る過程をすべて見せるなど工夫されていたそうだが、このCMになじみがある世代が親になった近年、魔女の老婆が再登場した新CMが復活している。

「ねるねるねるね」誕生から現在まで発売された味は20種類以上で、総売上数は約7億個。なかには「ピーチプリン」「梅あられ」といった風変わりな味もあったそう。
ちなみに、着色料はすべて天然色素を用いており、色が変わるのもPH(酸の濃度)によって変わる色素の性質を利用していること、2005年からはカルシウムを配合していることもあり、保護者側も前向きに購入できる「知育菓子(R)」となっている。

昔も今も、子どもは美味しい&楽しいし、親も安心のお菓子「ねるねるねるね」は、やっぱり最強です。

(田幸和歌子)